沖縄市にある県立球陽高校では、2024年2月20日から「身なりに関する校則の緩和」が試験的に実施された。

「自分らしさ」を最大限に発揮できる環境づくりを目的に生徒が提案したもので、どのような変化があったのか取材した。

課題探求の一環で生徒から発案

球陽高校の制服は、紺色のブレザーにシャツとスラックス、スカートとネクタイにリボンだ。

Q.制服をどう思う?

「スカートが長いな」
「体育の時間とか、着替えとかが大変だなと」
「制服があることで、洋服選びとかも迷わず朝すんなりいけることもありますし、今の制服はデザインとかも気に入っているので、今のところ不満はないですね」
「制服は球陽高校のしるしでもあるので、誇りを持って着ているんですけど、私服があることで、もっと学校が過ごしやすくなるのかなって思いました」

球陽高校は、文部科学省が定めるスーパーサイエンスハイスクールの指定校で、主体的な学びを重視するほか、生徒たちによる自主研究の取り組みに力を入れている。

「身なりに関する校則の緩和」の取り組みはその課題探究の一環で行われているもので、生徒から発案された。

制服に対する緩和を発案した1人が、2年生の仲本新さん。

国際英語科2年 仲本新さん:
今回は個性を出せることを目標にやっています。現代に合わせた校則づくりが必要なんじゃないかなって思っていて

「自分らしさ」と「考える力」

2022年の11月ごろからグループを作ってテーマを決め、2023年4月から取り組んできた校則の緩和は、2024年2月20日からスタートした。

生徒たちは制服や私服など自分らしい姿で校門をくぐっていく。

緩和された前日と比べると違いは一目瞭然だ。

国際英語科2年 仲本新さん:
昨日と全く違う光景で、みんな楽しそうだな、生き生きしているなっていうのが第一印象です

いっぽうで、これまでと変わらず制服で登校してきた生徒もいる。

国際英語2年 河上愛瑠さん:
自分は制服が好きでかわいいなと思っているので、自由だから制服でもいいかなと思って制服を着てきました。目標として「考える力を育む」というのもあるので、着る服を考えて決めたり、メイクしたりできたらいいなと思います

今回の身なりに関する校則の緩和では制服以外にも、メイクや髪色を変えたり、アクセサリーの着用が認められた。

国際英語科2年 高江洲莉里杏さん:
体育祭と文化祭でメイクを許可されたことが何回かあって、その時の生徒たちの雰囲気とか表情とかが明るく、生き生きとして見えたので

発案者の1人である高江洲莉里杏さんは、メイクを日常に取り入れることで、生徒たちのモチベーションもあがるのではないかと考えたそうだ。

今回の取り組みのポイントとなるのが「自分らしさ」と「考える力」

校則の緩和にはいくつかのルールが設けられており、タンクトップなどの過度な露出、体育や家庭科などの時間に装飾品をつけることなどが制限されているほか、式典の際には元の校則に戻すことになっている。

国際英語科2年 仲本新さん:
最初は本当に自由っていう感じで、選択肢を増やすということになっていたんですが、学校はやはり団体の場所なので、自分が好き勝手やって他人に迷惑をかけないようにというのも大事だと思っていたので

教師、生徒、それぞれの考えは?

校則の緩和に対して、教師はどのように感じているのだろうか。

英語教師:
制服というのは学校の象徴なので、それがみんな違う形で(着崩して)着るっていうのは…。制服は制服としてきちんと着ることができるので、「制服」と「自分らしさを出す私服」というのは分けたほうがいいかなと個人的に思っています

生徒たちはの意見は…?

生徒:
動きやすいのがいいなと思ってジャージにしました。気持ちも軽くなるし。制服って重いじゃないですか。ちょっと前向きになるというか、前よりは楽しく感じます

生徒:
まだ自分のしたいファッションとかがまだ決まっていないというのもあって、制服のほうが着やすいし、無難な感じがしていいと思いました

生徒:
いつもより早く起きたりと、ちょっと楽しく授業を受けられています

生徒:
きょうは部活でやろうと決めて、みんなで着けてきました。やっぱり涼しいし、部活に行くときも着替えなくて済むので楽だなと思います。来年も続いてくれたらいいなと思います

田名校長にも、今回の取り組みをどのように捉えているか尋ねた。

球陽高校 田名裕治 校長:
子どもたちのモチベーションは、間違いなく上がっていると思います。コミュニケーション能力を広げながら子供たちがより自分の考えであったり、他者の考えを聞いたりとか、そういったところを期待しております

国際英語科2年 仲本新さん:
考える力ということを育めるのも、こういう期間があるからだと思います。学校という団体の中にいるので、「自分はこういう感じなんだよ」と個性を出せるのと、「周りのことも考えられる力」も身につけるということを目標にやっています

身なりに関する校則の緩和は、2024年の3月21日まで実施され、発案者である2年生たちは、校則の緩和によって心境の変化があったかなど生徒へアンケートをとったり、保護者や教師に対しても今回の取り組みについての評価を聞き取る予定だ。

沖縄テレビ
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