65歳以上の交通事故が後を断たない中、福井県と県警は高齢者が免許を自主返納しやすい環境づくりを進めている。その一つが坂井市で始まった「イータク」と呼ばれる交通サービスだ。スマホなどを使って簡単に乗り合いタクシーを呼ぶことができ、利用者は1年間で3倍に増加している。

アプリで簡単 300円でタクシーを

乗り合いタクシー「イータク」は、スマートフォンのアプリや電話で予約をすると停留所にタクシーが止まり、目的の停留所まで送り届けてくれる。

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この取り組みは、坂井市が高齢者に日常生活の移動手段として活用してもらおうと、2023年1月から始めた。市内全域に738カ所の停留所が設けられ、その停留所の間を移動することができる。65歳以上の場合、料金は片道300円。

坂井市公共交通対策課長・伊藤剛成さん:
スタートした2023年冬は1日25~30件の利用だったが、2024年1月には95件と右肩上がりで推移している。

高齢者にとってネックとなるのが、スマートフォンやアプリの操作だ。そこで先日、乗り合いタクシーの予約法を学ぶ体験会が開かれた。参加したのは地元高齢者12人。免許返納を見据える人もいた。

参加した高齢者たちは「簡単でいいと思う。近所でイータク使っている人がいるけど、みんな電話で予約している。スマホで予約の方が良い、夜中でもできるし」「思っていたよりずっと便利なので、これから使っていきたい。いずれは運転できなくなるので、イータクを使って便利さを確かめたい」とイータクでの予約の簡単さを体験できたようだ。

坂井市公共交通対策課長・伊藤剛成さん:
高齢者の利用が多く、8割が電話予約になっているので、朝は混雑して電話がつながらないという声がある。アプリでもできるということを知ってもらうためにこの体験会を催したので、一つのきっかけになればと思う。

予約をして2時間後、指定された停留所に停まった乗り合いタクシーに乗車。使いごこちを確かめた。

免許返納を考えている男性は「家族に頼むのも気をつかう。今後、イータクを利用できればありがたい」と評価。女性の一人はアプリの操作性については簡単としつつも、「知らない人と乗り合いになったら…」と若干の不安を感じていた。

免許返納後の代替手段を各地で

福井県内では鯖江市、越前市、勝山市など複数の市町で、免許を自主返納すれば地元のコミュニティバスを無料で利用できる。

県内の多くのタクシー会社でも75歳以上の運転免許返納者は運賃が1割引きになるほか、鉄道でも高齢者向けのサービスがある。

免許返納で高齢者は“これまでの移動手段”を失うことになる。
官民あげて代替手段を準備することで、以前と変わらない生活が送れるよう取り組みが進んでいる。

(福井テレビ)

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