17日間にわたって開かれた長崎の冬の風物詩「長崎ランタンフェスティバル」が2月25日閉幕した。今年は福山雅治さんや仲里依紗さんの皇帝パレードや月9効果もあり、過去最多の121万人の集客だった。観光イベントとしての大きな可能性を示した一方、課題も見えてきた。
会場周辺の飲食店には連日行列も
約1万5000個のランタンの温かな灯りが街を包む「長崎ランタンフェスティバル」。
この記事の画像(18枚)開催期間最後の週末で3連休中日の24日は、ステージイベントが行われていたこともありメイン会場の湊公園には人が入りきれずに、外から見ている人も多くいた。
人だかりは会場周辺の飲食店や出店にも。湊公園やすぐそばの新地中華街を中心にお土産を買ったり食べ歩きを楽しむ観光客でにぎわった。会場近くで甘栗を販売する男性は「今年はお客が多いみたい。最初からずっと多い。20%くらい売り上げアップです」と満面の笑みを浮かべる。
その人の波は会場近くの商店街にも波及した。
茶碗蒸しが有名な「吉宗(よっそう)」(長崎市)ではランタンフェスティバルの期間中は連日行列ができ、店は昼休み返上で営業を行っていた。
台湾からの観光客:ランチを済ませたんだけど、まだ何か食べたいなと思って。卵のが・・・
――日本語で”茶碗蒸し”です
台湾からの観光客:Chawanmushi ! それ!それが食べたくて。でも、すごい行列(苦笑)
過去最多の人出の要因は
新型コロナウイルスの感染防止対策が緩和され今年は4年ぶりの通常開催。長崎市は過去最多121万人の人出があったと発表した。
最も盛り上がりを見せたのが長崎市出身の福山雅治さんと東彼杵町出身の仲里依紗さんによる皇帝パレード・特別版だ。
皇帝役 福山雅治さん:帰ってきたばい長崎!
約17万人の応募の中から抽選で選ばれた約2万6000人が沿道から熱い視線を送った。長崎市の発表によると期間中では最多となる約18万5000人がランタンフェスティバルの会場を訪れた。
30年来の福山ファン:ましゃ-!おかえり!ましゃー、おかえりー!
佐世保市から観覧した親子:最高だった。指差して笑ってくれた。たぶん目が合った。もう一生忘れられない
長崎市内から訪れた観覧者:毎年ランタンを見ているがこんなに盛り上がっているのは初めて。いい記念になった
月9ドラマも後押し 相乗効果も
長崎を舞台にした月9ドラマ「君が心をくれたから」も後押しした。
長崎ランタンフェスティバルの会場のひとつ「長崎孔子廟」ではドラマと同じ「恋ランタン」をかけることができるスポットが設置され、途切れることなく人が訪れ写真を撮影していた。
劇中で登場した「ながさき恋ランタン」は長崎孔子廟で販売され、用意した2500個が完売した。
受け入れ態勢をいかに整えるか
今回のランタンフェスティバルの経済効果について長崎大学の山口純哉准教授は。
長崎大学 山口純哉 准教授:中華街の店を見ても品切れになっていたり、売り切れ御免の札が出るなど見られ、現地としては非常に多くのものが売れて経済効果があった。福山さん、仲さん共に全国的に知名度の高い人なので県外からも大勢(観光客が)来て、例えば西九州新幹線や宿泊施設に今まで以上の稼働があった
一方、課題も見えてきた。
長崎大学 山口純哉 准教授:今回121万人と非常に多くの客が来たが、例えば歩いている客が歩道からはみ出ざるを得ないとか、交通も宿泊も買い物も、受け入れ態勢をいかに整えるかが大事
福岡など、九州内からは車を使って長崎を訪れた人が多く、会場周辺の駐車場では「満車」が相次いだ。
主役のランタンも老朽化に加えて雨や風などの影響で破損が目立った。
長崎市はランタンの更新費用をふるさと納税による寄付で集めようとしている。目標を5000万円としているが、これまでに寄せられた寄付は約145万円にとどまっている。(2023年2月26日正午時点)
100年続くまつりを目指して…
長崎大学 山口純哉 准教授:コロナ前のようにどんどん人数が増えればいい時代は終わっている。来てくれた人たちが本当に満足して帰っているのかどんなところに楽しみ喜びを見つけてくれているのかを冷静に分析しながら、質を高めてひとりの人にしっかり満足してもらう方向に舵を切るのかどうかを考える大きな契機
4年ぶりの「フル開催」で観光イベントとしての大きな可能性を示した「長崎ランタンフェスティバル」。その一方で100年続くまつりを目指す上での”課題”も見えた17日間となった。
(テレビ長崎)