サッカー・J2がいよいよ開幕を迎え、清水エスパルスはアウェイに乗り込み熊本と対戦する。2023シーズン、開幕ダッシュに大失敗したエスパルスにとって、1年を占う重要な一戦になることは間違いない。
秋葉体制の真価が問われる開幕戦
いよいよ開幕を迎える2024シーズン。今季は2023シーズン途中から率いた秋葉忠宏 監督が引き続き指揮を執るほか、依田コーチや古辺フィジカルコーチ、さらに強化部に兵働・高木両氏を迎え指導陣を厚くした。
一方、戦力面では移籍や新人11人が新加入し、レンタル組も4人がチームに復帰。
エースとして君臨していたチアゴ・サンタナの流出は痛いものの、その他の主力組の多くは残留し、J2筆頭格の豪華な陣容が維持できた。
鹿児島キャンプで取り組んだのは3つの大テーマで、1つ目は走力の強化だ。2023年に何度も見られた“残り数分での悔しい思い”を二度としないために、若手もベテランも分け隔てなく何度も走り込みを敢行。この教訓は選手に積極性を生み、そして強いメンタルの獲得にも及んだ。
2つ目はチームの融和。練習場では至るところで様々な選手同士の会話が生まれた。新人・移籍組・外国人・ベテランの境界線なくプレーを確認。寝食を共にする環境も助けになり、意見交換を繰り返した。
そして、3つ目が戦術の落とし込みだ。守備では3バックと4バックを併用する方針で、動きの規則性をチーム全体で確かめ、攻撃では今季も課題となる“引いて守り切る”戦術を採られた時にペナルティエリアをこじ開けるべく、スペースへの走り込み方を徹底的に繰り返した。
秋葉監督は「これまでやってきたトレーニングの量と質には自信がある」と開幕戦に臨む今のチームに広がる思いを代弁する。2023年はつまずいた開幕で、必ずやスタートダッシュを成し遂げるという強靭なメンタルを手に入れたチームはいよいよ25日に熊本戦に臨む。
秋葉監督「自信を持ってピッチに」

-いよいよ開幕戦を迎える
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
自信を持って送り出せるメンバーを選んだ。これまでやってきたトレーニングの質と量には自信がある。選手達もこれだけきつく苦しいトレーニング乗り越えてきた。だからこそ、クラブを代表して開幕戦に選ばれた誇りとプライド、そして覚悟を胸に自信を持ってピッチに立ってほしいと思っている。
-熊本の印象
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
前から強い圧力をかけてくるし、パスをどんどん出して動き回るし、非常に好感の持てる、大木監督らしい非常にアグレッシブなチーム。見ていて楽しい、みんなが応援したくなるようなフットボールをしてくる。
それに呑み込まれることなく、2023年のホームでの戦い(1-3で敗戦)からどっちが成長しているのが問われるので、しっかりと勝ち点3を獲りたい。
-2023シーズンは開幕ダッシュに失敗したことがチームを苦しめた
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
2023年は頭の7試合で苦労したことで、終盤の勝ち点1に届かなくなってしまった。ましてや2024年は全38試合なので1試合の重みが大きい。
一戦必勝。目の前のゲームに集中することやアウェイの勝率を上げることが大事。そのアウェイスタートを2023年と同じ形で過ごそうとは思わない。勝つ確率が1%でも上がることがあれば、どんなことにもトライして変化をおそれることなくゲームに臨んでいきたい。
-主将に指名した北川選手の様子
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
明らかに変わった。身体のキレや確度。自分がチームを引っ張る自覚。主将だけでなくエースとしての矜持というかプライドというか、このクラブで育ってきて、見てきた選手がやってくれるんだなという気概がみなぎっているし、オーラのようなものを感じる。非常に楽しみ。
北川主将「やれる準備はすべてできた」

清水エスパルス・北川航也 主将:
やれる準備はすべてできた。いい形で試合に臨める。新しい選手とも情報共有ができた。主将だからどうとか、自分として変わることはないが、2024年は長くチームを引っ張ってくれた先輩が移籍したり、新しい選手が来たり、自分たちがやらなければならない環境になった。全員信頼できる仲間なので一緒にしっかり戦って勝ちたい。
2023年の熊本戦も厳しい戦いになった。苦しい時間帯があると思うが全員が共有して戦うべき。自分たちのスタイルを捨ててでもアウェイで勝ち点3を獲って帰ってくることが重要。
松崎選手「内容よりも勝つことが大事」

清水エスパルス・松崎快 選手:
個人的にはケガの回復が開幕に間に合ってよかった。チームとしては2023年あと一歩で悔しい結果になったということで、自分は2024年から参加して、何としても昇格というクラブ全体・サポーターの熱量を感じるので、そういう思いに応えられたらいいなと思う。
熊本はテクニカルなチーム。ボールを持ち続けるという信念を持っているクラブ。そういうブレない相手に対して、どこまでプレッシャーをかけられるか。自分たちがボールを握る時間を作れるかということが問われる試合になる。だが、まずは初戦。正直内容はどうでもいいので勝つことだけが大事。
自分がこのチームに来た理由というか、ゴール、アシストに繋がる攻撃の部分で違いを見せたい。熊本にもたくさんのエスパルスサポーターがきてくれると思う。その人たちのために気持ちを伝えられるような試合にしたい。
原副主将「苦しい時に何ができるか」

清水エスパルス・原輝綺 副主将:
鹿児島キャンプでは2023年にやってきたことを引き続き継続して、プラスアルファで持って行ける土台がしっかり持てていることと、新加入としてそうした戦術に沿った選手たちが入ってきてくれたので、2023年に足りなかったものを補うことにもつながるし、そこを合わせる良い時間になったと思う。
得点力については前の選手だけでなく、チーム全体でどう崩すかということ。自分はやることが変わらない。波がないようにチームをうまく動かすこと。苦しい時に何ができるかということ。
副主将になっても変わらない。相手に研究された分、苦しいシーズンにもなると思う。みんなが強い意志をどうチームに還元できるか一緒に考えていきたい。
吉田選手「自分が引っ張って行けたら」

清水エスパルス・吉田豊 選手:
鹿児島ではフィジカルもやったし、たくさん走ったし、より細かいところ、試合を想定した落としどころをしっかりと共有したので、より濃いところをやることが出来たよいキャンプになった。
メンタルもそうだが体力的にタフにならないといけないし、これを1日・2日やったからタフになるわけはないし、まずは1年間通してやり続ける。
一人でも多く、そういった選手がいればいるほど、強いチームというか強いクラブになっていくと思う。自分はこのチームでは経験がある方だと思うので引っ張って行けたらと思う。よいシーズンにしたい。
西原選手「まずはトップチームに昇格」

清水エスパルス・西原源樹 選手:
トップチームの練習の経験はなかなかないので、スピード感だったり、そこでしか感じられないことを吸収して、ユースに持ち帰りたいと思う。
まずフィジカル、身体の強さやプレースピードで全然違うと思う。
それでも焦らず落ち着いてトラップをしてやれば自分の良さが出せるのかとも思った。
自分の得意なプレーはスピードを活かしたドリブルで、相手を剥がして優位を作ること。課題は身体の部分や守備の戦術理解がまだだと思う。
テストマッチで4得点した手応えとしては、山形戦の1点目はちゃんと自分で獲れたのでよかった。“ごっつあん”の部分もあるが、ちゃんとここに来るだろうなと思って走り込んでいるので嗅覚もあると思う。
まずはトップに昇格し、エスパルスで戦って、いずれは海外に挑戦したい。
(テレビ静岡 報道部スポーツ班・外岡哲)