2023年3月、東京・台東区の自宅で4歳の次女・美輝(よしき)ちゃんに対し、向精神薬などを与え、殺害した疑いで両親が逮捕された事件で、Mr.サンデーは、細谷健一容疑者(43)と妻の志保容疑者(37)をよく知る人物を含めた10人の関係者を独自取材。「志保容疑者主導で月に200~300万円消費する」生活など、”妻が夫の支配者”という夫婦の異様な関係性が見えてきた。

「母が2018年1月、姉が4月、父が6月に死亡」

2人の間に2人目の子ども(長女)が誕生し、健一容疑者の父親が所有するマンションに引っ越した夫婦だったが、その後も、けんかが絶えず、感情的になった志保容疑者が台所の洗剤を飲んでしまって救急車を呼んだり、飛び出して警察に保護されたこともあったという。

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そんな暮らしの中、2018年、一家に異変が起きる。

志保容疑者を詳しく知る人:
健一(容疑者)から家族に不幸が重なったと言われた。母が2018年の1月に、姉が4月に、6月に父が亡くなったということだった。

当時、母は腎臓が悪く人工透析を続け、父は難病を患っていたという。健一容疑者らと同じマンションの別部屋に住んでいた41歳の姉は、不審死だった。

姉の死をめぐっては、再捜査の中で、美輝ちゃんと同じ不凍液の成分が確認され、さらに姉が亡くなる前、夫婦が不凍液を購入したことがわかっている。

そして…志保容疑者を知る人物によると、同じ頃、志保容疑者の母親も亡くなっていたという。

志保容疑者を詳しく知る人:
母親も浅草のマンションに移り住んでいて、健一(容疑者)の母親が亡くなるちょっと前に、末期がんで亡くなったと聞いた。

志保容疑者の母親も同時期に…

短い期間に、健一容疑者の父と母、姉に続き、志保容疑者の母親も亡くなるという異常な事態。

そんな中、健一容疑者は、父の死後、跡を継ぐ形でホテル運営会社の社長に就任すると、浅草のマンションも相続する。

しかし、その仕事ぶりを間近で見ていた元役員は、こう証言する。

健一容疑者の会社の元役員:
誰かと仕事の約束をしても、まず時間通りに来たことがほぼない。
なぜ来ないかというと、志保(容疑者)に呼ばれるんですよ。電話で。「家に戻ってこい」と呼ばれる。それで呼ばれると、すぐ飛んで帰っていくという形ですね。
(呼び出しの)ほとんどの理由が、「アイスミルクティー作れ」と。「アイスミルクティーを作れ」と(そのために)呼ばれる。
(志保容疑者は)動けない、動かない人。ぐうたら、尋常じゃない。

ーー2人の関係は志保容疑者が支配している?
健一容疑者の会社の元役員:
志保(容疑者)が上ですね。陰の支配者ですね。

志保容疑者主導で「月に200万~300万弱ほどお金を使う」

元役員によれば、それはお金の面でもみられたという。

健一容疑者の会社の元役員:
ざっくりですけど、1カ月に買い物とか、お金の使い方が200万~300万弱ぐらい。
志保(容疑者)主導ですね、どちらかというと。ブランド品っていうほどのものではなくて、もう安いもの。ものすごく大量に買い込むんですよ。あとはひっきりなしにネット通販で買う。

入手した自宅の写真を見ると、確かに、ネット通販の段ボールが積み上がっていた。

さらにモノで溢れたクローゼットには、よく見ると、女の子の服がびっしりとあった。

健一容疑者の会社の元役員:
(志保は容疑者は)虐待とか騒ぐとか叩くとかってなるとかじゃなくて、モノを与え過ぎちゃって、ひたすらモノで埋め尽くしてる感じ。
子供に対して、洋服ですね。結局、志保(容疑者)の着せ替え人形みたいなもんだったんで。

子供にモノを買い与える一方で…面倒見についてはこう証言する。

志保容疑者を詳しく知る人:
志保(容疑者)は、子供の世話をしなかった。子供の送り迎えは健一(容疑者)がやっていた。

健一容疑者の会社の元役員:
世話はできないです。だから、かわいい、かわいいで色んなモノを買ったり。

世話はしないが、子供はかわいがっているように見えたという。

ところが、2019年、美輝ちゃんが生まれると、志保容疑者に異変が起きる。事件前、志保容疑者と健一容疑者は、長男のことを「跡取り」、長女は「かわいい」とメッセージを交わしていた。

ところが、次女の美輝ちゃんについて、志保容疑者は「かわいくない」、健一容疑者は「いなかった方がよかったね」、他にも「なんか邪魔な存在」などとメッセージを送っていたという。

さらに2年前、美輝ちゃんが通っていた保育園では、美輝ちゃんに、引っかき傷や、青たん、黄色いあざなどがあったことが、計5回確認されている。

近隣住民「ヨレヨレな洋服とちょっとボサボサな感じ」

近隣住民に、志保容疑者と会ったことがあるか聞くと、「志保さんはない。奥さん(志保容疑者)とは全くない」、健一容疑者については、「あります。美輝ちゃんを保育園に送っているとき。美輝ちゃんを見たときは、痩せているよりは、ぽちゃぽちゃしていて、健康的な感じだった。人懐っこくて、駆け寄って来てくれた」と話す。

しかし、その姿は、「髪の毛がボサボサというか、あざは確認できなかったんですけど、あざはあったと聞きました。ヨレヨレな洋服とちょっとボサボサな感じで、上の子2人はちゃんとしつつと思ったので、なんか扱いが違うなとそこで思った」

警視庁は、美輝ちゃんにだけ、日常的なネグレクトがあったとみて捜査しているが、いったいなぜ、美輝ちゃんだけが標的となったのか?見えてきたのは、ある1つのきっかけだった。

健一容疑者の会社の元役員:
大げんかして、家のベランダに火をつけた。
(志保容疑者が)自分の洋服を全部重ねて火をつけて燃やしたと。

美輝ちゃんが生まれた2019年春、志保容疑者は自宅のベランダで洋服に放火する事件を起こしたという。そのため、児童相談所が長男、長女、そして当時0歳の美輝ちゃんを一時保護。志保容疑者が美輝ちゃんと再び顔を合わせたのは、約半年後のことだった。

するとその時、志保容疑者は信じられない言葉を口にしたという。

健一容疑者の会社の元役員:
この子はもう私の子じゃない、って言い出して。
まあ、確かに生後2カ月の赤ちゃんが生後7カ月、8カ月で帰ってくるともう感じも変わってますからね。自分がばかなことしたから、その期間見られなかったんだなとかそういう考えじゃなくて、児相が私の子供をおかしくしてしまったと本人が言ってましたね。

志保容疑者「児相が私の子供をおかしくしてしまった」

まさにそのころ、志保容疑者は父親宛てのLINEにこんなメッセージを書いていた。

「私は子どものために自分は1000円の服を着て、常に子どもの事を考えて、完全母乳で今時2人も育てて3人も産んで。虐待もしていないし、パパもママも子どもの為に生きていて、いつでも死ぬ覚悟で人生捧げて来たので、子どもが児相でおかしくなったんですよ」

「私の産んだ子どもを幼児退行させられた!3人共大きかった!健康に産んだ!○○(長男)は5歳でスーパー戦隊のレッドのスーツアクターと同じ動きするフィジカルエリート!○○(長女)は全ての女性の頂点!よっちゃん(美輝ちゃん)は知らないけどね!」

長男、長女を誇らしげに綴りながら、美輝ちゃんについては「知らない」と話す志保容疑者。

健一容疑者の会社の元役員:
面倒を見るわけじゃないのに、結局、赤ちゃん=自分のマスコット。自分のものだったんですね、彼女は。

実は健一容疑者は、会社の元役員に何度も相談を持ち掛けていたという。

健一容疑者の会社の元役員:
彼女(志保容疑者)に対してカウンセリングをしたいと。なので、プロのカウンセラー紹介したりとか。
「志保と離婚したい」って何回か私に言ってきたんですよ。特に放火して、留置されている間は「本当に離婚したいと思ってる」って言ってきて。「本当に離婚したいんなら離婚した方がいいんじゃないか」って話はその時にしたんですね。でも、結局また元に戻っちゃうんですけれども。だから、彼はものすごく、何も自分で決められない。

逮捕後、黙秘を続けている志保容疑者。一方の健一容疑者は、容疑を否認し「関与していません」と供述している。
(「Mr.サンデー」 2月18日放送より)

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