放送作家の鈴木おさむさんが自身の著書の中で「ソフト老害」を提唱した。40代~50代が良かれと思って行う言動が、実は若い世代の意見を抑圧してしまう状態を指す言葉だ。ソフト老害の行動パターンは、昔話・自慢話・説教の頭文字をとって「MJS」で表される。
高齢者でなくても…ソフト老害に注意
「ソフト老害」という言葉をご存じだろうか。
この記事の画像(11枚)放送作家の鈴木おさむさん(51)が1月に発売した著書『仕事の辞め方』の中で、自身にソフト老害という新たな言葉を使い、いま話題となっている。
そもそも「老害」の意味は、広辞苑(第7版)には「老人による害。硬直した考え方の高齢者が影響力を持ち続け、組織の活力が失われること」とある。
この「ソフト老害」とは、どういった意味なのか。鈴木おさむさんに話を聞いた。
放送作家 鈴木おさむさん:
会社と若い人たちの間の年代の人が、良かれと思ってやってしまっているバランスを取る行為によって、結果、自分より下の世代の意見をつぶしたり、却下してしまったりしている。40~50代の頭ぐらいが、僕的にはソフト老害といわれるゾーンに入ってくる。
では、若い世代は具体的にどういった言動に「ソフト老害」を感じているのだろうか。
10代の人は「バイトで『そのメイクどうなん?』みたいな。定められていないところで自分がどういうメイクするかは、別に自由でいいんじゃないかな」とコメント。
20代の人は「年齢が近いからこそ親身になってる感出して口出してくるケースは感じます。『お前の気持ちわかるよ』っていう的外れなのはしょっちゅうある」と話した。
鈴木おさむさんが「ソフト老害」に気付いたきっかけは何だったのか。
出席したある番組会議で意見を出したところ、番組の構成が変わり、若手ディレクターが準備していたVTRがカットされたことがあったそうだ。
後に、その苦い経験をディレクターから聞いた鈴木さんは、自分の一言によって若者たちが必死に考えた事を妨害していた、自分自身がソフト老害の加害者になってしまっていたと気付いたという。
若い世代の老害について研究をしている労働社会学者で千葉商科大学准教授の常見陽平さんによると、特定の年代に限らず若い人も注意が必要で、30代でも加害者になり得るという。
ソフト老害にならないために 3つの注意行動
では、どんな行動がソフト老害になるのだろうか。
常見さんは、ソフト老害の行動パターンを「MJS」で表している。「M」は昔話、「J」は自慢話、「S」は説教。
職場での実例は以下の通りだ。
「あの大型契約、実は俺だよ」など、仕事の武勇伝を語ることは「J」自慢話。「先輩の酒なくなったの気付けよ!」など、飲み会の振る舞い方を指摘するのは「S」説教。「コロナ前はさぁ…」 など、コロナ前の話をやたらとするのは「M」昔話。
そして、「お前の気持ちも分かるよ!」など、若手を理解している気でいるのも自慢話などにつながってしまう場合がある。
ソフト老害にならないためには、どうすれば良いのだろうか。
「後輩など若い人の良いところを探す」「若い人から教えてもらうという姿勢」を心がけ、後輩へのアドバイスも「私の時代はね~」などの経験談だけではなく、「参考になるか分からないけど…」などと謙虚に伝えることが大事だという。
(「イット!」 2月16日放送より)