マクドナルド、スターバックス コーヒー、ユニクロ…ウクライナ侵攻からまもなく2年が経過するロシアで今、本物そっくりの“コピー商品”があふれている。
その理由について専門家は、「プーチン政権は国民に戦争の影を感じさせたくない。模倣商品の横行とかを積極的に認める方針」と指摘した。

丸亀製麺→マル スターバックス→スターズ

ロシアの首都モスクワにある、人気のうどん店の店名は「マル」。

丸亀製麺跡地にあるうどん店の名前は「マル」
丸亀製麺跡地にあるうどん店の名前は「マル」
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閉店した「丸亀製麺」が名前を変えて営業している。

そして、コーヒーチェーンの「スターバックス」かと思えば、よく見ると「スターズ コーヒー」という店名の店も…。

本家「スターバックス コーヒー」のロゴマークは、冠をかぶった人魚のイラストだが、「スターズ コーヒー」の方は髪飾りをつけた女性が描かれている。店内に入ってみても、まるで「スターバックス」に来たかのようにそっくりだ。

さらに、日本でも人気の「ユニクロ」のような店構えの衣料品店。赤地に白のロゴマークの横に書かれていたのは、「ジャスト クローズ」という店名だった。

「品質は似ているが品揃えは似ていない」

そこでロシアの利用客に話を聞いてみた。

Q.ここの店、ユニクロに似てませんか?
モスクワ市民(女性):
ユニクロを思い出します。ロゴもユニクロと似ている

モスクワ市民(男性):
品質はユニクロと似ているようですが、品揃えは似ていない

モスクワの街を見渡すと、「サーティワン アイスクリーム」と似た「BRandICE」という店や、家電メーカー「ダイソン」ならぬ「ダイショップ」なる商品もあった。

本家の店の跡地でコピー商品を販売

まさに“コピー大国”となったロシアでは、何が起きているのだろうか?
2年前に始まったウクライナ侵攻後、「コカ・コーラ」や「マクドナルド」などの多くの外国企業が次々とロシアから撤退。

「ユニクロ」は事業を一時停止し、全店舗の休業を続けている。ロシアでも人気の高い「ユニクロ」では2022年当時、まとめ買いしようとする客で長蛇の列ができ、大混乱となる事態となった。

ロシア国民は、「ロシアでは世界のブランドなしではありえない」「早くブランドが戻ってくることを願っている」と嘆いていた。
その穴を埋めるように、ロシア企業が本家の店の跡地でコピー商品を売っているのだ。

スーパーマーケットの商品棚には「コカ・コーラ」ではなく「クールコーラ」や、「ファンタ」そっくりの「ファンシー」という飲料が並んでいた。

ウクライナ侵攻の前まで「マクドナルド」として営業していたハンバーガー店では、ロシア版の「ビッグマック」、その名も「ビッグヒット」という名前の商品もあった。

味は“本家”のままなのだろうか?
モスクワ市民に話を聞くと、男性「時々、ポテトが油で揚げすぎというか」、女性「私にとって(サービスの変化は)大きな痛みです」といった声が聞かれた。

専門家「国民に戦争の影を感じさせたくない」

ロシアを牽引する”コピー経済”。プーチン政権の狙いについて専門家はこう指摘する。

北海道大学 服部倫卓教授:
プーチン政権は、国民に戦争の影を感じさせたくない。そういう模倣商品の横行とかを積極的に認める方針をとっている。国民に今までと変わらない生活をしてもらうというのが、プーチン政権の方針ですね。
(「イット!」 2月15日放送より)

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