東京ディズニーリゾートがある千葉県浦安市が、「宿泊税」の導入の具体的な検討を4月から始めると発表した。

コロナ禍前の2019年には、年間約3000万人が訪れ、約800万人が宿泊したという浦安市。

宿泊税導入の狙いについて、航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんに聞いた。

舞浜駅周辺の整備や救急体制の拡充

ーー浦安市の狙いは?

浦安市は東京ディズニーランドが開業して40周年を迎えています。

JR舞浜駅は、住民よりも観光客の利用の方が多いにもかかわらず、混雑緩和や施設の整備に、浦安市民の税金を主に使っていました。

これを観光客から徴収することによって、舞浜駅周辺のインフラ整備や救急医療体制の拡充にかかる費用を捻出する狙いがあります。

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん
航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗さん
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ーー市民にとってのメリットは?

利用者の大多数は観光客が占めるということで、観光に関わるコストは浦安市に宿泊する観光客から徴収し、市民の負担を減らすことがメリットになります。

最近では、広島県の宮島においても、島に渡る客に対して100円の「宮島訪問税」を徴収して、港やトイレの整備、オーバーツーリズム対策などに使っています。

年間約7億円の税収見込み

「宿泊税」は2002年に東京でいち早く導入され、宿泊料金が1泊1万円以上の場合は100円。
1万5000円以上の場合は200円が請求される。

浦安市でも導入され、1人1泊100円を徴収した場合、年間約7億円の税収が見込まれるという。

ーーどれくらいの収益が見込まれる?

1人1泊100円を徴収した場合は、年間約7億円の税収が浦安市に入るという想定があります。

宿泊者のほとんどは東京ディズニーリゾートを訪れる観光客なので、JR京葉線舞浜駅周辺をはじめ、市が整備しなければいけない所の費用を賄うことができると考えられます。

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多くの人が観光地を訪れることで街は潤いますが、一方で、受け入れ態勢の整備にもかなりのお金がかかります。

それらを市民からの税金ではなく、実際に利用する観光客から直接徴収して駅前の整備費などに充てることで不平等感を解消する期待があります。

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ーー東京や京都でも宿泊税を徴収しているが?

すでに大都市を中心に宿泊税を徴収しているケースがあります。

得られた税収は、観光面で必要なバリアフリーの整備であったり、安心して旅行ができるような多言語表記などに充てられています。

相次ぐ「宿泊税導入」の動き

コロナ禍が明け、観光ムードが高まる中『観光振興にあてる財源として宿泊税が必要』などと考える自治体は増加している。

導入に当たって鳥海さんは、「使途の透明性」が重要だと話す。

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ーー舞浜のホテルに影響は出る?

今回の仕組みは、浦安市に代わって、ホテルが代理徴収して市側に払う流れです。

すでにほかの自治体でも宿泊税を導入していて、スキームは出来ているのでそれほどハードルは高くないと思います。

特に浦安市の宿泊客はほとんどがディズニーリゾートを訪れる観光客です。
ビジネス出張の方から宿泊税を徴収するといろいろな問題が起きそうですが、観光客が大多数を占めていることで、他の自治体に比べて導入しやすい環境と言えます。

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ーー理解を得るために必要なことは?

徴収した金額がどのようなことに使われているのかを明らかにする必要があります。

透明性のある使い方をすれば、大きな反発は出ないのではないかと思われます。