アイヌ民族の狩猟犬をつとめ、近年はCMで「お父さん」として有名になった、北海道犬。

いま頭数が減少し、ピンチを迎えている。
北海道の人々を支えてきた北海道犬
必死に走って、お母さんのおっぱいを無心で飲む子犬たち。

2023年12月、北海道東部・中標津町で産まれた北海道犬の赤ちゃんだ。
天然記念物の北海道犬。
寒さに強く忍耐強い性格で、厳しい北海道で人の暮らしを支えてきた。

1980年代に行われた北海道犬の能力などを評価する競技会では、ヒグマにも臆せず立ち向かおうとしていた。

北海道犬は狩猟犬としてアイヌ民族の生活を支えてきた。
CMでは「お父さん」として人気に
そして2000年代、脚光を浴びる出来事が。
携帯電話のCMにお父さんとして出演した「カイ」君が人気者になった。

撮影会は人だかり。

認知度が高まって人気かと思いきや、いま数が激減している。
「北海道犬」が激減でピンチ

北海道犬保存会によると、ピークの1970年代は1年間に7000匹ほどが生まれていた。
しかし、2023年はなんと199匹。
街中で見かけることも少なくなった。

なぜなのか。
北海道犬の保存会に話を聞くと。
「家の外で番犬として飼う人、外で飼っている犬なんていない。みんな家の中で犬を飼う。小型犬が主流なんですよ」(天然記念物北海道犬保存会 佐藤 幹 副会長)
マンションなど室内で犬を飼う人が多い今、小型犬が人気に。
現代のライフスタイルと合わず、飼う人が減っているのだという。
北海道犬を飼う人は
そんななか、2023年9月から新たに北海道犬を飼い始めた夫婦が札幌市にいる。
出迎えてくれたのは、飼い主の山口さんと北海道犬のサン君。

「人に対して警戒心がけっこう強くて、慣れてない人が近づいて来たりすると結構吠える」(サン君の飼い主 山口歩さん)
北海道犬は警戒心や自立心が強いといわれる。
飼い主の山口さんが遊びに誘っても。
「(ボールを投げる)あれ~、落ち着いちゃいましたね。猫のような性格ですね。気が向かないと遊んでくれない」(山口さん)

しかし、帰宅したときに見せてくれるのは甘えた姿。

そう、ツンデレなのだ。
「しっぽ振って喜んで近づいて来てくれるのは、朝起きた時と仕事から帰ってきたときの一日2回とか。その分余計にかわいい」(山口さん)
北海道犬は専門家によると他の犬種に比べて自我が芽生え始めるのが早く、子犬の頃からのしつけが大切だ。

山口さんも、サン君が赤ちゃんの頃から週に一度トレーナーの元に通った。
「4カ月までの間に体のいろんなところを触ったりとか、人に会わせるとかそういうのをできるだけやってくださいというのは言われました」(妻・佳恵さん)
頭数が減少してピンチを迎えている北海道犬。

「北海道犬は主にしか懐かない気質があるので、保護犬になった後に引き取っても懐かないと思う。最初に責任を持って飼える人が増えてくれればいいな」(山口歩さん)
北海道でともに暮らしてきた北海道犬。
人間のライフスタイルは変わっても、凛々しく、愛らしい姿は変わることはない。