中国の旧正月「春節」の帰省ラッシュがピークを迎えた。

延べ90億人の大移動で、国内では混乱も起きている。一方、来日した中国人の買い物事情には気になる変化が起きていた。

駅にも空港にも大行列

たくさんの荷物を抱えた人たちが大行列を作っていたのは、中国の上海虹橋駅。2月7日午前、駅は大勢の乗客であふれ返っていた。

上海虹橋駅は身動きが取れないほどの混雑
上海虹橋駅は身動きが取れないほどの混雑
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駅の構内を埋め尽くす、人、人、人。身動きが取れないほどの混雑ぶりだった。電光掲示板を見ると、7日の乗車切符は、ほぼすべてが売り切れ。

中国では旧正月「春節」の大型連休が目前に迫り、帰省ラッシュがピークに突入した。

北京市内の駅にも多くの帰省客が
北京市内の駅にも多くの帰省客が

北京市の北京南駅にも多くの帰省客が詰めかけた。これからふるさとに帰る人々は多くの荷物を抱え、とても混雑していた。

空港の国内線窓口も大行列
空港の国内線窓口も大行列

春節の特別輸送として、各交通機関が大幅に増便され「春運」と呼ばれるこの時期、北京の空港でも国内線の窓口に大行列ができていた。

「春節」前後で延べ90億人が大移動する見通し
「春節」前後で延べ90億人が大移動する見通し

2024年の春節は、2月10日から17日までの8連休。この期間の前後で、中国国内では過去最多となる延べ90億人が大移動する見通しとなっている。

列車内は通路やデッキまでぎゅうぎゅう詰め。乗客は見動きが取れない状況にじっと耐えていた。

ふるさとや観光地に向かう渋滞も深刻となっていた。中国南部のリゾート・海南島では、海岸沿いの道路を車が埋め尽くし、車列が動く気配はなかった。

使用禁止の動きが広がった爆竹・花火の制限緩和も

こうした中、取材班が向かったのは中国北部の街・ハルビン。ハルビン市で有名なロシア建築の教会の前には、非常に多くの観光客が来ていた。

ハルビン市の花火や爆竹を売る市場には多くの人が
ハルビン市の花火や爆竹を売る市場には多くの人が

春節を迎えるための花火や爆竹をを買うため、市場には多くの人たちが集まっていた。爆発音が邪気を払うとされる爆竹や花火は、年越しに欠かせない春節の風物詩。

大気汚染対策で爆竹や花火の使用禁止が広がる中、「電子爆竹」も販売
大気汚染対策で爆竹や花火の使用禁止が広がる中、「電子爆竹」も販売

ところが近年、大気汚染対策で使用禁止の動きが広がり、中国国内では、LEDライトと電子音で爆竹を再現した「電子爆竹」なるものが販売され話題になった。

2023年、「ゼロコロナ」政策の撤廃後、初めての春節で市民から爆竹解禁を求める声が上がったことを受け、一部の地域で制限を緩める動きが出た。

上海の空港には日本へ向かう多くの人々が
上海の空港には日本へ向かう多くの人々が

「今の中国人は爆買いはしない」買い物事情に変化も

一方、7日昼過ぎの上海の空港では、春節休みを日本で過ごすという人たちが胸を躍らせていた。

日本に旅行する人は「東京と北海道(に行きます)」「以前、日本に行って楽しかった。雪を見に行きたいです」などと話した。

7日午前の東京・浅草の雷門前は、多くの中国人観光客でにぎわっていた。春節が目前に迫る中、都心では多くの中国人観光客が目につく。

東京・浅草の雷門前にも多くの中国人観光客が
東京・浅草の雷門前にも多くの中国人観光客が

雷門前で「テイラー・スウィフトのコンサートを見に来ました」と話す中国からの観光客もいた。

銀座では、中国からの観光客がショッピングを終え、大きな袋を持っていた。高級ブランド「ルイ・ヴィトン」などの大きな紙袋を手にした中国の女性3人組。

高級ブランド「ルイ・ヴィトン」などの大きな紙袋を持った3人組
高級ブランド「ルイ・ヴィトン」などの大きな紙袋を持った3人組

── 何を買ったのですか?

中国からの観光客:
バッグとマフラーを買いました。28万円ぐらいです。

広州市から来たというカップルも、買ったばかりというルイ・ヴィトンのバッグを提げていた。

日本限定のバッグを買えてご満悦のカップル
日本限定のバッグを買えてご満悦のカップル

広州市からの観光客:
約31万円(1万5000元)くらい。日本の方がちょっと安い。これは日本限定の製品で、中国には売っていません。

日本限定のバッグを買えてご満悦の様子。円安の追い風を受ける2024年の春節だが、中国人の買い物事情には気になる変化が起きていた。

四川省からの観光客:
中国と比べたらちょっと安い。

上海から来たという20代の夫婦は、FENDIのスニーカーを購入したという。

「今の中国人は爆買いはしない」と上海からの観光客。FENDIのスニーカーを購入
「今の中国人は爆買いはしない」と上海からの観光客。FENDIのスニーカーを購入

上海からの観光客:
13万円。同じものを中国で買うと16万円する。今の中国人は爆買いはしない。

トレンドは「爆買い」ではなく、狙った高級品の「一点買い」

中古品も扱う銀座のブランド品店でもその傾向が見られた。続々と中国人観光客が来店し品定めをしているが、何も買わずに帰る客も少なくない。

そうした中、上海から来た20代の男性は、高級ブランド「モンクレール」のダウンジャケットを一点買い。約24万円を現金で支払った。

「コロナが終わったあと、(中国の)経済も良くないし、貯金意識も前より高い」と話す
「コロナが終わったあと、(中国の)経済も良くないし、貯金意識も前より高い」と話す

上海から来た20代:
消費のレベルは下がっているよ。限りのあるお金をもっと有意義に使いたい。コロナが終わったあと、(中国の)経済も良くないし、みんなの使えるお金が減っている。貯金意識も前より高い。
(「イット!」2月7日放送より)