流氷で覆い尽くされた世界自然遺産・知床の海で、ある異変がキャッチされた。

この記事の画像(9枚)

十数頭のシャチが、流氷のわずかな隙間から顔を出し、息継ぎをするような動きを繰り返している。シャチの群れが、流氷に閉じ込められたのだ。

シャチの数は少なくとも13頭 子供のシャチも確認

これは6日午前10時ごろ、北海道知床の羅臼町沖で撮影された映像。十数頭のシャチが一面を覆った流氷に囲まれ、身動きがとれなくなっていたのだ。

脱出をはかろうとしてか、体を上下に動かしたり、一度 海中に沈んだ後、大きく身を乗り出すような様子が見られた。

6日午前8時すぎ、地元の漁業者から観光船の運航会社を通じて、「シャチが流氷に閉じ込められているようだ」などと、羅臼町の職員に連絡があった。

町によると、シャチの数は少なくとも13頭で、子供のシャチも確認された。
この様子を、ドローンで撮影した人はこう説明する。

撮影した土屋誠一郎さん:
もう穴が小さい状態だったんで、もうみんな縦になって、呼吸するためにだけ頭出す、顔出して一生懸命って感じの状態

羅臼の海では、2005年にも12頭のシャチが流氷に閉じ込められ、救助活動が行われたものの、衰弱した数頭が死んだ。

原因は?専門家「家族の絆の強さも邪魔した」

今回の群れは、なぜ流氷に閉じ込められてしまったのか。動物の生態に詳しい、パンク町田さんは…

動物の生態に詳しい パンク町田さん:
彼らが呼吸するためには、あそこの狭い空間にいないと息ができない。体力のある個体であれば、なんとか泳いでこの危機を脱することもできるんでしょうけども、他のメンバー(子供)をおいて行けないので、共倒れになってしまう。グループというか、家族の絆の強さなんかも邪魔している

映像でも、潮を吹き懸命に呼吸をしている様子が見られた。

今回の現場は一面が流氷に覆われているため近づくことが出来ず、町は状況を見守るとしているが、その後、群れは見えなくなったという。
(「イット!」2月6日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(9枚)