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北朝鮮が自ら設定したアメリカとの非核化交渉“期限”である年末が迫る中、挑発をエスカレートさせている。そして中国は習近平主席の国賓訪日を控えた友好ムードの一方で、日本への軍事的“圧力”を増している。問題山積の中、国内でも自衛隊「中東派遣」について政府と与党の調整が始まる。そこで今回の放送では、元防衛副大臣と陸・海・空の元将官をお迎えし、日本の安全保障の「今」を徹底分析した。

「有志連合」ではなく「独自派遣」の意味は?

長野美郷キャスター:
自衛隊の中東独自派遣について、実際に現場で活動に携わる自衛隊はどういった任務を行うのか伺っていきます。12月23日の閣議決定を目指し、現在政府が検討している派遣計画がこちら。

オマーン湾、アラビア海北部、イエメン沖、バベルマンデブ海峡東側のアデン湾を中心に活動。海上自衛隊の護衛艦1隻を派遣し、ソマリア沖で海賊対処にあたる哨戒機1機の任務を切り替えを活用。防衛省設置法に基づく「調査・研究」を法的根拠とし、情報収集活動を行う。日本関係の船舶が襲撃された場合、自衛隊に基づき武器使用が可能となる「海上警備行動」が発令される。派遣期間は1年、国会報告を少なくとも1年ごとに実施するという計画である。

長野美郷キャスター:
アメリカ主体のいわゆる「有志連合」に参加せず、「独自派遣」を行うことをどうお考えですか。

元防衛副大臣 衆議院議員 長島昭久氏:
ここにはイランとの長年の良好な関係・アメリカとの同盟関係の中での、絶妙なバランスの政治的メッセージがあります。
そして海上自衛隊の歴史の中でも、日本が海洋の安全に主体的にコミットする上で、ここまで世界にアピールする機会は初めてです。他国と情報を共有しながら「面」で地域を安定化させていく方向に、日本が主導権を持ってやっていく点が画期的だと思います。

元防衛副大臣 長島昭久 議員

反町理キャスター:
そこで具体的に何をするのか、というのが問題になってきます。調査・研究目的での自衛隊派遣では何ができるのでしょう?

元自衛艦隊司令官 元海将 香田洋二氏:
基本的な情報収集です。最も脅威が高いのはホルムズ海峡ですが、アデン湾の付近もポイントです。イエメン情勢等を考慮すると、ISやイランの影響を受けた不穏な海上行動がかなり起きています。
今回日本はレーダーを使い、不審船などについて連続的に情報収集・蓄積をします。仮に今後日本船舶が危険になって有志連合に入るというときにも、その際に必要な生の情報も取れます。

護衛艦や日本関係船舶が危険に晒された場合は?

反町理キャスター:
現状においては、調査・研究目的で行く護衛艦は、航行する日本船舶に随行して警護はできない? 正当防衛・緊急避難とはどんなケースで、どういう状況では発砲ができるのでしょうか。

元自衛艦隊司令官 元海将 香田洋二氏:
日本関係の船舶が危険に晒されている場合、武器を使わずに“体を張って間に割って入ること”は可能です。このように“割って入ること”などもROE(部隊行動基準)に書かれる必要はあります。しかし公には情報収集が任務なので、任務外となります。銃火器を使用することも含め派遣する前提とはしません。

元自衛艦隊司令官 香田洋二氏

元統合幕僚長 元陸将 折木良一氏:
派遣する前提は、現状の情勢が比較的厳しくないので、調査・研究名目で出すということです。当地を航行する日本関連船舶が数千に及ぶのに対して護衛艦は1隻しかないので、安全確保なのか、情報収集なのかという点では情報収集そのものしかありません。

反町理キャスター:
しかし、万が一危険な場面に遭遇したらどうするのかという議論が常に出ます。このままではいつまでも変わらないのでは?

元統合幕僚長 元陸将 折木良一氏:
情勢が悪くなれば調査・研究から海上警備行動に切り替えるのはいいです。ただ現場で判断できることではない。だからスムーズな切り替えのためには、ROEに組み込み、幅のある訓練を行って派遣しなければなりません。

元統合幕僚長 折木良一氏

「海上警備行動」とは。警察権と自衛権の違いは?

反町理キャスター:
今回の中東への派遣は調査・研究目的ですが、緊張の高まりによっては「海上警備行動」に移る可能性があり、この場合は「警察権の行使」に基づく武器使用が可能になります。これはどの程度の武器使用なのでしょう?

元自衛艦隊司令官 元海将 香田洋二氏:
まずこれは憲法における「自衛権の発動」ではない。任務の遂行において最低限必要な武器を使用するということです。日本関係船舶を攻撃しようとする船を認めた場合に警告を行い、“割って入り”、ROEの内容にもよりますがその後警告射撃を行うことが考えられます。

反町理キャスター:
「警察権の行使」と「自衛権の発動」の違いは? 僕らの薄い理解で極端に喩えると、相手が石を投げてきたら石しか返せないのが警察権、相手が石を投げてきたら反撃して壊滅させることができるのが自衛権と考えるがどうか。

元航空支援集団司令官 織田邦男氏

元航空支援集団司令官 元空将 織田邦男氏:
加えてもう一つ、主語の違いがあります。自衛隊法では警察権における主語は「自衛官」、自衛権では「自衛隊の部隊」。ですから警察権では、トリガーを引いたら引いた本人に責任が及ぶということです。警察官と同じです。

反町理キャスター:
調査・研究から海上警備行動に切り替わるとき、防衛大臣の要請から総理の承認へというプロセスになります。情勢の判断からここまで、どのくらい時間がかかりますか? リアルタイムに行えるかという点が心配です。

元統合幕僚長 元陸将 折木良一氏
海上警備行動の発令においては、全般の状況を見て危険性があるときに発令してもらう必要があり、判断が難しいです。だから情報収集を能動的に行う必要があります。そして有志連合の話もありますが、他国との連携からどのように情報を集めるか。いずれにせよ、そうした情報に基づき、前もって海上警備行動は発令すべきだと思います。

「軍からの安全」から「軍による安全」に

反町理キャスター:
海外に自衛隊を派遣するときの日本のルール。いつも窮屈な話になるのですが、これについてはどうお感じになるりますか?

元航空支援集団司令官 元空将 織田邦男氏:
日本の場合は法的に空白のある部分について、タイムリーかつシームレスに対処できないという問題があります。一方で自衛隊の能力は上がってきています。自衛隊法は、自衛隊が暴発しないようにという「軍からの安全」という観点からできていますが、これからは「軍による安全」と発想を変えなければいけません。政治が統制して、タイムリーに派遣でき、任務を果たせる。政治がROEを示していくから暴走もしない。自衛隊は世界一軍規の高い軍隊と思っています。

長野美郷キャスター:
視聴者からのメールです。安全保障の信頼度は装備力のほかに、法的・社会的後押しに支えられると思います。日本の安全保障は装備力以外の部分で大きなハンディキャップがあるのでは?

元自衛艦隊司令官 元海将 香田洋二氏:
我々は今の憲法のもと、民主主義をしっかり守って任務を達成するということで育てられてきています。様々な問題があるのは当たり前です。その中でも任務達成のために鍛えられているのが自衛隊です。最後には国益のために行動するのですが、そのときには国民に骨を拾っていただければ、我々は何の憂いもなく任務を達成できると思います。

BSフジLIVE「プライムニュース」12月12日放送分より