スポーツクライミング・スピードで、“日本最速”の大政涼選手。故郷の愛媛からパリオリンピック出場権獲得を目指す若きクライマーは、「絶対に金メダルを取りたい」と強い意気込みを見せている。

わずか“5秒”の戦いに挑む

重力に逆らうかのように15メートルの壁を一気に駆け上がり、わずか5秒で決着がつく電光石火の戦い。それがスポーツクライミング「スピード」の競技だ。

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その「スピード」で日本最速のクライマーは、松山市出身の松山大学3年・大政涼選手である。

大政涼選手は「最後まで登り切ったときの達成感が一番好きです。タイムがちゃんと出るので観る側にもわかりやすい種目だと思いますし、競技時間も短いので盛り上がると思います」と話す。

日本勢初の快挙!ワールドカップで銅メダル

大政選手がスポーツクライミングを始めたのは小学5年生の時、家の近くにジムができたことがきっかけだった。その後、ジュニアオリンピックや国体でも優勝するなど、頭角を現してきた。

「スピード」では“15メートルの壁”をいかに早く登るかを競う
「スピード」では“15メートルの壁”をいかに早く登るかを競う

スポーツクライミングには3つの種目「ボルダー」「リード」「スピード」があり、最後の15メートルの壁をいかに速く登るかを競うのが「スピード」だ。前回の東京オリンピックでは3種目が複合されたが、次回のパリオリンピックでは「ボルダー」「リード」が複合され、「スピード」は単独種目となる。

力勝負の「スピード」が長らく苦手とされてきた日本だが、大政選手は、スイスで開催されたワールドカップで銅メダルを獲得し、日本勢初の快挙を成し遂げた。

167cm、61kgという体格ながら、懸垂トレーニングで鍛えた「引く力」が、彼の速さの秘訣だ。

15メートルの壁で4秒台を目指す

大政選手が持つ日本記録は5秒07。世界トップと競い合うためには4秒台への突入が必要であり、大政選手には伸びしろもある。

大政選手が、15メートルの壁の「スタート」「加速部分」「ゴール」の各パートで最速タイムを出せば、合計で4秒87というタイムが想定され、これは現在の世界記録4秒90を更新する。

青木亮二コーチは大政選手について、「伸び盛りで伸びしろがあるので、パリでメダルを取ってほしい。夢は、4秒台の世界新記録をマークすることです」と語っている。

パリオリンピック出場への道は狭き門で、世界でわずか14人だけが出場することができる。アジア大陸予選ではチケットをつかむことはできなかったが、大政選手にはまだチャンスがある。5月に中国、6月にハンガリーで行われる世界最終予選で、合計ポイント上位5人に入れば、オリンピック出場権を獲得できる。

大政選手自身も「今の一番の大きな目標がパリオリンピックに出場することです。苦手なパートをなくしていき、安定した登りを目指しています」と語り、「今年はパリオリンピックで絶対に金メダルを取りたい」と強い意気込みを見せている。

その腕で夢を引き寄せ、故郷愛媛からオリンピックへ。
若きクライマーが世界の頂へ挑む。

(テレビ愛媛)

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