愛媛のご長寿アスリートを取材。年齢を感じさせないパワーの秘訣に迫った。
投てきのスペシャリスト 練習は毎日
西条市の平田数秋さんは昭和7年(1932年)生まれ。御年90歳のご長寿アスリートだ。
この記事の画像(13枚)重さ3kgの鉄球が付いたハンマーを体の回転力を生かし、豪快に投げるだけでなく…。
平田数秋さん:
80歳以上は400gが正規の重さ。この450gは自分で作っとんですよ。ちょっと重いけど練習用に
長さ約2mある「やり投げ」も、助走をつけて勢いよくリリース!
Q. 練習は?
平田数秋さん:
毎日。ここへ来るか、西条の体育館に行って筋トレ
平田さんは2022年7月、全日本マスターズの投てき五種競技において総得点3037点で優勝。日本新記録を樹立した。
8月の四国マスターズでも「砲丸投げ」と「やり投げ」で大会新記録を出すなど、日本を代表する投てき競技のスペシャリストだ。
競技場の管理者:
すごいと思います。ここへ来よる人も「わし、あんな真似ようせん」と。それくらいすごい人です
Q. 競技の魅力は?
平田数秋さん:
(結果が)何cmという単位で数字に現れるでしょう、それが自分の励みになる。陸上競技はタイムがある。タイムを縮めるいうことが、ひとつの楽しみですわ
競技と共にあった人生 61歳の世界大会で…
平田さんが陸上競技を始めたのは高校生のころ。戦後まもない時代だったが、長距離走者としてインターハイにも出場した。
平田数秋さん:
おふくろに足袋を縫うてもろて。1回履いて走ったら、もう終わり。次の試合はまた足袋を縫ってもらう。スパイクを履きだしたのは、世に出た昭和25~26年過ぎてじゃないですか
その後も社会人ランナーとして、文字通り激動の昭和を走り抜けた平田さん。50歳からはマスターズに挑戦の舞台を移した。
Q. 思い出深い大会は?
平田数秋さん:
世界選手権で0.1秒差で決勝に残れんかったいうことです
平田さんが61歳の時に出場した世界大会の300mハードルの準決勝。平田さんのタイムは50秒56、100分の1秒差で決勝に進むことができなかった。
平田数秋さん:
一番の心残りですね。世界大会でファイナリストになるのと、セミファイナルになるのと、大きな違いでしょう。ファイナリストになれなかったんですよ
体調に異変 悩んだ末の新たな挑戦
そしてこの頃、平田さんは体調に異変を感じ、走るのが困難になった。
平田数秋さん:
もう、これは足の調子も心臓も良くならんと。64~65歳から70歳くらいまで(陸上を)やるかやめるか、ひとつの境。やるとしても走るのか、投てきをやるのか迷うたんですわ
そして、平田さんが選んだのは陸上を続けることだった。ただ走ることは諦め、70歳から投てき競技に挑戦している。
平田数秋さん:
少々のかけ足とか、投げることはできる。ずっとやめることなしで続けている。そうでないと一回、年を取ってやめたら再起がないと思いますね。記録を伸ばすというより、いかに自分の記録を悪うせんかという努力。今、伸びろと言うても伸びんのです。どこまで支えられるかです
時に喜び、時に悔しさも…。人生を支えてくれた陸上に、平田さんは自分の「今」をしっかりと感じている。
(テレビ愛媛)