福岡・大牟田市に伝わる奇祭「臼かぶり」。凍える寒さのなか、力自慢の男たちが大量の水を被った。

新年に水をかぶる伝統行事「臼かぶり」

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「おっしゃああ」と雄叫びを上げながら、渾身の力で水が入った木の臼を抱え上げ、頭に被り、豪快に放り投げる!これこそ、大牟田市三池地区に伝わる新年の伝統行事「臼かぶり」だ。

いまから150年ほど前に起きた大火事をきっかけに、再び火事が起きないことを願い、新年に水をかぶるようになったと伝えられている。

そこで使われたのが当時、それぞれの家にあった「木臼」だった。

就学前児童から還暦のベテランまで参加

2024年1月8日、大牟田市の気温は3.5度。凍える寒さの中、先陣をきったのは、春から小学生になる立石奏太君。臼の代わりに使われたのはバケツだ。

地域のみんなから声援を受けるが…、身を切るほどの寒さの中、ちょっと怖じ気づいたのか、戻ろうとする奏太君。お父さんに連れられてもう一度、舞台へと向かう。

ザブーン。お父さんに手伝ってもらい、何とかやり切ったが―。

記者「どうだった?」
お父さん「寒い?」
春から小学生・立石奏太君「…(泣きそう)」

臼かぶりを何とかやり遂げた新人記者
臼かぶりを何とかやり遂げた新人記者

TNCの新人記者、中村優志記者も参戦。サポートを借りて、何とかやり遂げた。

中村優志記者:
すごく重くて、すごく寒いです。それでも皆さん、気合でやられてるので、本当にすごいなと思います。

そして、祭りを盛り上げたのは年男の坂井孝敏さん、還暦だ。水を入れると最大で重さが90kgにもなる臼を持ち上げ、見事にかぶった。

年男の坂井孝敏さんは「やっぱりね、体力の限界。いままでかぶってきたばってん、もうそろそろかな。でも満足。満足」と笑顔で答えた。

「よおし!よおし!」大満足の成人臼

先輩の背中を見て地域で育った若者もいる。20歳を迎えた緒方俊大さんだ。俊大さんがかぶるのは「成人臼」。水をかけ、気合を入れるのは緒方さんの父親の俊之さんで、息子の節目の舞台に活を入れる。

俊大さん、気合を込めて「うりゃああ」と雄叫びを上げる。周囲から熱い声援を浴び、成人臼を豪快にやりとげた。「よおし!よおし!」と父親の俊之さんも満足する臼かぶりだった。

成人を迎えた緒方俊大さん:
面白かったです。最高でした。ちょっと本当のこと言うと長く持ちたかったですけど。良い20歳になりました。本当に。

2024年、参加したのは総勢43人。火事など災いがないことが願われ、地域は熱気に包まれた。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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