自民党最大派閥・安倍派の政治資金をめぐる事件で、東京地検特捜部は、衆院議員・池田佳隆容疑者(57)の逮捕に踏み切りました。
この記事の画像(12枚)愛知3区を地盤にしており、比例代表・東海ブロック選出で当選4回。2022年8月まで10カ月間、文部科学副大臣を務めた議員の逮捕。
池田容疑者は、2022年までの5年間に、派閥から約4800万円のキックバックを受けたにもかかわらず、収支報告書に記載せず、嘘の記載をした疑いがもたれています。
これを受けて、自民党は7日、池田容疑者を除名処分にすることを決定しました。
元東京地検特捜部・副部長の若狭勝弁護士は、特捜部が3連休の中日にあたる日曜日に逮捕したことに意味があるといいます。
若狭勝弁護士:
日曜日に逮捕するというのは、特捜部のやり方としては、あまりない話なんです。それだけに、早めに逮捕したほうがいいと。早めに逮捕して、真相をもっと掘り起こして認定していく必要があるということで。
池田議員は安倍派の中でかなり裏金システムについて知りうる立場だったということで、池田議員が一連の派閥内における、誰がどのように関与しているかというのを、やっぱりよく知っているという見立てがあったがために、“証拠隠滅している”という見立ても踏まえて池田議員を逮捕したということだと思います。
驚がくの“現職議員逮捕” スピード除名の理由とは?
逮捕当日に除名というスピード処分を下した自民党。
東京地検特捜部などを取材した、フジテレビ報道局編集長・平松秀敏解説委員は、逮捕の一報を聞いた際、“驚き”があったといいます。
平松秀敏解説委員:
収支報告書の不記載、虚偽記入というのは基本的に対象は会計責任者なんです。過去のケースを見ても、現役の国会議員が逮捕されることなんてほとんどない、非常にまれだった。にも関わらず、池田容疑者は今回逮捕されたというわけで、これはよほど悪いことをやっていたと。悪質なことをやっていたからこそ、逮捕に踏み切るしかなかった。
――金額だったり隠し方だったり?
金額だけじゃないと思います。おそらく証拠隠滅という度合いが、本当に悪いことをやっていたのだろうなと。
橋下徹弁護士:
今までの自民党の態度からすると、除名処分なんて普通やらないんですよ。今回は、完全にトカゲの尻尾切りというか、早くひとりでもふたりでも除名でもやって「厳しい態度を示していますよ」ということを、示すためにやったとしか思えないです。
今後の捜査の行方「他の議員も立件される可能性」
安倍派の幹部らを含む捜査の行方は、今後どうなっていくのでしょうか?
――特捜部はなぜこのタイミングで逮捕に踏み切ったのでしょうか?
平松秀敏解説委員:
もう少し早くても良かった気がするんです。本当にギリギリのタイミングの逮捕なんです。特捜部は1月下旬に予定されている通常国会までに、何らかの捜査の目処を立てたかった。一方、逮捕したら最大20日間の勾留期間というのが認められるんです、これを池田容疑者に当てはめると、きのう逮捕ですから、20日間足すとちょうど国会召集日と重なるくらいに満期を迎えると。だから本当にギリギリのタイミングでの逮捕だと。
若狭勝弁護士によると、池田容疑者は環流金額が大きく、派閥内で誰がどのように関与しているかなど、“裏金システム”に精通している可能性があるため、正式起訴で禁固2年の求刑、有罪なら3年の執行猶予付き判決になるのではないかといいます。
――今後、同じく4000万円を超えている、大野議員や谷川議員を立件する可能性はあるのでしょうか?
平松秀敏解説委員:
立件される可能性は十分あると思うのですが、逮捕されるかというとなんとも言えないです。やはり、“証拠隠滅”のような悪質な行為が認められたら逮捕されるのでしょうけども、今のところそのあたりが見つかっていなさそうなので、そうなると在宅起訴や略式起訴でとどまる可能性があるかと。
(関与する議員をすべて逮捕すると)国会が立ちゆかなくなると思いますし、政治不信が極まれりという状態になると思うんですけども、どこかで線を引かなくてはいけないので、国会が始まる1月下旬までに、特捜部が判断していくことになると思います。
――このペースで事務総長クラスまで捜査が及ぶのでしょうか?
平松秀敏解説委員:
東京地検特捜部は、確かに法と正義の元に厳正な捜査をするというイメージがあるんですけども、一方で世論とか国民感情をすごく気にするんです。なぜならば、国民感情を背負って捜査しているんだという自負があるので、そうすると、事務総長クラスを立件しないと国民は納得しないじゃないですか?無理やりとは言わないですけども、なんとか頑張って立件するのではないかなと思っています。
(「めざまし8」1月8日放送より)