山形県では2023年、悲惨な衝突事故や殺人事件・拳銃の誤発砲などさまざまな事件・事故が相次いだ。また、クマによる被害も相次ぎ、2022年の大みそかには大規模な土砂崩れも発生した。「事件・事故・災害」をテーマに、山形の1年を振り返る。
各地で起こった事件・事故
2023年は、県内で車同士の「正面衝突」による死亡事故が多発した年だった。
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5月、鶴岡市の山形自動車道「田麦俣トンネル」内で車2台が正面衝突して炎上し、1歳の子どもを含む男女3人が死亡した。鶴岡方面に向かって走っていた車が、何らかの理由で右に急ハンドルを切り、対向車線に入ったことが事故の原因とみられている。
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事故から5カ月後、NEXCO東日本は再発防止策として、ドライバーから車道を見やすくする「レーンマーク」や、車が乗り上げると振動で危険を知らせる「路面標示」の設置工事を行った。
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2023年は、こうした「正面衝突死亡事故」が4件発生し、6人が死亡した。居眠りや考えごとによる「前方不注意」が主な原因とみられていて、これからの年末年始も注意が必要だ。
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4月には新庄警察署真室川駐在所で、山口直樹元巡査長(31)が酒を飲んだ状態で保管庫から拳銃を取り出し、実弾1発を誤って発砲。隣の部屋で寝ていた妻の胸を弾丸がかすめ、全治5日間のけがを負わせる事件が発生した。
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希望した部署への異動がかなわず、警察組織から必要とされていないと感じ、拳銃での自殺を考えているうちに誤って発砲したという。
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隣の住民:
(物音は)全然分からなかった。恐ろしいの一言。しっかりしてほしい
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裁判所の判断は、懲役2年・執行猶予3年の有罪判決。街の安全を守る警察官への信頼を揺るがしかねない事件だった。
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10月には鶴岡市で、自らが経営する高齢者施設の敷地内に母親の遺体を遺棄した疑いで、榎本虎太郎容疑者(40)が逮捕された。
榎本容疑者は、東京にある母親の自宅で母親の首を絞め、自分の右手を母親の口の中に押し込むなどして殺害し、その後レンタカーで遺体を鶴岡市まで運んだ。
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事件の背景には、施設の経営を巡る母親との意見の対立があったとみられている。検察は11月に「殺人」と「死体遺棄」の罪で榎本容疑者を起訴し、2024年に裁判員裁判で審理されることになる。
クマの目撃数759件・前年の2倍
2023年はクマによる被害も相次いだ。出荷を目前に控えたサクランボやスイカなどが食害に遭った他、クマに襲われ5人がけがをした。
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県みどり自然課・鈴木慎一課長補佐:
2023年のクマの目撃件数は、最新の12月10日現在で759件になる。2023年の方が2022年に比べ、384件多い
クマの目撃件数は2022年の2倍だという。2023年がこれほど増えた理由は…。
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県みどり自然課・鈴木慎一課長補佐:
山の中で餌になるブナの実が2023年は凶作である。山の中に餌がないため、クマが人里に下りてきている
そして、考えられるもう一つの理由が…。
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県みどり自然課・鈴木慎一課長補佐:
これまで人が住んでいた場所に(過疎化で)人がいなくなった代わりに、クマをはじめとする野生動物が、従来の人の生活圏に入り込んできているのではないか
年々縮まるクマと人との距離。2024年も警戒が必要だ。
復旧進むも…消えない苦しみ
そして、2022年の大みそかに鶴岡市西目で発生した大規模な「土砂崩れ」では、住民の夫婦2人が死亡し、30棟以上の建物が倒壊する大惨事となった。
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倒壊した家のがれきの中から救助された加藤省一さんは、約1年がたった今も当時の状況を夢に見るという。
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加藤省一さん:
思い切りベッドから落ちた。押されて体が跳ね返った感じで。ベッドから落ちた時の痕がまだ腕に残っている
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県や市による安全対策工事が進み、現場付近の避難指示は11月に全て解除された。住まいが全壊した加藤さんは避難指示の対象外とされ、今は市営住宅に移り住み、新たな生活を始めている。しかし、「苦しさ」は今も続いている。
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加藤省一さん:
あの場所(がれきの中)から出された時は、はだしでパジャマと上着一枚。その状態からのスタートがずっと続いている
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加藤さんによると、被災者支援としてこれまでに受け取った金額は、法律に基づく「見舞金」など90万円足らず。失った衣類や家財道具を新たに買い揃えただけで、あっという間に使い切ってしまったという。
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加藤省一さん:
衣類・家財道具があれば、まだ気持ちにも余裕が出た。着るものもいっぱいあったし、そんなに困ることもなかった。2023年も正月ができなかったが、2024年の正月も無理、金銭的に無理
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法律の立て付け上、仕方ないとは言え、支援の在り方や金額には行政との“行き違い”もあったと言い、加藤さんは「被災者の現状に即した、分かりやすい制度が必要」だと訴える。
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加藤省一さん:
何かの被害があった時に安心して生活ができるように、自分の今の生活を味わってはいけない、絶対に。私一人で十分。だから頑張りたい
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現場の鶴岡市西目地区では、12月22日に県道と市道の通行止めが解除されるなど、復旧は着々と進んでいる。
ーー加藤さんにとって、どうなればこの災害は終わる?
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加藤省一さん:
うーん、分からない。もう二度とあの山が崩れないことを祈っているだけ
まもなくあの土砂崩れから丸一年がたつ。
(さくらんぼテレビ)