2023年は新型コロナの5類移行や歴史的な物価高など、私たちの生活に大きな変化が訪れた一年だった。「暮らしの変化」をテーマに、山形の1年を振り返る。

マラソンや祭りが復活

5月8日、山形市役所から撤去されたのは「コロナ対策本部」の張り紙。この3年間で、県内でも累計感染者数23万人・死者370人に上るなど猛威を振るった新型コロナ。ゴールデンウイーク明けとともに、政府によって新型コロナが「5類」に移行されると、街なかでもマスクを外す人の姿が少しずつ増えていった。

給水所にはさくらんぼ
給水所にはさくらんぼ
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これまで中止などを余儀なくされていた暮らしに身近なイベントも、徐々に復活していった。例えば、4年ぶりに開催された「さがえさくらんぼマラソン」。この日を待ちわびていた県の内外からの参加ランナーたちは、山形の初夏の味覚・サクランボを味わいながらコースを駆け抜けていった。

庄内三大まつりの一つ、酒田まつりの「時代行列」では「花魁道中」が4年ぶりに復活。あでやかな着物姿の女性たちが江戸の遊郭の風俗を再現し、見物客を魅了した。

花笠パレード
花笠パレード

花笠踊り発祥の地・尾花沢市では、花笠パレードが4年ぶりに復活。参加した1700人が伝統の笠廻しを披露した。

県内の経済活動の実態調査を行う県の担当者は、5類移行後、全国でイベントが相次いで復活した背景をこう語る。

県統計企画課・小宮山亮課長:
5類移行で皆さん一つ区切りがついた。出かけて良いのか、みんなで集まっていいのかわからなかったところが、新型コロナ5類移行で「元のスタイルに戻っていいんだ」という大きなきっかけになった

チャーター便再開に期待の声

そして、5類移行により海外旅行者の水際対策が終了したことを受け、「観光県やまがた」の復活を目指す動きも加速した。

“オール山形”で観光復活を目指した吉村知事は、3年半ぶりに海外でのトップセールスを再開。5月に台湾を訪れ、2023年に本格デビューしたさくらんぼの新品種「やまがた紅王」をPRした。さらに台湾の航空会社なども訪れ、チャーター便の誘致に向けた働きかけを行った。

その結果10月には、台湾と山形空港を結ぶ定期チャーター便が3年半ぶりに復活。さらに11月には、韓国と庄内空港を結ぶチャーター便も4年半ぶりに再開し、県内の観光関係者からは期待の声が上がった。

山寺観光協会・遠藤定治副会長:
4年前(コロナ禍前)と同じような数字には近づいているけれど、これから国内旅行も頭打ちなので、インバウンド(海外)の方に来てもらい、日本の良さ・特に山寺の良さを見ていただければ

コロナ禍で観光客が半数まで激減し打撃を受けた山寺だが、5類移行後、客足はかつての9割近くまで回復した。

県統計企画課・小宮山亮課長:
県内に宿泊する人数もコロナ禍前に完璧に戻っていないが、8割くらいまで戻ってきているデータが出ている。今後どんどん戻ってきてくれる伸びしろ・余地は十分ある

インバウンドの拡大で県内の観光業界が元気を取り戻しつつあるその一方で、2023年は電気・ガス・食料品・ガソリンなど、私たちの暮らしに欠かせない多くのものが値上がりした。

電気料金の大幅な値上げが生活に打撃

東北電力は6月から、「平均約25%」の大幅な値上げに踏み切り、標準的な家庭で1カ月の電気料金が約2,100円上がった。

タクシー料金も県内全域で約15年半ぶりに値上げ。レギュラーガソリンも一時190円を超え、調査開始以来の過去最高値を更新した。多くの県民は、相次ぐ値上げに対抗するための「暮らしの変化」を余儀なくされた。

県統計企画課・小宮山亮課長:
国が毎月公表している月例経済報告によると、しばらくは「物価が高めに推移するのではないか」とみている。人やにぎわいが戻ってきたことと共に、来年に向けて県民の活動が活発になっていくような良い年になっていけばとみている

2024年こそは、私たちの暮らしが「良い方向」に大きく変化することを願うばかりだ。

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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