個人情報のひも付けミスが相次いだマイナンバーカード。来年には紙の保険証が廃止になる中、医療機関から不安の声が上がっている。

全国保険医団体連合会 竹田智雄副会長:
保険証の廃止になると、現場の大混乱を巻き起こしますので、これだけは何としても避けたい。

全国保険医団体連合会が20日に開いた記者会見で、懸念が示されたのは「健康保険証の廃止」だ。

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政府はマイナンバーカードで相次いだトラブルについて、12月12日、点検対象の8208万件のうち99.9パーセントのデータについて、本人確認を終了したと発表。そのうち0.01パーセントにあたる8351件に個人情報のひも付けの誤りがあり、修正したという。政府は現行の保険証を来年の秋に廃止し、マイナ保険証に移行する方針だ。

河野太郎デジタル相(12月12日):
反対される方はいつまでたっても『不安だ、不安だ』とおっしゃるでしょうから。それでは物事が進みませんので、きちんとした措置を取ったということで進めます。

■紙の保険証廃止に多くの医療機関が「反対」との調査結果も

しかし全国保険医団体連合会の調査によると、8割近くの医療機関が保険証の廃止について、「残すべき」だとして反対している。

全国保険医団体連合会 竹田智雄副会長:
廃止後は受付業務に忙殺されると思う=56パーセント。診察の待ち時間が長くなると思う=43パーセント。(保険証を)なくしては本当に困る事態が発生することは間違いないと思います。

大阪・豊中市のクリニックでは今年からマイナ保険証に対応していて、患者の約3割が利用している。徐々にトラブルは少なくなったというが、マイナ保険証にある“改善点”を求めている。

千里中央花ふさ皮ふ科 医療事務 平井里佳さん:
マイナンバーカードには子供の乳児医療証の情報とか、ひとり親の医療証、また高齢者受給医療証の情報が入っていないので、結局その医療証は預かることになるので、マイナンバーカードにその情報も入ればいいなと思っています。(Q結構手間がかかる?)そうですね。今までと変わらないかな。

■河野太郎デジタル相 マイナ保険証のメリットを力説

デジタル庁でマイナ保険証推進の陣頭指揮を執る、河野太郎デジタル相に聞いた。

全国保険医団体連合会が調査したところ、今年10月から12月にかけて、医療機関でマイナ保険証に関するトラブルがあったと回答したのは6割近い3523機関にのぼった。トラブル内容としては、
・名前や住所が黒丸で表記される 2393件
・資格情報が無効 1738件
・カードリーダーでエラーが出る 1381件
こうしたミスは解消されたのだろうか?

河野太郎デジタル相:
これはエラーではありません。まず黒丸ですが、例えば「さいとうさん」の「さい」という字は何十種類もあります。コンピューターがハンドリングできる字体が限られていますので、それ以外のものがコンピューターでは一度黒丸で表示されます。それを直していただくことが行われているんで、トラブルではなく、そういう仕様になっています。
 2つ目の資格情報は、働いている方が会社にマイナンバーを出して、会社からマイナンバーを登録していただくのですけれども、その登録を出していただけないと資格情報が無効になる。保険者にお願いをしていますけれども、なかなか出てこない場合については、今、個人に直接お伺いするということにしております。
 3つ目のカードリーダーでエラーが出るのは、病院でカードリーダーを置くときに後ろから光が差し込むような場所に置いてあると、顔が黒くなってしまうものですから、なかなか顔認証がしづらい。若干角度をずらしていただくと顔認証ができるようになりますので、この問題は現場でしっかり解消していただけるものだと思います。

関西テレビの取材で、「子供医療証とか高齢者受給者証とかの情報がひも付けられていないので、ひも付けられたら便利になる」という声があったが?

河野太郎デジタル相:
それは今、先進的な自治体がいろいろやっております。マイナンバーカードですと、保険証としてだけでなく、そうした受給証であったり、あるいはそれぞれの病院の診察券もマイナンバーカードに一本化することができます。いずれマイナンバーカード一枚あれば、それで医療機関を受診するということができるようになります。紙の保険証ではそういうことができません。ですからなるべく早くデジタル化したいと思っています。

紙の保険証は廃止され、2024年秋以降、保険証は大きく分けて2種類になる。
・「マイナ保険証」暗証番号が必要なものと、暗証番号不要な顔認証のみのカードがある。
・「資格確認書」マイナ保険証がない人全員に送付され、有効期限は5年。

河野太郎デジタル相:
現在の保険証は全員に送られ、コストが掛かっています。資格確認書になれば、マイナンバーカード保険証を持っている方には送らなくて済みます。マイナンバーカードを保険証として使う方が増えれば増えるほど、資格確認書を送るコストというのは下がっていきます。ですから、この移行はコストを下げるためにも非常に大事で、できるだけ多くの方にマイナンバーカード保険証を使っていただきたいと思っています。

ここで「newsランナー」視聴者からの質問。

Q. マイナカードにいろいろなものをひも付けして便利になるのはいいけど、情報が流出しないか心配

河野太郎デジタル相:
マイナンバーカードのチップには、皆さんの医療情報、税情報、年金情報といったものは一切入っておりません。マイナンバーカードというのは、データベースにアクセスするための、いわば鍵の役割ですから、マイナンバーカードから皆さんの情報が出るということはありません。またマイナンバーカードを落としても、電話をして止めることができます。銀行のキャッシュカードと同じで、4桁の暗証番号がなければ何もできません。キャッシュカードを落としても電話して止めることができるのと全く同じです。大丈夫です。

最後にマイナンバーカードとは関係ないが、視聴者からこんな質問も。

Q.岸田首相の後任は河野大臣?

河野太郎デジタル相:
それはこれからのことで、今言うと『鬼が笑う』と思いますから…

来年どうなるのか、河野大臣の今後も気になるところだ。

(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月21日放送)

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