国土交通省による立ち入り検査が行われた大阪のダイハツ本社。そのダイハツ本社がある“企業城下町”、ダイハツ町でも不正にショックが広がっている。

ダイハツ本社に立ち入り検査

大阪府池田市にあるダイハツ本社。朝から多くの報道陣が待ち構える中、黒いスーツを着た一団がビルの中へ。

自動車メーカーダイハツ工業が車の衝突試験などで不正をはたらいていた問題で、国土交通省は21日、詳しい経緯を確認するため、立ち入り検査を行った。

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――不正の話を聞いたことはある?

ダイハツの従業員:
いや、全然。噂で話すと大変なことになるので、その辺はある程度内密にしていたと思います

不正の原因として第三者委員会は、「不合格は許されないという強烈なプレッシャーにさらされていた」などと指摘している。

「ダイハツ町があるの?」SNSも注目

問題発覚により、その本社がある大阪府池田市の町名も話題となっている。

取材ディレクター:
あちら、町の名前がダイハツとカタカナで書かれています。 企業名がそのまま町名になっているんですね

ダイハツは1965年に本社を池田市に移転。その翌年に社屋や工場一帯の地名がダイハツ町に変更された。

ダイハツが本社を構える区画の一部には高い壁がそびえ立つ
ダイハツが本社を構える区画の一部には高い壁がそびえ立つ

ダイハツが本社を構える区画の一部には高い壁がそびえ立ち、町のほぼ全てをダイハツの本社と工場が占めている。

そのため、市の資料によると、ダイハツ町の人口はわずか4人だという。

地元のベーカリーで話を聞いた。

食パン専門店・点心 板野隆志さん:
隣の店も含めてダイハツのお客さんが多い。実際、僕らもダイハツの車に乗ってますんで

この店では配送に使うのもダイハツ車。生活の至る所にダイハツが存在する、まさに“企業城下町”だ。

SNSにも、町名に注目した投稿があった。

「ダイハツ町があるの?」「ダイハツ町大丈夫?」

地元の店にとっても、今回の問題は決して他人事(ひとごと)ではないようだ。

食パン専門店・点心 板野隆志さん:
ちょっとショックかなっていう部分はありますね。 多少なりとも(店に)影響はあるのかなと

国交省はダイハツについて、安全面などを技術的に検査するとしていて、基準に適合しているか確認できるまで、現在生産している全ての車の出荷を停止するよう指示している。

対応に追われる販売店

その影響は、東京都内の自動車販売店にも及んでいた。

取材ディレクター:
あちらの方はダイハツ関連の問い合わせを受けているようです

対応に追われていたのは、八王子市内の販売店。ダイハツの車両がずらりと並び、のぼりには「未使用車専門店」と書かれている。並んでいたのは、まさしくピカピカ、未使用のダイハツ車。

未使用車とは、ディーラーなどから仕入れた、まだ使われていない新車同様の車のこと。ダイハツが全ての車の出荷を停止した影響は、未使用車専門を売りにするこの店を直撃していた。

くるまのハチオウジ 太田順平さん:
朝からたくさんのお電話をいただきまして、安全に関してはやはりメーカーさんからのお返事を聞かないことには、お客さまにはしっかりとお伝えできませんので、ダイハツの車は主力なのでちょっと不安が残る

販売台数の約半数をダイハツ車が占めるというこの店。21日の取材中に、購入したダイハツ車の納車に訪れた男性客も、不安を口にした。

納車に来た男性:
正直ちょっと大丈夫かなって。対象車なのか、そこは気になりましたけど、まずは事故しないように 

販売店側は、今後もしばらく、客に対する手探りの対応が続くと考えている。

くるまのハチオウジ 太田順平さん:
これから納車の人が20台くらいあるので、こちらから不安をあおるような形でお電話するっていうのも考えてしまう
(「イット!」12月21日放送)