元福岡ソフトバンクホークスの1軍ヘッドコーチだった達川光男さん。達川さんといえば、2023年6月当時、まだホークスに移籍後1軍登板がなかった有原航平投手について、福岡ニュースファイル「CUBE」(2023年6月3日放送)でこんな予言をしていた。

「有原は2軍では力が出ない」

野球解説者・達川光男さん​:
有原の性格は知っている。(広島)広陵高校の時から見ているから。彼は2軍でいくら投げても力を出しません。2軍ではダメだけれど、1軍ではアドレナリンが出て、すごいピッチングする。有原ぐらいの実績あれば私はぶっつけで(1軍へ)行くべきだと思う。

この記事の画像(12枚)

有原投手はこの放送の翌週、移籍後初の1軍初先発で今季1勝目をあげると、6月からの1軍合流ながら、2023年のシーズン、チーム最多の10勝をあげた。達川さんの予言的中だった。

野球解説者・達川光男さん:
有原は、どちらかというと相手を見て投げるピッチャーなんで、そういうこと(1軍で活躍する)を言わせてもらったんですけれど、決してファーム(2軍)で手抜きしているわけでも何でもないんですよ。

投手陣だけでなく、ホークスは課題山積。中でも達川さんが気になるのが、小久保裕紀監督の新体制でのキャッチャー陣だ。

2023年シーズンのスタメンマスクは、甲斐拓也選手が109試合、横浜DeNAベイスターズからFA加入した嶺井博希選手が9試合、8年目の谷川原健太選手が4試合だった。この数字、達川さんはどのように見ているのか?

野球解説者・達川光男さん:
甲斐が良くない。甲斐はまだまだ若いし、一番いいとき。彼がやっぱり途中交代したとき、ほとんど負けている。なぜ途中交代させられると言うと、やっぱり彼は“打撃”に弱点がある。かつてホームランを二桁本数打ったから、求めてしまう。
私は打ったことないので偉そうなこと言えないが、ホームランの魅力(=欲求)はもうやめること。バッティングはとにかくタイミングをしっかり取れるようにして、彼はどうしても右肩が下がるので、低いライナーをとにかくセンターへ打ち返すようにすること。

そして気になる数字が、甲斐選手の盗塁阻止率。記者からの「2年前2021年が4割5分2厘で、2022年が3割4分3厘。2023年が3割2分9里と、少しずつ下がっているこの数字はどうですか?」との質問に、達川さんは「ピッチャーに問題がある」と話す。

野球解説者・達川光男さん:
いやピッチャー、ピッチャー(に問題がある)。やっぱりクイック(モーション)。ちょっとクイックとけん制が弱い。いままで甲斐に頼りすぎていた。甲斐の強みは、ランナーが出てもランナーがいない時と同じ配球ができていたこと。
12球団でも甲斐しかまだいない。盗塁阻止率だけのこと考えたら、外角のストレート中心に配球すれば、阻止率は上がりますよ。その代わり、今度は被本塁打が増える。

もう少し甲斐に頼らないといけないのがホークスの現状のようだ。

捕手専念の谷川原選手が甲斐に挑戦も

秋季キャンプで小久保監督は、8年目の谷川原選手を来シーズンはキャッチャーだけに専念させることを通達。外野も守れるユーティリティープレーヤーとして2023年シーズンは1軍61試合に出場したが…。

ホークス・谷川原健太選手:
小久保監督にお話をいただいて、来シーズンは、外野手はやらなくてキャッチャー一本で行くということで、僕もことし、スタメンマスクをかぶって自信がついたところはあったので、「よっしゃっ」という気持ちが出てきて、「やってやるぞ」という気持ちになりました。

野球解説者・達川光男さん:
やっぱり甲斐がレギュラー取って7年たちましたけれど、ライバルがその間、いなかったですよね。ことし(2023年)、嶺井を取ったんだけれど、どちらかというと甲斐と同じようなタイプ。谷川原は甲斐にないもの持っているんですよ。それはバッティング。

「甲斐にはライバルが必要」

谷川原選手の持ち味はバッティング。しかし、甲斐選手を抑えキャッチャーとしてスタメンマスクを任されるまでには、まだ大きな課題が残る。

野球解説者・達川光男さんインタビュー:
捕手1本で勝負するのであれば、まずはキャッチング。もし甲斐にキャッチングが勝てなくても、甲斐にほぼ近づいたら谷川原レギュラーになれますよ。バッティングは勝っているから。やっぱりキャッチングですよ。
うまく捕れることによってスローイングにも繋がるし、ピッチャーの信頼も、配球とかリードとかいうのはね、それはもう(試合に出て)やっていかないと。

ーー小久保監督もその辺を考えて始めている?

野球解説者・達川光男さんインタビュー:
谷川原に捕手一本でやらせるということはどういうことかというと「甲斐よ、いまのままではダメだよ。もう一度バッティングを考え直してくれ」ということ。甲斐に刺激が必要、ライバルが必要。

着々と独自カラーを打ち出している小久保監督。監督が現役の頃、ダイエーホークスでバッテリーコーチだった達川さんは、チームの中から小久保監督を見ていた。監督の人柄もよくご存知のようだ。

野球解説者・達川光男さんインタビュー:
ホームラン王を取ってね。ものすごい練習の虫でしたね。オーストラリアでのキャンプね、汗びっしょりかいて、素振りしているのがいまでも目に浮かびますし、非常に厳しい方で、妥協のない、あの人間性というか、そういう考え方なんですよね。
2年やりましたよね、2軍監督。それがめちゃくちゃ生きてると思います。小久保監督の強みは、選手と一緒に汗がかけるということ。期待するしかない、来年(2024年)はね。もう逃げられないですよ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。