報告やプレゼンなどを行う時、伝えたい情報が多すぎてまとめるのに苦労した経験はないだろうか。

5000人超にプレゼン指導をした現役コンサルタントのしゅうマナビジネスさんによれば、そんな時には「相手がいちばん知りたいことを選ぶ」「全体から順番に伝える」「抽象化して伝える」という3つの方法があるという。

『3秒で伝える コンサルが使う「シンプルな言葉で相手を動かす」会話術』(扶桑社)から、話の要点を絞り込む方法について、一部抜粋・再編集して紹介していく。

“期待値”のズレを起こさないようにする

【1】相手が「いちばん知りたいこと」を選ぶ

説明しなくてはいけない要素が複数ある場合、「まず、どれから伝えるべきか」と悩むことが多いです。

そんなときに無意識にやってしまいがちなのが、自分主体で言いたいことを絞ってしまうパターンです。

認識のズレがコミュニケーションエラーを招く(イメージ)
認識のズレがコミュニケーションエラーを招く(イメージ)
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自分が最も言いたいことと相手が最も聞きたいことが一致すればいいのですが、相手が知りたい内容とズレていたら「いや、そういうことじゃないんだよな……」と、残念に思われてしまいます。

こういった相手の期待値とのズレは、致命的なコミュニケーションエラーを招きます。

なので、基本的には「相手が一番知りたいことは何か?」といった相手主体でメッセージを絞っていくほうが、期待値とのズレが生じにくいです。

最終的に情報を伝える人を意識する

例えば、あなたが全国に支店網を広げる企業の本社で働いているとします。

ある日、支店別の業績を集計していると、上司から「先月の売り上げはどうだった?営業統括部長に報告するから教えて」と声をかけられました。

そこで全国の各支店の業績を調べてみると、次のようなことが見えてきました。

◆全国30店のうち25店では顧客数が増え、売り上げも増加した
◆売り上げが25%以上伸びた店では新規キャンペーンを展開していた
◆売り上げが減った5店はリピート率が落ちている
◆地域別に見ると、関東、近畿エリアは好調
◆北海道、東北エリアは売り上げが減っている
◆ただ全支店合計で見ると売上高は増加している

口頭で簡単に伝えなくてはいけない場合、これらをすべて伝えると、情報量が多くなりすぎます。

なので、要点をまとめて相手が知りたいことに沿ってメッセージを絞る必要があります。

最終的に伝えたい人を意識して(イメージ)
最終的に伝えたい人を意識して(イメージ)

ここで目を向けるべきなのが、「最終的にこの情報を知るのは誰か?」ということです。

この例の場合、直接会話をしているのは上司ですが、その情報は最終的に営業統括部長に報告されることになります。

つまり、ここでは最終報告先である営業統括部長にとって「最も知りたい情報」を伝えるのが望ましいでしょう。

基準がわからなければ質問で深堀りを

では営業統括部長はどのような情報を知りたいのでしょうか?

会社によってはKPI(重要業績評価指標)のように、組織単位の基準を設けている場合がありますので、そういった基準に目を向ける手があります。

もしそうした基準がないなら、「統括部長が重視するポイントはどのあたりですか?」と上司に質問して深掘りすると、見えてくるものがあります。

例えば「会社のKPIでは売上高を重要指標にしている」、あるいは「営業統括部長は新規キャンペーンの結果が気になっている」といった情報がわかれば、売上高とキャンペーン効果を一つのメッセージにまとめて、

「売り上げは全支店合計で増加していますが、特に伸びている店では新規キャンペーンの効果があるようです」

といったコアメッセージを届けることができます。

汎用性が高い「全体」から伝える方法

【2】「全体」から順番に伝える

しかし、必ずしも営業統括部長の期待値を押さえているわけではないでしょうし、急に説明を求められた場合、仮説を立てる余裕すらない場合もあります。

そうしたときは、「全体から順番に伝える」ということを意識してみましょう。

あれもこれも報告したいけど、まず物事を「全体として捉えた場合に何が言えるのか?」と考え、それを伝えたうえで一つひとつ詳細を説明していくのです。

全体から伝えるときのポイントは、まず「構造」に着目することです。

天気予報は「全国」から「地域」へと伝えていく(イメージ)
天気予報は「全国」から「地域」へと伝えていく(イメージ)

例えば天気予報を見ていると「明日は全国的に晴れ間が広がるでしょう。ただ東日本では大気の状態が不安定で、関東では雨雲が発生するところもあるでしょう」といった説明を耳にすることがあります。

この場合「全国」という全体から「東日本」「西日本」といった分類、さらに「北海道」「東北」「関東」といった地域に分解することができます。

つまり、天気予報では、全体である「全国」を説明したうえで、各地域の予報を説明しているのです。

様々なケースで応用が可能

仕事における報告でもこのアプローチは応用できます。

先ほどの例の場合、各支店別の成績を伝えるのではなく、「全国」という全体、そして「関東」「近畿」といった構造に着目して説明すると、次のようになります。

「売り上げは全支店合計で増加しています」(全体)
「北海道、東北と減少している地域もありますが、関東、近畿は好調です」(詳細)

顧客・製品・事業別などでも応用可能(イメージ)
顧客・製品・事業別などでも応用可能(イメージ)

ここでは地域に着目して構造化しましたが、こうした成績を構成する要素としては、

・顧客別(全顧客→新規・リピーター)
・製品別(製品分類→個別製品)
・事業別(事業分類→各事業)

といった切り口で構造化することもできます。

例えば顧客別の構造に着目するなら、

「売り上げが伸びている店では顧客数が増えています」(全体)
「特に25%以上伸びた店では新規獲得の影響が大きいです」(詳細)


といった説明をすることもできるでしょう。

このように、一つの要素が特定の構造に含まれている場合は、全体から伝えることによって、多くの情報をシンプルにまとめることができます。

情報の共通項を探して全体像を導く方法

【3】抽象化して伝える

ただ、状況によっては伝えるべき要素がバラバラで、一見すると構造化が難しいこともあります。

そんなときは共通のルールを見つけて抽象化するという方法を試してみましょう。それによって隠されていた構造が見つかり、メッセージを絞ることができます。

例えば、あなたが飲食業界で働いていて、「ライバル店が繁盛している理由」について調べているとします。

調査の結果、次のようなライバル店の特徴が見えてきました。

(1)どの商品も値段は少し割高
(2)クーポンなど割引はやっていない
(3)店員の接客態度が素晴らしい
(4)注文から提供までがものすごく早い
(5)素材の鮮度がよく、味もおいしい
(6)料理人がこだわる盛り付けが美しい

こういった複数の要素から、どのように社内で報告するメッセージを絞っていけばいいのでしょうか。

共通項や特性で分類していく

調査結果の項目を見ていくと、(1)「どの商品も値段は少し割高」(2)「クーポンなど割引はやっていない」という情報は、いずれも「価格」に関する調査結果です。

一方で、(3)「店員の接客態度が素晴らしい」(4)「注文から提供までがものすごく早い」という情報からわかることは、「サービス」に関すること。

そして、(5)「素材の鮮度もよく、味もおいしい」(6)「料理人がこだわる盛り付けが美しい」という情報は、「料理の質」に関することだとわかります。

共通する要素や特徴から情報を整理(イメージ)
共通する要素や特徴から情報を整理(イメージ)

つまり、ライバル店が繁盛している理由は「料理とサービスの質がいいので、価格が高くても客足が鈍らない」といった具合に3つの要素をまとめて、全体像を伝える一つのメッセージとして打ち出すことができます。

このように一見バラバラの要素でも、共通点や特性を分類してみると、いくつかの共通点が見えてきます。

バラバラの要素をそのまま順に伝えると、相手が混乱して「もう少しまとめてから話してほしい」と言われてしまいます。

そうではなく、まずは構造や関係性を整理して、あなたなりのシンプルな言葉にまとめてから伝え、個別の要素はその後に説明していけばいいのです。

そうすれば、よりスマートなコミュニケーションが成立するはずです。

【POINT】
複数の要素は「全体構造」や「共通点」を見つけてまとめる

『3秒で伝える コンサルが使う「シンプルな言葉で相手を動かす」会話術』(扶桑社)

しゅうマナビジネス
大阪府出身。ITソフトウェア企業を経て、総合系コンサルティングファームに転職。現在は経営管理・IT領域を中心としたコンサルティング業務に従事。コンサル業と並行してプレゼンや思考法の専門家としてセミナー講師などで活動。YouTubeチャンネル『マナビジネス』では「学び」+「ビジネス」をテーマに仕事術についての情報を発信している。

しゅうマナビジネス
しゅうマナビジネス

大阪府出身。ITソフトウェア企業を経て、総合系コンサルティングファームに転職。現在は経営管理・IT領域を中心としたコンサルティング業務に従事。コンサル業と並行してプレゼンや思考法の専門家としてセミナー講師などで活動。YouTubeチャンネル『マナビジネス』では「学び」+「ビジネス」をテーマに仕事術についての情報を発信している