5000人超にプレゼン指導をした現役コンサルタントのしゅうマナビジネスさんによれば、ビジネスシーンでは、言いたいことを「3秒で伝える」意識を持つことが大切だという。
そのためには、“2つの力”を養う必要があるそうだ。
『3秒で伝える コンサルが使う「シンプルな言葉で相手を動かす」会話術』(扶桑社)から、一部抜粋・再編集して紹介していく。
本質を捉えた「3秒の一言」は、相手を聞く姿勢にさせ、同時に、シンプルな言葉を意識するとロジカルに考えるクセがつく。そうした効果があります。
ただ、口で言うのは簡単ですが、実践するのは難しいのがこうしたノウハウ。
相手に伝えるべき内容をどう選んだらいいのか?
短く伝えるにはどうすればいいか?

それには2つの力を養う必要があります。
その力とは「本質的な内容(コアメッセージ)を見つけ出す力」「言葉をシンプルにする力」。この2つです。
伝わらない表現と伝わる表現の違い
まず必要なのは、何かの説明をする時にコアとなるメッセージ、つまり「相手に何を伝えると最も効果的か?」という内容を明確にしていく能力です。
同時に、メッセージを「どのように相手に伝えるか」と考え、言葉をシンプルにしていく能力も必要です。
例えば、上司に回線トラブルの原因を報告する場面があったとします。
多くの人は、
「先日問題になったネットワークトラブルの件ですが、専門チームをつくって原因をいろいろと調べてみました。そうしたら、ネットワーク機器4台のうち一台が故障していました。なので、その故障した一台が原因でトラブルが発生したものと思われます」
といったように、時系列に詳細を伝えていくと思います。

でも、これだとノイズになる情報が多すぎてメッセージがスパッと相手に伝わりません。
そこで、伝えたいメッセージを絞り、もっとシンプルな言葉にすると、「先日のトラブルはネットワーク機器の故障が原因でした」といった、頭の中にスッと入ってくる表現に変わります。
最も重要なメッセージを絞り込もう
私はプレゼン指導を行うなかで「メッセージは一つに絞ろう」と伝えています。人は一度に多くのことを伝えられても、理解できません。
だから一度のコミュニケーションの中で伝えるべきメッセージは、一つに絞る必要があるのです。
先ほどの例文で言えば、
「専門チームをつくってトラブルの原因を調べてみました」
「ネットワーク機器4台のうち一台が故障していました」
「その故障した一台がトラブルの原因だと思います」
という、3つのメッセージが盛り込まれていました。

どれも重要な要素ですが、これらを順番にすべて伝えると、相手は「結局、どれが重要なの?」と探り探りの状態で話を聞くことになります。
そうではなく、まずは最も重要なメッセージを「3秒の一言」で伝える。そのうえで、残りの情報は後から補足すればいいのです。
一度のコミュニケーションで伝えるべきメッセージは、一つに絞る。
これを意識して、いかに説明をシンプルにするかを考えることが重要です。
【POINT】
アレもコレも伝えるのではなく、メッセージは一つに絞る

しゅうマナビジネス
大阪府出身。ITソフトウェア企業を経て、総合系コンサルティングファームに転職。現在は経営管理・IT領域を中心としたコンサルティング業務に従事。コンサル業と並行してプレゼンや思考法の専門家としてセミナー講師などで活動。YouTubeチャンネル『マナビジネス』では「学び」+「ビジネス」をテーマに仕事術についての情報を発信している。