世界遺産の島、鹿児島・屋久島で育った黒豚料理が、観光客のみならず島民にもリピーターがいるという。この人気料理を提供する民宿の経営者は、どんな狙いで黒豚料理を提供しているのだろうか。

黒豚にこだわり 屋久島町の民宿

黒豚は鹿児島を代表する食材のひとつ。しゃぶしゃぶは、県内はもちろん都内でも多くの店舗で提供されている。

この記事の画像(21枚)

屋久島の南東部、安房にある民宿「やまびこ」の黒豚しゃぶしゃぶ食べ放題コースでは、バラ肉、肩ロース、下ロースと、黒豚をおなかいっぱい堪能できる。宿泊しなくても食べることが可能だ。

島内にいるリピーターの一人、地元ダイビングショップのスタッフは「おいしいです、何回も来ちゃう」と、この日も舌鼓。

同行していた大阪からの観光客は「さっぱりしてほんとおいしいよな」「大阪でしゃぶしゃぶの食べ放題なんて行かれへんわ」と満足そうだった。

「やまびこ」で提供される黒豚は島内にある自社の養豚場で育てられている。一般的な豚に比べて臭みがなく、やわらかくて独特のうまみがあると評価されている「六白黒豚」だ。鼻としっぽ、4本の足先、あわせて6カ所が白いためこう呼ばれる。

養豚を始めたきっかけ

民宿を経営する宝珠産業の藤山通孝社長は屋久島出身で、生ゴミ収集、堆肥センターなど幅広く展開している。

そんな藤山さんがたまたま聞いたのが、地区の養豚場の後継ぎがいなくて困っているという話だった。当時のオーナーに「僕、畜産志望なんです」と話したら「じゃあ(養豚を)する?」となったという。

さらに2010年、宮崎県で発生した家畜の伝染病・口蹄疫への感染を防ぐため、県本土の霧島市の県種豚改良協会で飼育されていた黒豚が屋久島に避難してきたことも、藤山さんが養豚を始める「追い風」となった。

藤山さんはその時、注射、種付け、分べん、去勢といった養豚の基礎を学んだという。こうして養豚を始めた藤山さん。2016年には民宿「やまびこ」の経営も始めた。

藤山さんは黒豚について「鹿児島県本土の人たちが、苦労してこういう品種を作り上げた、納得できるぐらい脂身もさっぱりしていておいしく、甘みも強い」と評価する。「あっ、やっぱり僕はこれだなっていうのがあって、頑張って続けている」と情熱を語った。

食肉処理された黒豚
食肉処理された黒豚

10カ月ほどかけて丸々と成長した黒豚は、いったん鹿児島市に運ばれて食肉処理され、食べる直前にスライスされる。

「何度でも食べたい!」あふれる笑顔

屋久島で育ったこだわりたっぷりの六白黒豚を、屋久島で、おなかいっぱい食べられる。お客さんから自然と笑顔があふれる。

食事客:
全部おいしかったです。ありがとうございました

ダイビングショップのスタッフ:
何回食べてもまた食べたくなる

大阪から来た観光客:
こんなおいしい豚しゃぶはないと思います。

大阪から来た観光客:
満足しました!来年もぜひ来ます! 

大喜びのお客さんに藤山さんは「ありがたい話で、屋久島だけじゃなくて、鹿児島県全体、黒豚業界が盛り上がってくれれば一番うれしい」と笑顔を見せた。

世界遺産の島、屋久島で育った六白黒豚。メニューはしゃぶしゃぶの食べ放題以外にも、とんかつ定食やしょうが焼き定食も(いずれも要予約)。屋久島を訪れる機会があれば、ぜひ一度味わってほしい。

(鹿児島テレビ)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(21枚)
鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。