高齢ドライバーによる危険な交通事故が、福岡でも後を絶たない。原因の1つは「アクセルとブレーキを踏み間違えた」といった運転ミス。家族の間でも様々な葛藤がある運転免許の自主返納についてどう考えるのか。

建物に突っ込む高齢者 運転ミス相次ぐ

北海道警察が公開している、高齢者が運転する車のドライブレコーダーには、衝撃の瞬間が記録されていた。

北海道警察が公開しているドライブレコーダーの映像
北海道警察が公開しているドライブレコーダーの映像
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駐車場から発進する1台の車が、植木を乗り越え猛スピードで建物に衝突したのだ。停車したものの一歩間違えば歩行者と接触しかねない「危険な運転」だった。原因は「アクセルとブレーキの踏み間違え」。こうした高齢ドライバーによる事故は、福岡県内でも多発している。

2023年4月、福岡・行橋市のコインランドリーでは、洗濯物を機械に入れた客が帰ろうとした瞬間、赤い車がすさまじい勢いのままバックで店内に突っ込んだという事故も起きている。幸いにもけが人はいなかったという。

この車を運転していた60歳の女性も警察の調べに対して「アクセルとブレーキを踏み間違えた」と話した。

福岡県警によると、高齢ドライバーによる事故は2023年9月末までの時点で3,538件と、2022年の同じ時期と比べ200件以上増えている。

高齢者の“免許返納”どうする?

高齢者の運転ミスによる事故が相次ぐ中、免許の自主返納について街の人に聞いた。

免許を返納した77歳の男性は「まだ、どうもないわい」と思ってたようだが、もしもほかの人にけがでもさせたら大変ということで、しょうがなく返納したという。

返納したいと思っている福岡・香春町在住の89歳男性は週に3回くらい車に乗るというが、免許返納したら乗るものがないから仕方ないと話した。

また70代の両親がいる50歳の女性からは「家族がそろったときに、返納という話ではないですけど『危ないね』という話はします。80歳になったらもう乗らないでほしいですね」と高齢の母と父が車に乗ることに心配している様子だった。

「免許の返納」は一人一人にとって決断は簡単ではなく、家族の間でも様々な葛藤がある。

加齢の衰え「家族の気づき」が重要

高齢ドライバー向けの安全講習などを担当するJAFの職員は、最も重要なポイントは「家族の気づき」だと指摘する。

JAF福岡支部・廣瀬翔さん:
認知機能、判断機能、操作機能、いずれも加齢によって力が衰えていってしまう。ご家族の方が異変に気づかれたら、こういう講習会だとか「1回、検査受けてみたら」とか、そういったことをおすすめいただいて、ご自身の能力の変化を示していただけたらと思います

福岡県内でも相次ぐ、高齢ドライバーによる交通事故。免許を返納するのか、しないのか。本人の気持ちに寄り添って話し合いを進めることが大切だが、事故が起こってからでは、もう遅いのだ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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