11月5日夜、阪神ファンなどが大挙して押し寄せた大阪・ミナミの道頓堀。 大阪府警は1,300人態勢で警戒にあたっていた。検挙者0、けが人0。 38年ぶりの快挙の裏で、道頓堀に集結した群衆をコントロールした警察の動きを総力取材した。

過去の経験からファンに寄り添った警備を

大阪府警管区機動隊 高濱潤大隊長:
優勝決定の際は一部興奮したファンの方は、現場警察官の指示に従わないということは十分に予想されます

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振り返れば、2003年のリーグ優勝の時は、道頓堀で一部暴徒化したファンが警察官と衝突した。部隊に向かって物が投げ込まれるなど、事件も多発し約5,300人が道頓堀川に飛び込み1人が死亡した。 機動隊の出発式では、その苦い過去の経験から、ファンに寄り添った警備を行うよう伝えられた。

大阪府警管区機動隊 高濱潤大隊長:
大部分のファンの方は純粋に優勝をお祝いしているだけですので、冷静な態度で声かけを行い、相手の気持ちを考えた広報活動を中心とした警備をお願いします

道頓堀は「こんな大阪見たことない」状態に

大阪御堂筋がイルミネーションできらめく中、すぐ隣では、大阪府警の警察車両が赤いランプで警戒を強めている。

 10年以上大阪に住む外国人も、「こんな大阪見たことない」と思わず写真をパチリ。

大阪在住のナイジェリア人:
警察の(車が)いっぱい。きょうはちょっとオカシイ。なんでやワカラナイ

今回の警備では、2023年9月のリーグ優勝と同様に、道頓堀橋にシートで目隠しをした上で、戎橋にかけての遊歩道を完全封鎖し、戎橋からの飛び込みを封じ込める作戦をとった。 試合が始まるとファンは集まって観戦していた。

戎橋が規制されたため、ファンたちは、規制外となっている戎橋東側の遊歩道に集まり始めた。 日本一の瞬間が近づき、緊張感が高まる。

道頓堀川の水位を調整してダイブを警戒

大阪市建設局の担当者:
ほんなら開けましょか。水門開けますね

 実は、この日のために道頓堀川では、河口から水を引き入れて川の水位を約60cm高くして、水深3.6メートルにしていた。

大阪市建設局の担当者:
水位が低いと道頓堀川に沈んでいる自転車とか、異物に当たる可能性がありますから。やはり人命第一

 水位を上げることで、飛び込んだ人を陸に引き上げやすくする狙いもあるようだ。

やはり始まってしまった道頓堀ダイブ

警察アナウンス:
道頓堀川の水温が大変低くなっております。万が一、飛び込まれた際、足がつるとおぼれる危険性があります

優勝直前、警察の呼びかける中、大いに盛り上がるファンたち。

ファン:
あと1球!あと1球!

タイガース38年ぶりの日本一達成!その瞬間…警察が制止するにもかかわらず、道頓堀ダイブが始まった。 38年前の日本一の時、道頓堀川には、カーネル・サンダース像が投げ込まれたが、今回はそのカーネルに扮装(ふんそう)した男性が川に投げ込まれた。

警察は戎橋の西側を中心に規制をかけたが、結局、その規制外の先、東側のエリアで、ダイブする人が続出した。東側も規制しなかったことについて、大阪府警は、「東側の遊歩道に人を入れることによって戎橋上の人の密度を緩和できる。東西を規制すると、橋に人が集中し、巡回できなくなる」としている。

大阪府警によると、今回の飛び込み者は37人で、幸いにもけが人0、検挙者0という結果となった。

(関西テレビ「newsランナー」2023年11月6日放送)

関西テレビ
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