スケートボードの全国トップレベルの大会に、島根・出雲市の桑田莉奈さん(15)が挑戦する。中学生ながら、中国・四国地区の女子では初めて出場を勝ち取ったスーパー少女の強さとその素顔に迫った。

地元の出雲市で技を磨くスーパー少女

東京オリンピックでの日本勢の活躍で、スケートボードは競技スポーツとして注目されるようになった。

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繰り出す技「トリック」の難易度やスピードなどを競い合うスケートボードで注目されているのが、出雲市の桑田莉奈さん(15)だ。

10月28日、29日に開催される「全日本アマチュア選手権」に、桑田さんは中四国代表として2年連続出場する。この全国大会は、オリンピック選手も輩出する文字通りの全国トップレベルの大会で、中四国地区から出場する女子選手は莉奈さんが初めてだ。

そんな彼女の代名詞にもなっているのが「フェイキートレフリップ」だ。ボードを横回しに1回転、縦回しに1回転させる難易度が高い技で、習得している人も少ないという。

制服姿の桑田莉奈さん
制服姿の桑田莉奈さん

そのスーパー少女・莉奈さんの素顔は、出雲市の中学に通う普通の中学生だ。そんな莉奈さんが技を磨いているのが、地元の出雲市にあるスケートボード場。 天気の良い日は毎日通ってトレーニングを続けている。 

莉奈さんの父・秀一さん
莉奈さんの父・秀一さん

そんな莉奈さんにとって、心が休まるのは父の秀一さんとの休憩時間だ。莉奈さんから見た秀一さんは「友だちって感じ。ちょっと年取った友だち」なのだとか。秀一さんも、莉奈さんに「楽しいよね?」と聞かれると、笑顔でうなずいた。

莉奈さんの兄と小さい頃の莉奈さんの写真
莉奈さんの兄と小さい頃の莉奈さんの写真

莉奈さんが赤ちゃんだった頃に秀一さんがスケボーを始め、ほどなく莉奈さんの兄もスケボーにはまったそうだ。莉奈さんも、父と兄の影響を受けて、小学3年生から滑り始めた。

スケートボードをする小さい頃の桑田莉奈さん
スケートボードをする小さい頃の桑田莉奈さん

8歳の頃から練習を続け、練習で鎖骨を折る大けがをして滑ることが怖くなった時期もあったということだが、「周りの人が支えてくれて続けることができた」と振り返る。
小学生の頃は、同じスケートボード場で滑っている先輩から指導やアドバイスを受け、スクールにも通っていたという莉奈さんだが、今は独学で様々な技に挑戦している。

そんな莉奈さんについて、近くで見てきたスケーター仲間も「ずば抜けている。人一倍努力する」と評した。

大勢の仲間に会えるこの練習場は、莉奈さんにとって「一番落ち着く場所、第2の家みたい」になっている。
しかし、この練習場が莉奈さんのちょっとした悩みになっている。

練習場が老朽化…全面改修望む

莉奈さんにとってなくてはならない練習場のスケートボード場は、専用施設を望む愛好者の声を受けて出雲市が整備し、2002年にオープンした。当時、公営の施設としては国内最大級だったこともあり、県外からも大勢のスケーターが訪れ、プロの大会も開かれるほどにぎわっていた。

錆びているスケートボード場
錆びているスケートボード場

しかし、オープンから20年を経て、老朽化が進んでいる。吹きさらしになっているため、至るところで錆びが目立つ。

桑田莉奈さん: 
直してくれたら、もっとうまくなれるかなと思う

そう話す莉奈さんに、出雲市スケートボード協会の高木脩会長も手を差し伸べたい思いでいっぱいだ。

出雲市スケートボード協会・高木脩会長:
結構、老朽化が激しくて、危ない箇所が増えてきているのが現状。市役所に全面改修をお願いする要望書を出しているところ

オリンピックの競技になり、スケボーが盛り上がりを見せる中、高木会長は全国の舞台に挑む莉奈さんを後押しするためにも、パークを全面改修し、かつてのにぎわいを取り戻したいと話す。

出雲市スケートボード協会・高木脩会長:
若い子たちの今後の成長に、もっともっとプラスになるんじゃないかなと

「スケボーの楽しさを伝えたい」

地元で愛されるスケートボード場に育まれた莉奈さんが目指すのは…。

桑田莉奈さん:
スケボーの楽しさを伝えられるスケーターになりたい

競技時間の1分間に全ての思いを込めて。全国の舞台での莉奈さんの活躍に期待だ。

(TSKさんいん中央テレビ)

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TSKさんいん中央テレビ
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