1980年代にブームを巻き起こした“ラジコンカー”は、電波を使って模型の車を遠隔操作し、ホンモノさながらに車を走らせる感覚が、実際の車を運転できない子どもたちをとりこにした。
その“ラジコンカー”が、40年近い時を経た令和の時代に人気が再燃しているという。“ラジコンカー”の魅力とブーム再燃の背景を取材した。
“出戻り”仲間と“ラジコン”で交流
電波を使って操縦する“ラジコンカー”は、1980年代に多くの少年の心をつかみ、一大ブームを巻き起こした。当時の映像からも少年たちの熱が感じられる。そんな“ラジコンカー”が、令和の時代に再びブームになっているという。「かっこよさ」「大胆な改造」「実車ではなかなか味わえない」と、今では立派な大人が口々に語る“ラジコンカー”の魅力を探った。
10月1日、島根・出雲市のラジコンサーキットで熱心に「愛車」を組み立てているのは、播磨栄治さん(51)だ。
ーー今は何をしている？
播磨栄治さん：
バッテリー交換
ーーどれくらい走れる？
播磨栄治さん：
バッテリーの容量にもよるが、僕のは20分くらい走る
中学生のころハマっていた“ラジコン”に、2年前から再び熱中しているそうだ。播磨さんは「走らせて楽しいし、作るのも面白い。仕事とか抜きにわいわい大人が集まって、笑いながらやる」と、“ラジコン”の魅力を語る。
“ラジコン”をきっかけに趣味が広がり、仲間が増えたという。
播磨栄治さん：
顔見知りの人が多いので、そこで情報交換したりする
休日、天気の良い日には、毎週このサーキットに通うという播磨さんは、いわゆる“出戻り組”だ。このサーキットでは数年前から、かつて“ラジコン”にハマっていた大人たち“出戻り組”の姿を多く見かけるようになったという。
大人たちがラジコンサーキットに足しげく通う理由を、播磨さんは「コロナ禍になって、外で遊ぶことがなかったので、“ラジコン”をもう1回やってみようかなと思った」と話す。
きっかけは“コロナ禍”売り上げ上昇
“出戻り”のきっかけはコロナ禍だ。外出自粛が長期化する中、密にならずに気晴らしができる遊びとして、“ラジコン”が再び脚光を浴びることになった。
ラジオコントロールメーカーの最大手・タミヤの広報担当者も「ラジオコントロールの売り上げは確実に伸びている。コロナがきっときっかけにはなっている。コロナ禍は明けたとみていいと思うが、その時期にラジオコントロールを始めた人が辞めずに続けてくれているので、今も好調」と説明する。
“ラジコンカー”を取り揃える出雲市内のホビーショップも、コロナ禍がブームに再び火をつけたと話す。
おおとり模型・宇田川正樹さん：
昔、子どもの頃にやっていた人が、また“ラジコン”で遊ぼうかという感じで戻ってきた人が結構いる
“ラジコン”の売り上げは2010年ごろから年々減少傾向だったが、コロナ禍で上昇に転じたといい、宇田川さんも「全く予想していなかった」と驚いている。
この日、店を訪れていた客もコロナ禍をきっかけに“ラジコン”の世界に“出戻った”そうだ。
来店客：
中学生くらいの時に作ったことがあるが、最近、再びやりたいなと思ってやり始めたところ
来店客：
“ラジコン”を始めたのはコロナ禍になってから。3年前くらい。外で遊べるという理由
世代を超えて広がる“ラジコンカー”
店内には、往年のブームを知る“出戻り”組の心をとらえたものが並んでいた。
ーー昭和の時代の商品も置いてある？
おおとり模型・宇田川正樹さん：
この辺はほとんど昭和に出たものが再販されている。例えば、この「マイティフロッグ」は、当時人気があった。おじさんたちの間ではこれが懐かしいと思う
当時と変わらぬ“ラジコン”たちが棚に並び、メーカーが近年、再発売したものも遊び方はそのままだ。懐かしい気持ちで再び“ラジコン”を手にすることができる。
今、再び熱い“ラジコン”ブームを支えているのは、実は大人だけではないそうだ。
タミヤ・広報担当者：
40代前後から50代の人が中心ではあるが、今、家族で始めている人もいる。この機会にぜひラジオコントロールに触れて遊んでみて楽しんでほしい
レトロだけど、若い世代にとっては新しいホビー。ファンも世代を超えて広がっているという。時をかけ、昭和から“タイムリープ”した“ラジコンカー”は、令和の男子たちの心もしっかりつかんでいるようだ。
（TSKさんいん中央テレビ）
