ガザ地区を実効支配するイスラム組織・ハマスとイスラエル軍との武力衝突。日々激化する戦況は大きな転換期を迎えようとしている。今回の衝突のキッカケとなった、7日のハマスの攻撃から生き延びたイスラエル人が、当時の様子を語ってくれた。

イスラエルのネタニヤフ首相は15日、「ハマスを解体する」と決意を語り、ガザ地区への大規模な地上侵攻を強く示唆した。「その時」に備え、ガザ地区北部に住む約110万人の住民に対し南部に退避するよう通告が出ている。

軍が設定したタイムリミットは日本時間の15日午後7時。いつ地上侵攻が起きてもおかしくない状況だ。

 

衝突のはじまりは「音楽フェス」でのハマスの攻撃

この記事の画像(5枚)

今回の衝突の始まりとなったのは7日、イスラエルとガザ地区の境界付近で開催された音楽フェスティバルだった。夜が明けた早朝6時半ごろ、会場ではまだ音楽が流れるなか、ハマスの攻撃が始まった。

ハマス:神よ、偉大なれ!

ハマスの戦闘員らは突然会場に現れ、参加者たちを次々に殺害。ハマスが公開した動画には会場の仮設トイレに向かって無差別に襲撃する様子も記録されている。フェスに参加していた多くの人が人質として連れ去られた。

ハマスの攻撃から生き延びたイスラエル人のギリ・ヨスコヴィッチさんは店を出店するために、ビジネスパートナーでもある友人のロミーさんとフェスに参加していた。ヨスコヴィッチさんは関西テレビの取材に対し、「会場が戦場となった」と当時の悲惨な状況について話した。

ギリ・ヨスコヴィッチさん:(戦闘員らは)大量の兵器を持って車に乗ってきました。木々を一本一本回り、隠れていた人を殺していきました。10分ほど銃声が鳴り響き、隠れていた茂みから顔を出すと、友人のロミーが撃たれて横たわっているのが見えました。

友人のロミーさんは、逃げている最中に銃で撃たれ、死亡。ヨスコヴィッチさんは撃たれた友人をその場に残し約5時間もの間、逃げ続けた。

ギリ・ヨスコヴィッチさん:ロミーが呼吸しているのが聞こえたのですが、戦闘員が近くにいたので、声を出すことはできませんでした。私は命がけで走りました。子供たちのことを考え、とても怖かったです。ここで死にたくない、生きたいと神様に祈りました。奇跡を起こしてくれと。

「ハマスの戦闘員は罪のない人々を大量に殺した」

イスラエル軍によるとこの会場では260人の遺体が見つかったということだ。ロミーさんの遺体は事件から2日後に見つかり、家族に引き渡された。

ギリ・ヨスコヴィッチさん:ハマスの戦闘員は罪のない人々を大量に殺しました。いい人たちを。すべてはハマスというテロリストが起こしたことです。

イスラエル側はハマスのこれまでの攻撃について「ハマスが残酷で邪悪な戦争を仕掛けた」などと繰り返し非難。15日の時点でイスラエルとガザ地区双方の死者は4000人を超えている。

ガザ地区ではまもなくイスラエル軍による地上侵攻が始まるとされるなか、住民らは命がけの避難を強いられている。

(関西テレビ「newsランナー」 2023年10月16日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。