13日、国が旧統一教会の解散命令を裁判所に請求した。高額の献金被害などのトラブルをめぐって、教団の活動には法令違反があり、解散を求めるべきと文科省が判断したことによる請求だ。これによって教団は今後どうなるのか、20年以上にわたって旧統一教会を取材しているジャーナリストの鈴木エイトさんが解説する。

「より苛烈に日本の信者に献金を求めるのでは」

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まず、今後は資金集めが活性化するのではないかと見ているそうだ。

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
コロナ禍や昨年の安倍元首相銃撃事件で韓国に行けなかったり、お金を日本から韓国に送れていない状況がありました。そんな中、本国・韓国で韓鶴子派の本体と分派の間の裁判闘争などを経て、多額の賠償金を支払う義務が発生しています。ことし、500億円といわれている豪華な施設も建ててしまいましたので、(旧統一教会は)非常にお金がない状態なんです。ですので、より苛烈に日本の信者に献金を求めていくのではないかと見ています。

これについて、具体的な資金集めのやり方を見ていく。ソウルの拠点となっている教会は、約220億円で売却する手続きが始まっている。

さらに日本人信者からの集金だ。鈴木さんによると、100万円までなら税関に申告なしで持ち込めるので、韓国で現金を直接手渡しするよう信者に求めている。これに関して、実際に信者に送られていたメールには、次のような文面があった。韓国で行われる集会についてのメールだ。

信者に送られたメール:
献金は振り込みせず、直接日本円を持参して受付をするようにしてください

メールを見る限りでは必死にお金を集めている印象だが、それだけ厳しい状況だということがうかがえる。

請求への反論 政治家への圧力を示唆?

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
”100万円”という金策について教団からこういった明確な指示が出ているという文書があるわけではないのですが、元信者の証言で、このような金策が行われていたのではないかと。100万円までという申告が必要ない金額を、記録に残らない形で日本から寒河江に運ばせようとしているのではという指摘があります。銀行振り込みだと(入出金の)記録が残るので、それが残らない形でお金を集めるということを、これまでにも行ってきているようです。日本でプールしているお金をいかに記録に残らない形で韓国に運ぶかということですが、これが解散命令請求のためなのか、それとも金策のためなのか、いろいろな事情があるとは思いますが、表からは見えないところを、いかに押さえるかということです。

こうした動きは財政難のためなのか、それとも日本にプールしているお金を韓国に逃がしているのか、二つの考え方がある。

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
解散命令請求が出たことで一気に(解散が)現実的になりましたので、今後そういう(逃がすという)目的も含まれていくのではないかと思います。これまでは“解散命令請求が出されないのでは”という楽観的な考えもあったと思われますが、実際に解散命令請求が出されたことで、今後この財産保全を逃れるために、お金を(韓国に)持ち込ませるという可能性についても警戒すべきです。

請求が認められた場合、いつ命令が出されるのか

12日に旧統一教会が発表した、解散命令請求に反論する声明には、請求が出されたことによる教団の焦りがうかがえるような一文があった。

旧統一教会のコメント:
私たちは、国から解散命令を受けるような教団ではないと確認しております。私たちの信徒たちと直に接してきた方々、長年にわたってお付き合いしてきた方々は同意してくださると思います。ただ、テレビのワイドショーなど左翼系弁護士の根拠薄弱な情報を垂れ流すだけのマスコミ報道を鵜呑みにした大多数の国民に対して私たちの教団の真実の姿を伝えることができなかったことは、私たちの力不足であったと痛感しております。

この声明について鈴木さんは、次のように見解を述べた。

鈴木さん:一見、メディア批判などが目立つ文章ですが、“私たちの信徒たちと直に接してきた方々、長年に渡ってお付き合いしてきた方々は同意してくださると思います”というところがポイントです。これは誰を指しているのか。非常に示唆的であり、政治家への圧力という風に思えます。政治団体などに対して、“これ以上変な風に進むと情報をリークしますよ”といった意味に捉えられます。

Q.今も旧統一教会とつながっている政治家はいるのですか?

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
はい。実際に私が確認しているところでは、閣僚経験者で(教団と)関係があると指摘されていた人が、まだ旧統一教会の秘書と一緒に行動しているところを目撃されています。

13日、文科省が東京地裁に請求した解散命令。裁判所がこの請求を妥当だと認めた場合、解散命令を出すことになる。過去に解散命令請求が行われた事例としては、オウム真理教は請求から7カ月で、明覚寺では請求から3年で解散命令が出されていた。

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
今回の場合、教団側の主張がある程度出尽くしています。一方、文科省側は多くの資料を積み上げて請求しているので、裁判所としては比較的判断しやすい状況が整っています。ただ、民法上の不法行為の事例が多いため、精査に時間を要すると思われます。今回はおそらく1年~1年半くらいで最終的に確定するのではないかとみています。

視聴者から質問が来ている。

Q.信者の離脱は進む?

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
大量の離脱も起こり得ます。解散命令によって“こういう団体なんだ”と改めて気づいて辞める方も出てくるかもしれません。一方で、突発的な行動をとる信者も出てくるかもしれないので、現役の信者たちが今後どうなっていくのかについて、注意深く見ていくべきです。

Q.解散命令に従ったとしても、別の名前で活動が始まるのでは?

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
別の名前で活動もできますし、別の宗教法人を買い取ってそこに移してしまうということもあり得ます。最終的にこの団体をどのように清算するのかは、旧統一教会の場合は、国庫に寄贈する、もしくは別の宗教法人に寄贈することも考えられます。そういったことが理論上はあり得るので、教団の動きを注意深く見る必要があります。

Q.解散命令は日本限定で、他国では何も変わらないのでは?

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
当然、日本国内での話ですので、海外に流出したお金をどうやって取り戻すのかなどはまた別の議論になります。日本での決定が海外でどう影響するかというと、何の影響もないのではないかと思います。財政上のひっ迫はあるにしても、日本での(解散命令の)決定によって、海外でも教団が追い込まれるということは、現状ではあり得ません。
(Q.海外にお金が渡らないようにするしかない?)
そうですね。保全するべきです。

(関西テレビ「newsランナー」2023年10月13日放送)

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