オウム真理教の教祖・麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚の遺骨を巡り、対立している「四女」と「妻や三女」などの親族。

松本元死刑囚の四女の代理人が11日、都内で会見を開き、四女と協議した結果、松本死刑囚の遺骨を太平洋の海に散骨する意向を表明。

そして、警備や費用の支援を国に求めた。

 
 
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事の発端は、6日に刑が執行される7分前、刑務官が松本死刑囚に遺体などの引き渡しについて尋ねた時のこと。

松本元死刑囚は沈黙の後に、「遺灰は四女に」と遺骨の引き取り手に四女を指名した。

しかし、9日には三女がブログで四女の指名について疑問の声をあげている。
 

2017年、四女と他の親族間で亀裂

松本元死刑囚の親族の間で今、何が起きているのか。

松本元死刑囚の親族は、妻と2男4女の計7人。

 
 

四女と他の親族との間に大きな亀裂が生じたのは2017年。

四女は2017年11月に、「父親のことを私は今も昔もほとんど父親だと思えません。著しく問題がある親との縁を子どもが切れる制度があった方がいいと思います」と話し、家庭裁判所に両親を相続人から外すよう申し立て、認められたと公表した。

しかし、松本元死刑囚が四女を遺骨の受け取り手に指名すると、四女は代理人のブログを通じて「受け入れることにします。松本元死刑囚はおそらく、最後は一人の人として葬られたいのだと思います」とコメントしている。

その真意について東北学院大学宗教学研究所の川島堅二教授は
「特に妻はオウム真理教の後継団体とのつながりが疑われてきましたし、四女の気持ちとしては遺骨が親族を通して教団に渡った場合、どのように悪用されるかを肌身で感じているのではないか」と、「アレフ」など、今も松本元死刑囚を崇拝しているという後継団体が悪用する恐れを懸念していると指摘。

 
 

この点については四女の代理人である滝本太郎弁護士は会見で、「遺骨がオウム集団の増長をさせないために、麻原家に渡してはならない。聖地にできないということで太平洋がいいと思う」と、埋葬場所が"聖地"となるのを避けたいと主張した。

四女は代理人のブログを通じて「実母と長女以外の姉弟と信者たちに言いたいことがあります。もう、麻原教祖に依存するのは終わりにしませんか」と呼びかけた。

一方で、三女や妻側は「遺体は配偶者である妻に渡すべきだ」との要望書を法務省側に提出している。
 

書面がなくても証明力がある

さらに会見では、滝本弁護士は「国はテロリスト・テロリズムに対する解決の一環として助けてください」と訴え、遺骨を奪還しようとする信者に攻撃される危険性があることを危惧した。

長年、オウム事件に携わってきた紀藤正樹弁護士によると、遺骨を巡って深まる親族間の対立について、妻・三女側は裁判を起こすことは可能で、もし、松本元死刑囚が「四女に」と口で指名したという事になれば、最終的な問題点は“指名を証明できるか?”ということがポイントだという。

ただ、紀藤弁護士は「仮に裁判になった場合、松本元死刑囚が四女を指名したことを証明する書面などがなくても、話を聞いたのが刑務官となれば十分な証明力があり、四女側に遺骨が渡る可能性が高い」とした。

(「めざましテレビ」7月12日放送分より)

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