10月8日にある天皇杯の準決勝で、ロアッソ熊本はJ1の柏レイソルと対戦する。実は柏レイソルには、熊本地震の時に支えてもらった「縁」がある。ロアッソの地震後初となる“ホームゲーム”は柏レイソルのスタジアムで開催されていたのだ。
柏レイソルのスタジアムでホーム戦
熊本地震から約1カ月たった2016年5月22日、熊本市のアーケードには多くのロアッソサポーターが集まり、エールを送っていた。その試合が、J2リーグロアッソ熊本と水戸ホーリーホックの一戦だった。

本来ならばホームのうまかな・よかなスタジアム(当時)で開催されるはずだったが、救援物資の集積所として使われていたことから、急きょ千葉にある柏レイソルのスタジアムで行われることになった。
なぜ遠く離れた千葉での開催となったのか。
縁が重なる熊本と柏の深いつながり
当時、クラブの社長を務めていた池谷友良氏に経緯を聞いた。

池谷友良氏:
いくつか手を挙げてくれたところもあったが、東京圏でやりたかった。熊本地震を風化しないように、現状を知ってもらいたいというか。日本全国からパワーをもらいたいという思惑の中で、一番柏がいいだろうと

池谷氏は過去に柏レイソルの前身、日立製作所でプレーし、柏での監督経験もあった他、当時、ロアッソの監督を務めていた清川浩行氏も長年、柏の下部組織で育成に携わるなど、元々ロアッソと柏には深いつながりがあった。

ロアッソの試合前日には柏のリーグ戦がこのスタジアムで行われていたが、柏のクラブスタッフやサポーター、ボランティアらが快く運営に携わり、ロアッソは地震後初の“ホームゲーム”を開催。この時、柏側はスタジアム使用料を取らなかったという。
あの時の感謝を胸に真っ向勝負の準決勝
この試合でフル出場し、今もロアッソでプレーする益城町出身の上村周平選手(27)は当時をこう振り返る。

ロアッソ熊本・上村周平選手:
サッカーできていることが今までにないくらい幸せだったと感じたし、熊本の人だけでなく全国の人が応援してくれていることが伝わったので思い出深い試合の一つ。ここまできたら決勝までいきたいので、そして優勝したいし、場所はどこであれ、勝ちを目指してやるだけ
池谷友良氏:
サポーターの力が必要不可欠になると思うので。特にレイソルのスタジアムは異様な雰囲気を持っていると思うので、そのサポーターに負けないように応援してほしい

7年前、全国のサッカーファミリーが赤く染めたスタジアムに、今度は完全アウェーの中乗り込むロアッソは、あの時の感謝を胸に秘め、柏と真っ向勝負する。J1の3チームを倒した勢いで初の決勝進出となるのか、決戦はいよいよ8日だ。
(テレビ熊本)