大分県別府市で大学生2人が死傷したひき逃げ事件で遺族などが21日、道路交通法違反で重要指名手配されている男を殺人容疑などで刑事告訴。また、インターネットなどで集めた殺人容疑などを適用するよう求める5万人以上の署名も合わせて提出している。

「ただのひき逃げじゃない…殺人だ」

亡くなった大学生の父親は、「当初から言ってきたが、これは殺人であってただのひき逃げじゃないと。凶器を車に変えただけでこれは完全な殺人だとずっと主張してきた」と話す。

去年6月29日、午後7時45分ごろ大分県別府市野口原の県道交差点で赤信号のため並んで停止していた原付バイクと普通バイクに坂を下ってきた軽乗用車が追突した。
この事故で原付バイクに乗っていた当時19歳の男子大学生が死亡。普通バイクに乗っていた大学生が軽いけがをした。
追突した車は交差点の脇にある信号機の柱に衝突。車を運転していた男は車を放置し現場から逃走した。

この記事の画像(6枚)

事件直前にトラブル…

八田容疑者は事件直前亡くなった大学生との間でトラブルがあったという。
事件の被害者の1人はTOSの取材に「八田がスピーカーですごい大きい音を流していてそれをちょっと不審に思った(亡くなった)彼が八田を少し見た。それにカッとなったか分からないが言いがかりをつけてきてという感じ。本当にそれだけのことだった。15秒、30秒ぐらいのすごく短いやり取りだったと思う」と当時を振り返る。

道交法で全国初の重要指名手配に

警察庁は現場から逃走した八田与一容疑者を9月8日付で道路交通法違反のひき逃げの疑いで重要指名手配に指定した。道路交通法違反での指定は全国で初めてとなる。

当時、制限速度を大幅に超えていたことや事件前に容疑者と被害者との間でトラブルがあり故意に追突した可能性が高いことなどが理由だということだ。

また、捜査特別報奨金の対象事件にもなり、逮捕につながる有力な情報の提供者には最大で300万円が支払われる。

殺人容疑で刑事告訴

こうした中、9月21日、亡くなった大学生の父親や遺族を支援している別府願う会のメンバーなどが別府警察署と県警本部を訪れ八田容疑者を殺人と殺人未遂の容疑で刑事告訴した。
事件前に容疑者と被害者との間でトラブルが起きていて告訴状では「八田容疑者が故意にはねて殺した可能性が高い」などと訴えていて容疑を切り替えるよう求めている。

5万人以上の署名も提出

また、インターネットなどで集めた殺人容疑などを適用するよう求める5万人以上の署名も合わせて提出している。別府署は21日付で告訴状を受理した。

「容疑者の逮捕がない限りは、わたしの気持ちも全然落ち着きませんし、今後一層、大分県警には頑張ってほしいなという気持ちでいっぱい」

亡くなった大学生の父親は、一刻も早い容疑者の逮捕を待ち望んでいる。

また、一緒に被害にあった大学生の父親も、「1人の未来ある希望ある人生を本人の身勝手な行動によって奪ってしまったという、こういう人間は殺人罪として取り扱うべきだと思っている」と話す。

道路交通法違反のひき逃げは時効が7年だが殺人罪に時効はない。県警は「引き続き総力を挙げて捜査していく」としている。

八田容疑者に関する情報の提供先:
別府警察署0977-21-2131

(テレビ大分)

テレビ大分
テレビ大分

大分の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。