国連総会に出席した、岸田首相は日本時間21日、訪問先のニューヨークで解散戦略について問われ「先週、新体制を発足させたところで先送りできない問題について、新体制で一意専心に取り組んでいく」と強調した。
解散時期については「今は、それ以外のことについては考えていない」と述べるにとどめた。
まずは、物価高対策などの経済対策の柱立てを9月中にきめて、10月中にとりまとめることに専念する考えを示すにとどめたが、腹の内では、経済対策を打ち上げた後の解散戦略を思い描いていることは間違いないだろう。
その解散総選挙の時期について有権者はどう考えているのか?
FNN世論調査(9月16,17日、全国の有権者を対象に1017人が回答)では、「できるだけ早く」「年内」を望む声をあわせると41.1%。「来年以降」「再来年の任期満了まで必要ない」を合わせると52.4%となった。
解散に自民支持層「後ろ向き」 立憲・維新支持層は「比較的前向き」
望ましい解散時期について、支持政党別に見ると、自民党支持者は早期解散に“後ろ向き”だ。
解散時期について「できるだけ早く」「年内」との答えはあわせて27.5%にとどまり、「来年以降」「再来年の任期満了まで必要ない」を合わせると66.3%、早めの解散を望む声は少数にとどまった。
【自民党支持層 解散時期について】
▶できるだけ早く+年内 27.5%
▶来年以降~再来年の任期満まで 66.3%
一方、野党第1党の立憲民主党支持者、第2党の日本維新の会の支持者では、年内までの間での解散を望む声が、4割超、3割超といずれも自見党支持者の意見を大きく上回った。
岸田首相にとって、年内のうちの解散は、自民党支持層ペースより、立憲・維新支持層ペースになりかねない状況といえる。
【立憲民主党支持層 解散時期について】
▶できるだけ早く+年内 41.8%
▶来年以降~再来年の任期満まで 48.4%
【日本維新の会支持層 解散時期について】
▶できるだけ早く+年内 36.3%
▶来年以降~再来年の任期満まで 59.1%
ただし、与党の公明党支持層を見ると、年内までの間での解散が望ましいという意見が4割近くとなり、野党支持層に近い結果となった。
公明党の最大の支持基盤、創価学会では年内の選挙を準備する意識が、自民党支持層に比べ高いことがうかがえる。
【公明党支持層 解散時期について】
▶できるだけ早く+年内 39.6%
▶来年以降~再来年の任期満まで 59.1%
選挙の趨勢のカギ握る無党派層「できるだけ早く」「年内」解散5割
解散時期の見極めに関わるのが、世論調査で4割近くに上り、最も割合が多い「支持政党なし」の無党派層だ。「できるだけ早く」「年内」の解散を望む意見は、立憲支持層、維新支持層を上回り、あわせて約5割となった。
【無党派層 解散時期について】
▶できるだけ早く+年内 49.4%
▶来年以降~再来年の任期満まで 45.4%
この数字の意味するところを掘り下げてみる。
無党派層に限って見ると内閣支持率は「支持」19.5% 「支持しない」75%と岸田政権には批判的な意見が圧倒していて、無党派層が早めの解散をのぞむ理由は、岸田政権を支持しないから、ということがうかがえる。
今現在に限れば、岸田首相にとっては、望ましい解散状況とは言えない現状だ。
この無党派層の取り込みが解散を打つ前提条件といえる。
岸田首相が内閣改造後に強く打ち出している経済対策は「物価高対策」や「賃上げの継続」が主軸となっている。無党派層はもちろん、与野党の支持層問わず、広く有権者が望む喫緊の課題だ。
10月にも始まる臨時国会で、補正予算編成し、予算の裏打ちを決め、無党派層に限らず、世論全体の支持を高めたところで、年内の解散時期を探る、というのが岸田首相が描くシナリオと見られる。
内閣改造で支持率が下がった現状に、自民党内からも「解散は厳しくなった」との見方がでている。岸田総理がこの局面を転換できるかが、国会秋の陣の焦点となる。