「“通称拡大”望む」女性は47% 男性は43%
「選択的夫婦別姓制度」とは、夫婦が望む場合、結婚した後も夫婦それぞれが結婚前の名字を名乗ることができる制度。
民法などでは、男性か女性かいずれか一方が、必ず名字を改めることになっていて、現実には女性が名字を改め、男性の名字を名乗るケースが圧倒的多数となっている。

女性の社会進出がひろがる中、仕事上・日常生活上の不便や不利益があると指摘があり、24日から始まる通常国会で、法改正が焦点となっている。
世論調査では、「選択的夫婦別姓制度」導入の法改正について聞いたところ「賛成」が37.5%、「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を拡大」が最も多く45.2%、「反対」が14.7%となった。
夫婦別姓制度の導入についての調査では、実施する報道機関によって「賛成」・「反対」の2択で質問する調査もある。一方でFNNでは、「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を拡大する」という選択肢を加えて3択での設問としている。
2択での設問の場合は、「賛成」が過半数となる調査結果が大半で、選択的夫婦別姓制度の導入に「賛成」が過半数との評価となる。
他方、FNN調査では、旧姓の通称使用を法整備で拡大し、現状のまま夫婦「同姓」制度が望ましいという意見が最も多く、選択的夫婦別姓の導入に「反対」という意見もあわせると、「選択的夫婦別姓制度」は6割が“望んでいない“と評価できる。
FNN調査では、3択にすることで、有権者が実際に求めている制度がより精緻に判明するとの立場で調査を行っている。
続いて調査結果を男女別にみてみると、女性では「賛成」が35.8%、「夫婦同姓制度で、旧姓の通称使用拡大」が47.4%、「反対」が13.9%。
男性では「賛成」39.3%、「旧姓の通称使用拡大」が43.0%、「反対」が15.6%となり、女性・男性ともに「旧姓の通称使用の拡大」が最も多くなり、男性に比べて、女性のほうが「旧姓の通称使用の拡大」を望む意見が多い結果となった。

【「選択的夫婦別姓」導入の法改正】「賛成」 37.5%「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を拡大」 45.2%「反対」 14.7%
【「選択的夫婦別姓」導入の法改正 男女別】
●女性
「賛成」 35.8%
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を拡大」 47.4%
「反対」 13.3%
●男性「賛成」 39.3%
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を拡大」 43.0%
「反対」 15.6%
石破首相「議論の頻度を上げて」
通常国会が1月24日から始まる中、「選択的夫婦別姓制度」を導入する法改正を審議する機運が高まりつつある。
19日の番組出演で石破首相は「あまり時間は残っていない。濃密な議論を早急に行い、自民党として決めるよう党にお願いしたい」と自民党総裁として党の議論と結論をだすよう促した。
石破首相は年末12月の会見でも「議論の頻度を上げて熟度を高めることに力を入れていきたい」と議論を促した。

石破首相は、首相就任後こそ、立場上意見を明確にしない形で議論を促すにとどめているが、去年秋の総裁就任前には「やらない理由がよくわからない」として賛成の姿勢を示してきた。
政府のスポークスパーソンでもある林官房長官は、世論調査結果が出た20日の会見で、個々の世論調査の結果に政府としてコメントすることは控えるとした上で「国会で建設的な議論が行われ、より幅広い国民の理解が形成されることが重要である。政府として引き続き国民各層の意見や国会における議論の動向等を踏まえて対応を検討していく必要がある」とコメント。国会での議論を通じた国民の理解が重要だと強調した。
ただし自民党内には、選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な保守派議員が存在し、石破首相が促す議論が本格化した際には、自民党内で意見が集約できるかどうか、一筋縄ではいかない見通しだ。
こうしたなか、支持政党別に、選択的夫婦別姓制度を導入する法改正への意見を見たところ、自民党支持層では、「賛成」が24.7%、「旧姓の通称使用拡大」49.8%、「反対」21.5%となった。自民支持層では「通称使用の拡大」を望む声が、全体の回答よりも強い結果となった。
しかし、同じく与党でも公明党は立場が違う。公明党の斉藤代表は「男性も女性も実際に困っている人が多くいる。もう決断するときだ」と述べるなど、導入に前向きだ。

公明党は党のHPでも「夫婦が希望すれば、それぞれが結婚前の姓を名乗れるよう、早急に制度を改める必要がある」として、法改正の推進を一貫して主張している。
その公明支持層でみると、「賛成」46.0%、「旧姓の通称使用の拡大」43.3%、「反対」10.6%で、与党間の立ち位置の違い同様、自民支持層と違い公明支持層は、選択的夫婦別姓に「賛成」の意見が最も多く、立憲民主党支持層に近い意見となった。
立憲支持層をみてみると、「賛成」51.5%、「旧姓の通称使用の拡大」39.9%、「反対」7.3%となった。

衆議院では、与党が過半数を割り込む中、野党が一致すれば、野党提出法案が衆議院を通過する情勢となっている。さらにこれは「情勢」にとどまらない。というのも立憲民主党は、衆議院で議席を伸ばしたことを背景に、法改正の場合の審議が行われる衆院法務委員会の委員長ポストを得ていて、審議入りをリードする権限を有している。
野田代表はテレビ出演で「30年越しの課題だ、決着をつけるため議論の俎上に載せる」と発言するように、今年夏の参議院選挙に向けて、選択的夫婦別姓をめぐる法改正は、今国会の焦点の1つとなる。

【「選択的夫婦別姓」制度導入の法改正 支持政党別】
●自民支持層
「賛成」 24.7%
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を拡大」 49.8%
「反対」 21.5%
●公明支持層
「賛成」 46.0%
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を拡大」 43.3%
「反対」 10.6%
●立憲支持層
「賛成」 51.5%
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を拡大」 39.9%
「反対」 7.3%
(執筆:フジテレビ政治部 西垣壮一郎)