FNNの9月の世論調査で、岸田内閣の支持率は38.9%、8月より2.6ポイント下がった。
内閣支持率が30%台に下落するのは、今年1月以来、8カ月ぶり。
福島第一原発の処理水の海への放出が8月から始まる中、福島県産など水産物について、「安心」「どちらかといえば安心」を合わせると、8割近くが安心していると答えた。
内閣支持率 38.9% 2.6ポイント下落 内閣改造での浮揚効果は無し
FNNは、内改造後の9月16日・17日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1017人から回答を得た。
この記事の画像(13枚)内閣改造後は、支持率が上昇することが多いが、支持率だけを見れば岸田首相の“目論見通り”とは行かなかった。8月調査から支持率は2.6ポイント下落し、38.9%。支持しない人は2.6ポイント上がり56.1%となった。不支持は3カ月連続で5割超えとなった。
【岸田内閣への支持】
支持する 38.9%
支持しない 56.1%
岸田首相は、加藤鮎子こども政策担当相、自見英子地方創生担当相、土屋品子復興相を初入閣させ、上川陽子元法相を外相に起用するなど、過去最多に並ぶ5人の女性閣僚を起用した。この人事には一定の評価が示された。
【女性閣僚を過去最多に並ぶ5人起用】
評価する 65.1%
評価しない 28.3%
女性閣僚の起用に評価が高かったものの、内閣支持率が下がったのはなぜか?
今回の内閣改造は「刷新感」の一方で「骨格の維持」もはかる両にらみが人事が裏目に出たとみられる。松野官房長官、鈴木財相ら“内閣の顔”となる重要ポストは留任、マイナンバー問題や処理水放出など政権の喫緊の課題を担当する“重要大臣”でも河野デジタル相、西村経産相らが留任した。
また、副大臣・政務官54人の人事では、異例の女性ゼロという人事となった。
こうしたことが背景となって、女性閣僚の5人起用で演出した「刷新感」は帳消しにとどまらず、支持率が下がる結果となったとみられる。
また、同じ日に行った自民党役員人事で、2014年に政治と金の問題で辞任した小渕優子氏を党四役の選挙対策委員長に抜擢したことについては、厳しい意見が示された。
【小渕優子氏の選対委員長への起用】
評価する 29.2%
評価しない 58.7%
処理水放出後 科学的「安全」説明で水産物への「安心」広がる
岸田首相は、福島第一原発の処理水の海への放出については、国際的な安全基準を下回る濃度に薄めていて「安全」だと説明を重ねている。
「安全」を「安心」につなげることが課題だとして8月末には、自ら昼食に福島県産のヒラメの刺身などを食べて安全性をアピールした。こうしたなか、福島県産などの水産物について安心しているとこの答えが8割近くに上った。
【福島第一原発の処理水の放出が始まる中、福島県産などの水産物について】
安心 31.8%
どちらかといえば安心 45.6%
どちらかといえば不安 15.0%
不安 5.9%
物価高への具体策 ガソリン価格の抑制政策は6割が「支持」
物価高が続く中、岸田首相は、今後すみやかに、経済対策をまとめる考えを表明している。
先行して具体化した、レギュラーガソリン価格の抑制のための補助金の延長については、6割超が支持した
【レギュラーガソリンの価格を抑える補助金の延長】
支持する 66.6%
支持しない 28.2%
旧統一教会への対応は、政府に厳しい対応を望む声
旧統一教会への解散命令請求について岸田総理は、13日の会見で「法に照らして判断そして行く、解散命令請求等を行えるかどうか、最終的な判断」をすると述べた。
10月にも教団への解散命令の請求を検討しているとみられる。
解散命令の請求については「賛成」が9割に上った。
【旧統一教会への解散命令請求】
賛成 89.7%
反対 5.2%図
解散総選挙「もういいかい」と問われて「まぁだだよ」とは答えられない
今回の内閣改造にともない、永田町が最も注目している話題の一つが、岸田首相が解散総選挙に踏み切るかどうかだ。
改造の顔ぶれを見た立憲民主党の泉健太代表は「解散総選挙の可能性が高まっている」とさっそく反応した。与党でも公明党山口代表は「選挙がいつあるかは総理大臣が決めること『もういいかい』と言われて『まだです』というのでは総理も(解散総選挙を)やるにやれない」と述べるなど、永田町は「常在戦場」の空気が漂う。
一方で、世論調査で、内閣改造への評価が低いとの結果は疾風のように広がり「解散に踏み切れないだろう」との見方も出るなど、解散風の風向きはめまぐるしく変化している。
有権者は4割が年内の解散がふさわしいと考えている一方、3割は、再来年の衆議院の任期満了まで解散の必要は無いと答えた。
【解散総選挙はいつ頃がよいか】
できるだけ早く解散すべき 19.8%
年内に解散すべき 21.3%
来年以降に解散すべき 23.7%
再来年の任期満了まで 28.7%
解散ともうひとつ、岸田総理の“思惑“に注目が集まっているのが、自公連立への野党国民民主党の参加の検討だ。
岸田首相は、内閣改造に伴う官邸人事で、国民民主党の元副代表の矢田稚子元参議院議員を首相補佐官に起用した。矢田氏は、国民民主党の支持基盤の労働組合「電機連合」の組織内候補だったこともあり、自公と国民民主との将来的な連携や、労働組合が組織する連合からの支持獲得などの観測が飛び交っている。
有権者の声は、新たな連立構想にたいして半分に割れていて、今後、秋の臨時国会での自民党と国民民主党の距離感などが注目される。
【自公連立に国民民主党が参加する案が浮上していることについて】
賛成 40.6%
反対 42.3%