FNNが3月に行った世論調査で、石破内閣の支持率は30.4%と2月に比べて、13ポイント急落した。
内閣支持率を支持政党別に見てみると、自民支持層では「支持」68.3%、「支持しない」25.1%と自民支持層からの内閣支持率は、安定した高さだと言える。
一方で、与党公明支持層では“石破離れ”が起きているといえる結果となった。
「支持する」38.8%、「支持しない」52.6%と、支持しない声が過半数となった。
野党を見ると、立憲民主支持層では「支持する」30.1%、「支持しない」67.6%と厳しい意見となったほか、さらに国民民主支持層では「支持する」7.4%、「支持しない」89.5%と圧倒的に支持しない声が強いことが明らかになった。一方で、野党でも日本維新の会の支持層では石破内閣を「支持する」45.0%、「支持しない」46.5%と拮抗する回答となった。

【内閣支持率】
支持する 30.4%
支持しない 63.0%

【内閣支持率】(支持政党別)
支持する 支持しない
自民支持層 68.3% 25.1%
公明支持層 38.8% 52.6%
立憲支持層 30.1% 67.8%
国民支持層 7.4% 89.5%
維新支持層 45.0% 46.5%

10万円商品券の説明「納得しない」8割弱
大幅に下落した背景にあるのが、石破首相が自民党新人議員15人に商品券10万円をそれぞれ配った問題だ。石破首相は国会の答弁で「政治活動ではないため、政治資金規正法に抵触しない、違法性はない」と説明。ただし、居直るわけではなく「金額について一般の常識から乖離していた、申し訳ない」と陳謝を繰り返している。こうした説明について世論調査で納得するかしないか聞いたところ、「大いに納得」2.5%、「ある程度納得」18.9%、「あまり納得しない」30.1%、「まったく納得しない」46.8%で、納得しないという答えが「あまり」と「まったく」をあわせて77%に上る結果となった。
党内議員への“贈り物”は政党ごとに慣習の違いがあり、「自民党の政治文化」といった批判が国会でもなされている。支持政党別に、みてみると、自民支持層では「大いに」「ある程度」をあわせて「納得」は43.4%、「あまり」「まったく」をあわせて「納得しない」との答えは54.8%となった。こちらも与党公明党支持層からは厳しい回答となり「納得」は14.0%「納得しない」が86.0%に上った。野党では、立憲支持層は「納得」は25.9%、「納得しない」は81.0%、国民民主支持層では「納得」8.2%、「納得しない」90.0%、維新支持層では「納得」25.9%、「納得しない」71.3%となり、自民党支持層ではそれなりの「納得」が広がっている者の、公明、他主要野党支持層でも石破首相の説明には厳しい意見が示された。

【10万円商品券配布での説明】
大いに納得 2.5%
ある程度納得 18.9%
あまり納得しない 30.1%
まったく納得しない 46.85%
【10万円商品券配布での説明】(支持政党別)
自民層 公明層 立憲層 維新層 国民層
納得 43.4% 14.0% 18.5% 25.9% 8.2%
納得しない 54.8% 86.0% 81.0% 71.3% 90.0%

石破首相「辞める必要ない」は6割超
10万円商品券での説明に、自民支持層以外からは“総スカン”状態の石破首相だが、この問題で「石破交代論」は有権者の中では高まっていない。有権者全体でみると「辞めるべき」との意見は32.7%、「辞める必要はない」は62.6%で、3人に2人は石破首相続投を容認する結果となった。
こちらを支持政党別で見ると、上記の商品券問題への対応とは、違った回答となった。
自民支持層では「辞めるべき」10.3%、「辞める必要は無い」84.7%と前述の回答に沿うものとなった。与党公明党支持層を見ると「辞めるべき」16.1%、「辞める必要は無い」78.6%と自民党ほどではないものの、圧倒多数が「辞任不要」と回答した。
さらに、立憲民主支持層でも「辞めるべき」30.0%、「辞める必要は無い」65.1%、維新支持層でも「辞めるべき」23.5%、「辞める必要は無い」76.5%と野党の主要政党でも、「辞任不要」が圧倒的に多い回答となった。ただし国民民主支持層では「辞めるべき」58.6%、「辞める必要は無い」38.1%と、「辞任」が「辞任不要」を上回った。
国会で、野党は10万円商品券の問題で、石破首相が政治倫理審査会で速やかに弁明をするべきと追求している。ただし、石破首相に対して、説明責任を求めることを優先するべきという姿勢の背景には、納得いく真相説明に行き着くことを期待するよりも、“疑惑の首相”のまま参院選に突入して、自民党の自滅を目論む狙いというのが、いわゆる永田町の理論での野党が描く“石破続投論”とされている。
むしろ3月段階で “石破降ろし”は自民党から声が出ている。石破首相の不人気は、夏に予定される参議院選挙で、自民参院候補を直撃するだけに、不満と不安は身内の自民党、しかも選挙を控えた参院議員に強いとみられる。ただし、自民党参院でも“石破降ろし”を表明したのは、西田昌司参院議員と青山繁晴参院議員の2人どまりで、賛同は広がっていない。大半は「2人に限った意見だ」として、冷静に首相の対応を見守る姿勢だ
ただし、6月の首都決戦、東京都議会選挙、夏の参院選が近づくにつれて、このままでは、野党の攻勢は強まり、自民党内の不満は高まることが予想される。3月段階では「辞める必要は無い」という世論がどちらに向かうのか、商品券問題での石破首相のさらなる対応は、政権の行方を決める要因となる可能性がある。

【石破首相は辞任すべきか】
辞めるべき 32.7%
辞める必要は無い 62.6%
【石破首相は辞任すべきか】(支持政党別)
自民層 公明層 立憲層 維新層 国民層
辞めるべき 10.3% 16.1% 30.0% 23.5% 58.6%
辞める必要はない 84.7% 78.6% 65.1% 76.5% 38.1%
(フジテレビ政治部 西垣壮一郎)