2023年9月10日に、熊本県内で社会人野球のオープン戦が行われた。4年前に閉校した熊本県立多良木高校出身の同級生バッテリーがふるさとで輝く姿を取材した。

多良木の名を背負い活躍する2選手

熊本県立多良木高校は、2019年に惜しまれながら閉校した。特に野球部は、長年監督を務めた齋藤健二郎さんのもと、毎年県内でも屈指のチームを創り上げ、「公立の雄」として知られていた。

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東芝・善武士投手:
母校はなくなってしまったんですけど、試合で自分の名前を呼ばれるときに「多良木高校」っていうのが出るんで、自分が活躍することで多良木高校の存在を知ってもらったらうれしい

いまだ「多良木」の名を背負い現役で活躍しているのが、善武士投手(27)と中村浩人捕手(27)だ。善投手は140kmを超える速球を武器に、高校卒業後は社会人野球・東芝で活躍中だ。

中村捕手は、東京六大学野球の名門・法政大学で首位打者を獲得し、卒業後、善投手と同じ東芝入りを果たした。

卒業後初 黄金バッテリー熊本でプレー

2023年9月10日に東芝は熊本に遠征し、強豪・Honda熊本とオープン戦に臨んだ。中村捕手は先発マスクを被り、善投手はブルペンで出番を待つ。

試合が動いたのは3回、Honda熊本8番で、熊本工業出身の丸山竜治選手がセンター前にはじき返して出塁すると、送りバントの後、1番・山本卓弥選手、2番・中島選手、3番・稲垣選手の3連打でHonda熊本がこの回一挙3点を先制した。

リードされた東芝は、4回からリリーフで善投手を投入し、多良木の黄金バッテリーが高校卒業後初めて熊本県内でプレーした。

場内アナウンス:
北村に代わりまして、ピッチャー善。多良木高校・背番号12

高校時代の監督・齋藤健次郎さん(74)も見守る中、善投手は最初の打者から空振りの三振を奪った。次の打者にはフォアボールを与えたものの、後続をダブルプレーに仕留め、この回をゼロにおさえた。

多良木高校 元監督・齋藤健次郎さん:
よし、ゲッツーいけ!2人目へのフォアボールがいかん

ーー厳しいですね?

多良木高校元監督・齋藤健次郎さん:
社会人野球のレベルになると、一つのフォアボールやエラーが勝負を決めるから

5回は一転してノーアウト満塁のピンチ。すかさず中村捕手がマウンドに駆け寄った。

東芝・中村浩人捕手:
「もう一回開き直って、どんどんいい球で攻めていこう」という話を善とした

これで落ち着いた善投手は、犠牲フライで一点は失ったものの、カットボールで相手のバットをへし折るなど、ふるさとで気迫あふれるピッチングを披露した。すると、中村捕手も自慢の肩で相手の盗塁を阻止し、多良木バッテリーが熊本で躍動した。

「高校時代があったから」熊本への思い

このあと、突然の大雨で試合は7回コールド。7対1でHonda熊本に軍配が上がったが、試合後、2人の表情はふるさとへの思いにあふれていた。

東芝・善武士投手:
地元の友達も見に来てくれてるっていうのもあって緊張したが、粘りのピッチングができた

東芝・中村浩人捕手:
送球、セカンドスローっていう面で、齋藤先生に高校時代キャッチャーに抜てきしてもらった。ここ(社会人)まで2人で野球を続けられてるのも、高校時代があったからだと思ってるので、そういった意味でも成長したところを見せられたかなと思う

(テレビ熊本)

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