関西電力が、山形・舟形町などイヌワシが生息する山で進めている風力発電計画をめぐり、舟形町議会で質疑が交わされた。賛成か反対か、森町長は明確な意思表示をしなかった。

計画地に天然記念物・イヌワシ生息

風力発電計画は、関西電力が舟形町と最上町・尾花沢市の1市2町にまたがる「熊ノ返山」周辺の山地で進めている。

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舟形町には2022年の春以降、担当者が相次いで訪れ、森町長や町議会などに対し、県内では最大の40基の風車を建設したいと説明。発電量は一基あたり4メガワットと、国内最大級の大型風車であることもわかっている。

しかし関西電力の現地調査で、計画地に国の天然記念物に指定されているイヌワシの新たなつがいが1組見つかり、事業認可を得るための第一段階として、この夏を予定していた「環境影響評価配慮書」の提出は先延ばしとなった。

舟形町長「配慮書提出後に賛成・反対判断」

舟形町議会では9月5日、議員の一人がイヌワシが見つかったエリアを鳥獣保護区域に指定する必要があるとただしたが、森町長は「関西電力と県との協議終了後には住民説明会を行い、環境影響評価に入る予定となっている。その結果を見て、鳥獣保護区の指定について必要性を判断したいと考えている」と回答。

議員は関西電力の計画に対し、明確に「反対」の意思表示をすべきと訴えた。

舟形町・叶内昌樹議員:
風力発電が必要なのか、必要でないのか、イエスかノーかで言ったらどちらですか

舟形町・森富広町長:
希少動植物の保護も大事ですが、地球全体の考え方として再生エネルギーも必要。したがいまして、町としてどうかということについては、関西電力から配慮書の提出があった段階で改めて判断をさせていただく

専門家の立場で関西電力から意見を求められている希少猛禽類研究家・写真家の今井正さんは、「大型風車による低周波や騒音は、鳥だけではなく人体にも深刻な健康被害や精神障害を引き起こすおそれがある」と指摘している。

「撤退を長引かせれば反対運動も辞さない」と話す町民も出始めていて、今後、波紋が広がりそうだ。

(さくらんぼテレビ)

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