災害で電気やガスが止まっても、新聞紙があれば炊きたてのごはんを食べることができる。そんな炊飯器「魔法のかまどごはん」を、タイガー魔法瓶が開発した。

タイガー魔法瓶が開発した「魔法のかまどごはん」
タイガー魔法瓶が開発した「魔法のかまどごはん」
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特徴は本物のかまどと同じ構造をしていて、燃料が新聞紙であること。白米5合までの炊飯に対応し、目安として、新聞紙1部(約36ページ)で3合が炊けるという。※燃料の新聞紙は炊飯の量で変わり、5合では44ページ、1合では24ページが目安。

最短は約1時間程度で炊飯

炊飯に必要なものは、米、水、新聞紙、着火用のライター、軍手。手順はまず米を洗い、適量の水と一緒に付属のなべにいれ、夏場は30分以上、冬場は40分以上、浸しておく。燃料となる新聞紙はねじれた棒状が望ましいため、待ち時間で作ると効率が良いという。

炊飯に必要なもの、炊飯の手順
炊飯に必要なもの、炊飯の手順

ここまで来たら、米と水を入れたなべをかまどに置き、ふたをして準備完了。かまどにある、二つの口に、火を付けた新聞紙を1分~1分半の間隔で左右交互に入れていく。炊きあげから10分後に最後の新聞紙を投入し、そこから蒸らして完成。

最短だと、給水時間を含めて約1時間程度で炊きあがるという。

炊きあがりはこんな感じに
炊きあがりはこんな感じに

魔法のかまどごはんは、幅約25cm、奥行約25cm、高さ約23cm(収納時の高さは約18cm)。価格は1万9800円(税込)で、ウェブ限定商品として10月20日の発売を予定している。

災害時に役立ちそうだが、新聞紙を燃料としたのはどんな狙いがあるのだろう。日常では使えるのだろうか。タイガー魔法瓶の担当者に聞いた。

身近で手に入り扱いやすいものが新聞紙

――魔法のかまどごはんを開発したのはなぜ?

お客様にもしもがあった時、電気やガスが使えない状態でも、いつでも温かくておいしいごはんを食べてもらいたい。関東大震災から100年にあたる年に「この先の100年を見据えた温もりあるアイデアで、食卓に新たな常識を作り続ける」という思いから、開発を始めました。


――新聞紙を燃料とした理由は?

身近で手に入り、扱いやすいものを考えた時、一番に浮かんだのが新聞紙でした。古紙としてリサイクル回収もされるので、資源の有効活用ができることも大きいです。

新聞紙の使用を推奨している
新聞紙の使用を推奨している

――新聞紙以外の紙などは使えるの?

新聞紙以外でも、燃えたときの煙に有害物質が含まれなければ問題ありません。ただし、紙の厚み、サイズで火力が変わるので現時点で推奨しているのは、新聞紙と牛乳パックです。(牛乳パックはポリエチレンでコーティングされていますが、有害なガスは発生しません)

コツは新聞紙を投入するタイミング

――開発でのこだわり、工夫は?

新聞紙から発生する可燃性ガスを燃やしきること、燃え残りを出さないことが、性能と安全性の観点から必須でした。水が入ったなべに新聞紙が触れると燃え残りが生じるので、空気が流れる、最適な燃焼室を設計するため、セメントを用いた試作機を70台以上も手作りしました。

また、本物のかまどと同じ構造にすることで、ごはんの甘みとハリを実現しました。なべ底から火力を加え、上下の温度差を作り出すことで、おいしさを追求しています。

本物のかまどと同じ構造
本物のかまどと同じ構造

――ごはんをおいしく炊くためのコツは?

新聞紙は乾燥したものを使い、毎回着火してから、かまどに入れると良いです。自然着火だと、手前側が燃えるまでに時間がかかります。新聞紙を投入するタイミングを(炊飯)途中で変えることもポイントです。最初の燃料に火をつけてから、9分までは1分30秒ごとに投入、9~19分の炊きあげまでは1分ごとに投入。その後に最後の新聞紙を投入して、蒸らすと良いでしょう。


――炊飯以外の用途で使えるの?

煮込み料理、湯沸かしにも使えますが、炒め料理は新聞紙の灰が入る、おそれがあるので、おすすめしていません。

普段使いしないと被災時にも使えない

――魔法のかまどごはんはどんな場所で使える?

室内、屋内、テント内、車内など、換気の悪い場所での利用は禁止としております。火気の使用や取扱いが禁止されている場所でも使用されないようお願いいたします。キャンプなどのアウトドアにはご使用いただけます。※取扱説明書をお読みになり、正しくお使いください。


――どんな場面での使用を想定している?

防災用のほか、レジャーシーンでの使用も想定しています。防災訓練は万が一のために行いますが、普段使っていないものは被災した時には使えないこともあります。ご家族や友人と楽しみながら使っていただき、同時に安心も手に入れていただければなによりです。

普段使いで災害に備えてもいいかもしれない
普段使いで災害に備えてもいいかもしれない

魔法のかまどごはんは、8月末から予約受付を開始すると、9月5日時点で1000台以上の予約が入っているという。普段使いで災害に備えるアイテムとして、考えてみてもいいかもしれない。

(画像提供:タイガー魔法瓶)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。