7月の記録的な大雨から1カ月がたった。中小規模の16の河川が氾濫するなど、大きな被害を出し、今も爪痕が深く残る秋田県内。2年連続で浸水被害に見舞われた秋田・五城目町の住民の「いま」に迫る。

2回の浸水被害…「改善の努力を」

五城目町内川の沢田石敏男さん(81)。長年使い続けてきた家具を懸命に拭いている。沢田石さんは、7月14日からの記録的な大雨で、床上浸水の被害を受けた。

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五城目町内川・沢田石敏男さん:
廊下の床板から25cm浸水したが、玄関から1段上がった所から床上という判定になり、床上浸水45cmだった

大雨の直後は、水を含んだ畳などを運び出す作業に追われていたが、現在は消毒作業が終わり、親戚や近隣住民の手を借りながら家具を片付けている。

7月14日から降り続いた大雨。秋田県内では、中小規模の16の河川が氾濫した。被害が大きかった地域の一つ、五城目町は、2022年8月にも大雨に見舞われ、99棟が浸水したが、今回の被害はその6倍を超える599棟にのぼった。

7月15日、秋田テレビのカメラが捉えた内川川の様子では、ごう音とともに川の水があふれ出しているのがわかる。

湯ノ又橋近くにある茶色い壁の家が沢田石さんの自宅。当時は、高台の親戚の家に妻と長女とともに避難していた。

五城目町内川・沢田石敏男さん:
親戚の家から自分の家が水害に遭っている状況を見ていると、本当にどうなっていくんだろうと心配していたが、自宅に帰って生活が始まって、みんなの力を借りながら整理したことで、なんとなくほっとした。やっぱりわが家だなという気持ち

沢田石さんは2022年8月にも床上浸水の被害を受けた。2023年も湯ノ又橋と平行してかかる水道管が垂れ下がった状態だった。

五城目町内川・沢田石敏男さん:
この橋が大きな原因になっているのかなと思う。2回も水害になったので、内川川を管理する県もそれなりに調査して、なんとかいい方法を考えてくれることを願っている

7月21日には、佐竹知事や谷防災担当相が現地を視察し、沢田石さんは対策を求めた。

五城目町内川・沢田石敏男さん:
このままではどうにもならない。河川を拡幅して橋の付け替えをしなければ、こういう災害は防げない。大臣・知事・町長に「一丸となって改善のために努力してください」と強く申し上げた

不安あるも「住み慣れた土地で生活」を望む

内川川の流域は、いわゆる「ハザードマップの空白域」で、土砂災害の警戒区域は記されているものの、浸水の危険度は示されていない。

県は、7月20日に湯ノ又橋近くに河川監視カメラを設置した。内川川では初めての取り組みだ。また、浸水想定区域図を「2025年度までに作成したい」としている。

250年以上も前から、この地で代々、家を受け継ぎ生活してきた沢田石さん。「また浸水被害に見舞われるのではないか」という不安があるものの、「住み慣れた土地で生活したい」という思いが揺らぐことはない。

五城目町内川・沢田石敏男さん:
自分が生まれ育って、ここで生活してきた思いが染みついているので、どうしてもこの地は離れがたい。息子夫婦が秋田市に居を構えていて「われわれのところに一緒に住んだらどうか」と言われたが、やはり住み慣れたこの土地に長く住みたいという気持ちに変わりはない

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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