7月の記録的な大雨から1カ月余りがたったいまもなお、爪痕が深く残る秋田県内。秋田の基幹産業「農業」も大雨によるものとしては過去最大の被害を受け、農家は切実な声を上げている。

あまりの被害に落胆の色を隠せない農家

7月15日に八峰町で撮影された映像には、田んぼにイネが見えなくなるほど大量の水が流れ込んでいる様子が写っている。

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記録的な大雨の農林水産関係の被害額は135億円を超え、県内の大雨被害としては過去最大となった。

八峰町の「はっぽう農園」も大きな被害に見舞われた。大雨から1カ月がたったいま、田んぼはまるで河川敷かのようになっている。

はっぽう農園・米森雄大代表理事:
土砂で埋まっているが、元々はこの下にもイネがあった。いまイネの上を歩いているような状態になっている。見たくなかった、でも見なきゃ現状が分からなかったし、初めて見たときは言葉が出なかった。農業をやめたほうがいいのかなと、悪い思いばかりがこみ上げてきた

はっぽう農園の代表を務める米森雄大さんは、落胆の色を隠せない。

2022年8月の大雨でも一度被害に…

はっぽう農園は30代の若手農家が中心となり、高齢を理由に農業をやめた農家から土地を請け負い、コメやソバなどを栽培している。

7月の大雨で塙川が氾濫し、田んぼに大量の土砂が流入。いまも残る大きな岩や倒れた電柱が、当時の水の勢いを物語っている。

はっぽう農園・米森雄大代表理事:
私が知る限り、近所の人に聞いても、70数年ここで農業やっているけど、ここまでの水害はいままで一度もなかったと聞いている。正直「またか」という感じもあったし、毎年のように被害があると心が折れていて、当初は本当にへこんだ。泣いたりもした

はっぽう農園は、2022年8月の大雨でも被害を受けた。ことしこそは…と期待を込め、農作物の生育が順調だった矢先の大雨だった。

はっぽう農園・米森雄大代表理事:
イネは生育しているが、見ての通り半分くらい埋まっていて、こうなると機械で刈り取りができない

病気にかかったイネもあり、復旧と並行して対応に当たった。

はっぽう農園・米森雄大代表理事:
隣の農家(農地)に病気がうつることがある。そういうことを防ごうと、収穫できないと分かっているが、残っているイネにドローンを使って農薬を散布して、病気が広がらないように対策もした。正直、収穫できないものに薬を散布するのは、かなり悲しかった。でも、ほかの農家に迷惑をかけたくなかったので、我慢してやった

被害額は1,200万円の見込みだが、これには故障したポンプなどの修理代は含まれていない。

「ここで諦めたら駄目だなと…」

また、ソバを植える予定だった土地は作付けできない状況で、今後の営農に影響が出ている。

はっぽう農園・米森雄大代表理事:
私たちもずっと作ってきた田んぼなので、早く元の姿に戻して、またここでイネやソバを作付けしたいので、早く現状の姿に戻してくれるような工事が入ってくれればと思っている。従業員を含め、周りの人からもいろいろな声を掛けてもらい、支援もしてもらって、ここで諦めたら駄目だなと思ったし、頑張らなきゃという気持ちはどんどん膨らんできて、いまは一生懸命、復旧させようと思っている

(秋田テレビ)

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