7月の記録的な大雨は、1カ月以上たったいまも秋田県内の至る所に暗い影を落としている。秋田市の保育園は、浸水被害に遭いながらも保育を続けているが、今後の運営には課題が多く、頭を抱えている。 

記録的大雨で“床下浸水”の被害に

秋田市楢山の「みどり保育園」は、0~6歳児まで59人の子どもが通う。園は、7月の記録的な大雨で床下浸水の被害に遭った。

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みどり保育園・鷲尾道子園長:
床下には泥が残っているし、水もまだ残っている。水害に遭った当時は、もっと水が上がっていた

床暖房や断熱材などを入れ替えるため、1階の床板をすべて剝がさなければいけない状況で、工事には1カ月ほどかかる見通しだ。

みどり保育園・鷲尾道子園長:
1カ月間休園することはできないと秋田市から言われたので、どういう風にして工事を進めるかが問題になっている

園は「通常の保育にあたりながら工事を進めたい」としているが、そうすると工期が延びるほか、費用も膨らむという。

保育を別の場所に移すことも考えたが、隣にあるコミュニティーセンターを利用できるかは市が検討している段階で、結論がなかなか出ない。

みどり保育園・鷲尾道子園長:
できれば隣のコミュニティーセンターに部屋を借りてやらせてもらうと、すぐ隣だから行き来もしやすいし、保護者も同じようにここに来れば良いので、すごく助かるのだが…

工事期間中に園児をほかの施設で預かってもらうということになると、預け先はみどり保育園が手配しなければならない。工事をするにもさまざまな課題があり、足踏み状態だ。

大雨で遊び場にも影響

また今回の大雨は、子どもたちの遊び場にも影響を及ぼしている。

みどり保育園は園庭が浸水した。すでに洗浄・消毒は終え、8月24日現在は子どもたちが遊べるようになっている。

ただ、園がよく利用する隣の公園も被災した。猛烈な暑さが続いているため、今は屋外で遊ばせる機会は少ないそうだが、今後、公園を使えるかどうかは分からない。

みどり保育園・鷲尾道子園長:
今一番困っているのが、園の隣の街区公園。ここも水が上がった。普段子どもたちがよく遊びに来る場所で、子どもたちを外のどこで遊ばせれば良いか、困っている

保育園の隣にある街区公園は地域住民が利用する憩いの場だが、7月の記録的な大雨で水が流れ込んだ。現在は衛生面や遊具の安全性が分からず、園は公園を利用していない。

みどり保育園・鷲尾道子園長:
子どもたちは外遊びが大好き。走り回るし、草むしったり、虫を探したり。子どもたちは大人よりも顔の位置が低いので、呼吸するにも私たちより吸うし、土を掘り返したら直接、粉や空気を浴びるし、良いものだろうかとすごく心配がある

市に問い合わせるも「消毒の予定なし」

秋田市に公園の洗浄・消毒について問い合わせたが、市からの返答は「街区公園は被害が小さいため、経過観察。消毒の予定はない」というものだった。

園は「保護者の安心につなげたい」と汚染の調査や洗浄・消毒を求めている。

みどり保育園・鷲尾道子園長:
こういう災害がまた起きないとも限らない。今度水が上がったらどういう風にすれば良いか、汚染水がどれくらい汚染されているのか、というのを検証してもらえると一番良いと思う、この機会に。それをぜひやってもらって、汚染はされていないからと科学的なデータが出れば、私たちも安心できるし、保護者にも伝えられる。そういうところを、ぜひやってもらいたい

秋田市の公園課は、大雨による公園の被害を目視で確認していて、泥が上がったところは「泥の除去・洗浄をする」など対応にあたっている。

厚生労働省は「屋外の消毒は必要ない」としているが、地域の利用者の不安は十分理解できる。1日でも早く、子どもたちが安心して笑顔で過ごせる日々が戻るよう願いたい。

(秋田テレビ)

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