近年、先祖代々受け継がれたお墓を手放す、いわゆる「墓じまい」が増えている。その中、屋内型で駅チカ、手ぶらで行くことができる“都市型”納骨堂が人気だ。モニターに故人の情報を映し出して参拝、遺骨を自動搬送システムでセットして参拝など参拝方法も進化している。

「墓じまい」は10年前の約1.6倍

台風6号が過ぎ去った2023年8月10日。福岡市南区の平尾霊園ではお盆を前に、多くの人が墓掃除に勤しんでいた。

お参りに来た人:
台風が去った後は涼しいじゃないですか。台風の後の方が、雑草が取りやすいんですよね。お盆前にね、キレイにしとったら気持ちいいですよね。仏さんがお盆に来るから

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しかし、近年は「跡を継ぐ子どもがいない」「高齢になり墓参りに行けない」といった理由などから、先祖代々受け継がれたお墓を手放す、いわゆる「墓じまい」が増えている。

お参りに来た人:
「墓はもう要らない」という人もいますからね。それもひとつの時代として考えればもっともだと思いますけど。かといってやっぱり心の先祖を大事にするという、そういう考え方も昔からあるわけでね…

厚生労働省によると、2020年度に「墓じまい」をした人は11万7千件にのぼり、10年前の約1.6倍となっている。

注目の「納骨堂」は“都市型”が人気

その中、注目を集めているのが「納骨堂」だ。

福岡市に住む、中田さん。

JR今宿駅(福岡市西区)から徒歩30秒の納骨堂「瑠璃苑」を訪れた。今年の春に契約をしたという。

福岡市に住む中田さん:
別の納骨堂を持っていたんですけど、やっぱり、行くのが大変だった。ここだとすぐ来れるので。車が運転できなくなった時に駅から近くないと、どうしても大変で。普通のお墓だとちょっと大変ですもんね…

納骨堂の中でも、屋内型で駅チカ、手ぶらで行くことができる“都市型”が今、人気を集めている。

瑠璃苑では、こんな参拝もー。

「瑠璃苑」遠藤義恵・住職:
これが「参拝カード」というものでして、このメモリアルモニターを起動するためのカードになっています。法名・命日・俗名・享年・故人様のお写真が出てきます

さらに、中央のディスプレイは墓標に早変わりする。最大で6人を納めることができ、価格は150万円。今、問い合わせが殺到しているそうだ。

「瑠璃苑」遠藤義恵・住職:
地方から都会に出て来られた方が、実家にあったお墓を「墓じまい」したいということで、ご相談される方がけっこう増えてきて、“お墓から納骨堂”という方がけっこう多いんじゃないかなと思います

遺骨の自動搬送システム利用も

一方、北九州市にある“都市型”納骨堂「さくら陵苑」には、こんな特徴がー。

参拝カードを受付機にかざすと、遺骨が、自動で参拝ブースにセットされ登場。最先端の自動搬送システムを利用した納骨堂だ。

遺骨などを納める仏具「厨子」には、5寸の骨壺であれば2つ、3寸の骨壺であれば8つまで収納可能だという。

また、参拝スペースのバックヤードには、約1000人の遺骨が納められている。開館日の営業時間内であれば、予約なしで、いつでも参拝可能だ。

「さくら陵苑」谷口美智子さん:
こちらの裏に、(遺骨の)マンションのようなかたちをイメージして頂ければいいかなあと思います。最近のお墓事情でお客様のお声で多いのは、やはりお子様にご迷惑をかけたくないというお客様が多いです。お手を煩わせるお墓のお掃除であったり、そういったものは全てご不要になっていますし、お花も毎日取り替えておりますので、手ぶらでご参拝頂けるかと存じます

時代とともに変化する供養のかたち。この先は、どのように変わっていくのか。

(テレビ西日本)

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