特撮ドラマなどに登場する、爆破シーンを意外なところで体験できそうだ。鹿児島市が桜島での「爆破体験・撮影ツアー」を企画しているという。

実施場所は、桜島の西側に位置する「桜島赤水採石場跡地」。市が所有する約7万平方メートルの土地で、コンサートなどのイベントに活用されてきた。

市の担当者によると、周囲の安全性、騒音などの迷惑にならないこと、景観の良さなどを考慮してここを選んだとのこと。2023年4月には、現地調査も兼ねた“試爆”も行ったという。
今後は旅行業者を通じた、ツアー商品として、2024年1月ごろの販売を目指すとのことだった。
爆破シーンの体験を提供して、町おこしにつなげる動きは、編集部でも紹介したことはある。おそれほど“爆破”は観光資源になるということかもしれない。
(参考記事:ド派手な“爆破ロケ”を福岡・筑豊地方に誘致! 町おこしに勝算は?担当者に聞いた)
しかし、桜島でそれをやるのは思い切ったアイデアだ。爆破やツアーの内容はどんなものになるのだろう。鹿児島市の担当者に、経緯や狙いを聞いた。
桜島との“ダブル爆発”を体験できるかも
――爆破体験・撮影ツアーを企画した狙いは?
爆発(噴火活動)を続ける桜島は、オンリーワンの観光資源です。新たな視点でお楽しみいただけるようなコンテンツを模索する中、桜島の景観と爆破のインパクトが相乗効果を生み出すのではと思い、爆破体験・撮影ツアーを造成しました。

――実際の爆破体験はどんなものになりそう?
煙が出る「セメント爆破」、炎があがる「ナパーム爆破」を合わせたものになります。ここに桜島の火山灰を混ぜることも検討しています。(混ぜることで)爆破自体に影響はないですが、噴煙がよりあがるので、火山灰の観光活用や話題性につながればと考えています。

――桜島で爆破を行うことのメリットは?
桜島を背景に爆破が撮影できるので、タイミングが合えば、桜島の噴火と重なった“ダブル爆発”を体験できることが最大のポイントと考えております。自然なので状況にもよりますが、桜島は年間で1000回近くも噴火したことがあるので、撮影できる可能性はあります。
安全面はアクセスはどうなる?
――爆破ということで、安全面はどう確保する?
特撮や刑事ドラマの爆破シーンで使われる「岩船山」(栃木県)という場所があります。ここでの爆破体験に携わる方々、花火師の協力を得て、爆破の規模や距離感などを調整しています。
――爆破以外のツアー内容はどうなりそう?
催行事業者と調整しているので(現時点では)詳細はお答えできません。宿泊日数や費用も未定です。ただ、鹿児島にある観光資源との相乗効果がある、体験を提供できればと考えています。

――桜島ということだが、アクセス面はどう?
鹿児島市にある「鹿児島港」から、桜島に向かうフェリーが24時間運航で出ています。採石場跡地までには少し距離がありますが、バスツアーと絡めた移動も検討しているので、アクセス面での問題にはならないと考えております。
日本の特撮やコスプレは海外に人気
――ツアーはどんな人をターゲットにしている?
特撮や戦隊ヒーロー、コスプレに興味がある方、海外の観光客ですね。日本の特撮やコスプレは海外でも人気があり、岩船山での爆破体験には海外からファンが参加されるそうです。潜在的なニーズはあると思うので、観光需要の高まりに期待したいです。
――ツアーに関連した、今後の予定を聞かせて。
2023年秋にモニターツアーを実施し、改善点などの調整を行い、2024年からは一般向けに提供できればと考えています。ツアーの関連情報は、市のウェブサイトでも紹介していく予定です。

特撮ドラマなどの海外人気もあり、観光需要の高まりに需要に期待しているようだ。ツアーの詳細は調整段階だが、もしかすると、桜島の噴火と爆破の瞬間が重なる写真が撮影できるかもしれない。