プロ野球、福岡ソフトバンクホークスの有原航平投手(31)。6月に1軍昇格してから、ここまで9試合に登板し4勝。防御率は2.52と安定したピッチングを見せている(8月15日現在)。
そのパワーの源はどこにあるのか? 野球解説者・池田親興さんが直撃した。

粘りの投球で…“一番計算ができる”投手

池田親興さん:
ここまで投げてきて、「有原という投球」を見せてもらって、本当に粘り強く投げているなと思いますが、自分ではどうですか?

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有原投手:
ピンチは多く作ってしまっているというのはありますが、何とか粘れてはいると思うので、(粘りの投球は)僕の持ち味だと思うので、「そこは出せているかな」と思います

北海道日本ハムファイターズ時代には、開幕投手を2度務め、最多勝のタイトルも手にするなど実績は十分の有原投手。メジャーリーグも経験し、2023年、3年ぶりに日本球界に復帰した。

首脳陣から「今、一番計算ができる投手」と頼りにされている有原投手。大型連敗中だった7月、首位を走るオリックス・バファローズ相手に見事、完封勝利。12連敗という経験したことのない“負の連鎖”を断ち切った。

7月25日の対バファローズ戦、勝利投手インタビューで有原投手は「完封は意識していないけど、きょうは『最後までいく』という気持ちでマウンドに上がったので。自分のことはもちろんだが、とにかく、きょうはチームが勝てたことがうれしい」と語っていた。

マウンドに上がったからには「最後まで投げたい」

安定したピッチングで「ホークス先発陣の救世主」と評価される有原投手。その理由は、投げるイニングの数にある。

最長は、完封した試合の9回。少ない時でも6回、平均して7回途中まで投げていて、リーグ最下位のホークス先発陣の中で、ひときわ多い数になっている。調子が悪くても試合を作り、中継ぎの負担を減らす―。これが有原の強みであり、こだわりでもある部分だ。

有原投手:
やっぱりマウンドに上がったからには「最後まで投げたい」という思いで、ずっとやっているので、それが今年、まだ1試合しかできていないので、そこを少しずつやっていけたらと思う

池田親興さん:
自分の中では「エース」と。「自分が引っ張っていく」という思いで投げているということ?

有原投手:
そうですね、はい。なので1イニングでも長く投げる必要があると思う。それは、毎回思ってマウンドに上がっている

冷静な有原が見せた“雄叫び”…ピンチでギアチェンジ

熱いピッチングとは裏腹にマウンド上では、いつも冷静だ。

池田親興さん:
どちらかというと、ひょうひょうとマウンドにいるイメージなんですが―

有原投手:
あれは結構、意識してますね

池田親興さん:
表情を変えないように?

有原投手:
元々は(表情が表に)出やすいタイプなので、変えずに投げた方が成績につながっているというか、自分的に気持ちを落ち着かせるというか、リラックスして投げている方が成績が出ていることが多いので、あんまり(表情を表に)出さないようにはしています

池田親興さん:
だけど時々、出る時あるよね、当然

有原投手:
ありますね、はい

冷静な有原投手が感情を爆発させた瞬間は、8月8日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦で見られた。
球数100球を超えた6回、ランナー3塁のピンチ。有原投手は150キロを超えるストレートで2ストライクと追い込んだ後、最後は、この日最速152キロのストレートで打者を打ち取り、雄叫びを上げたのだ。

池田親興さん:
最後、ここというときにギアを変えられるような感じがするが…

打者を打ち取り雄叫びを上げた有原投手
打者を打ち取り雄叫びを上げた有原投手

有原投手:
そうですね、やっぱり、ああいう場面って気持ちもすごく入るので、ちょっと意識している部分もありますけど、自然と出ている方が大きいかなと。最後、本当に絶対に「もうこれ以上、点を取られてはいけない」という気持ちで、ああいう球が投げられたのかなと

元ヘッドコーチの“アドレナリン”発言 真相は…

有原投手のギアチェンジ―。それはホークスの元ヘッドコーチで、有原投手と同郷(広島市)の達川光男さんも語っている。
実は、調整の遅れからか有原投手の開幕は、2軍スタートだった。しかし、達川さんは早くから有原投手の活躍を予言していたのだ。

有原投手の活躍を予言?していた達川元ヘッドコーチ(左)
有原投手の活躍を予言?していた達川元ヘッドコーチ(左)

ホークス元ヘッドコーチ・達川光男さん:
有原は高校の時から知っているが、彼は2軍では力を出さない。アドレナリンが出て初めて「有原」ですよ

池田親興さん:
達川さんが(アドレナリン等の)発言をされていたこと、聞いたことある?

有原投手:
そうですね、ちょっといろんな人に、周りの人にも言われましたし、耳にしました

池田親興さん:
どう思いました?

有原投手:
え??? そうですねぇ~

困惑する有原投手だったが―。

有原投手:
もちろん、下(2軍)にいたから、上がらないというのはないと思うんですけど、やっぱり1軍の舞台に来て、緊張感の中で投げるのとは違う部分があると思うので、自分で調整しているわけではないが、勝手に(アドレナリンが)出てくるのはあると思う

池田親興さん:
これから厳しい戦いになるけど、アドレナリンをもっと出して!

有原投手:
そうですね。がんばります!

ペナントレースの熱い戦いはまだまだ続く。

(テレビ西日本)

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