福岡ソフトバンクホークスの投手、和田毅。プロ野球生活21年目のシーズンは大阪から始まった。2023年4月5日、京セラドーム大阪。オリックスバファローズとの今シーズン第2戦に42歳1カ月で先発登板。球団最年長登板で5回を投げ無失点、球団最年長勝利を記録した。

快挙達成の翌日、まだ残る桜の下で和田投手に単独インタビュー。いま、何を思うか。そして、これからのさらなる思いを聞いた。

「5回71球無失点」 文句なしのピッチング

登板の翌日、和田毅投手に“いまの気分”について聞いた。

和田毅投手:
疲労はありますが、心地よいです。昨夜は、体が興奮している状態だったので、睡眠時間が少なかったですね

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和田毅投手:
最長記録ですか? 自分では、最年長記録っていうのは、全然、意識していなかったですし、周りから言われて「あっ、そうなのか」という感じでした。投げるまで知らなかった。投げ終わったあとに言われて「あっ、そうなんだ」と気づきました

和田毅投手:
両親から「当番日は結婚記念日だから、ウイニングボールを期待しています」とメールが入ってきていたので、勝利は意識していましたけど。勝つことができたので、自分も、チームもよかったです。ウイニングボールは“要相談”、かなと

5回71球無失点。数字だけを見れば文句なしのピッチング。しかしコンディションは、万全ではなかったという

和田毅投手:
ブルペンで投げているときのボールの“行き方”や、拓也(キャッチャー・甲斐選手)の反応、空気感で、だいたいわかる。自分でも投げていて、狙ったところに行かないし、ボール自体も弱い感じだった。なので「きょうはちょっと苦しい試合になるな」と思っていました。「自分の思い通りの展開にはならない」というのは、最初から頭に入れて投げていました

4月5日のオリックス戦の一番のポイントは、4回裏ノーアウト1、2塁のピンチで、新外国人選手のゴンザレス選手を打席に迎えたときだった。見事に三振に仕留めたあの場面の配球について、和田投手に尋ねた。

和田毅投手:
確かに(前の打席でヒットを打たれている)ゴンザレス選手の打席は、自分にとってキーポイントだった。その日は、それまで球種としてチェンジアップをほとんど使っていなかったので、打者は「きょうはチェンジアップが少ない」と、もしかしたら思っていたのかもしれませんが、本当に(空振りは)紙一重だったと思います。初対戦というのもあったので、何度も対戦している中でのチェンジアップであれば、あんなに簡単に空振りはとれなかった。運が良かったです

再三訪れるピンチを切り抜け、5回表は三者凡退に抑えた。

和田毅投手:
少なくとも「6回までは行きたいな」という気持ちでいたんですけど、藤本(博史)監督から「どうや」って言われて、調子が悪かったので、ここで点を取られて試合を壊すよりは、代わった方が賢明だと思って、そこは素直に「お願いします」「代わります」と言いました(笑)

シーズンを通すと、調子がいい日の方が少ないといわれる投手のコンデション。調子が決して良くなかった中での勝利だった

和田毅投手:
(勝ったことは)大きかったと思います。調子が良くても負けるときもあるし、昨日みたいに、全然、調子が良くなくても何とかゼロで抑えて、「勝ち」がつくこともあるので。ここ数年、そのシーズンの初登板で勝つことができていなかったので、昨日のような苦しい投球の中で勝てたことは、ホッとしています

「いい球を投げたい」という気持ち“だけ”

現役をその年齢で続ける、最大のモチベーションを尋ねると…。

和田毅投手:
何て言ったらいいんだろう。次の日も、その次の日も、一球でも「いい球を投げたい」っていう。本当に何て言ったらいいんだろう。きょうより明日、明日より明後日、「いい球を投げたい」という気持ちだけです。「だけ」って、言い方がおかしいですけど、個人的なモチベーションですね。当然、チームとして勝つことが大前提ですので、勝つためにはどうしたらいいのか考えるんですけど、この年齢でどれだけ「いいボール」が投げられるのだろうかと

和田毅投手:
昨年は、149km/h出ましたが(2022/5/29対広島戦・41歳時の自己最速)、あのときより、同じスピードだったとしても(球の)質をもっと上げたい。そこでけがしたら、もう辞めればいい。そんな心境です

桜の花びらが和田投手の肩に振りかかる。

和田毅投手:
「もう失うものはない」って言うか、「けがをしたら寿命」だと思える域までいま、もう来ているので

和田毅投手:
「これで終わりかもしれない」と思える年齢に来ているので。そこを越えていくと、あとは楽しさしか残っていないと思います。もちろん苦しい練習、トレーニングとかありますが、それはそれで楽しいですしね

“最年長完封”目指して努力していきたい

今後の目標について、和田投手は次のように語った。

和田毅投手:
次の登板に向けてしっかりと準備したい。昨日より良い状態でマウンドに上がれるようにしっかりと努力し、調整したい。少しでも成長した姿を次の登板で見せられるように頑張りたいと思います

最年長完投、最年長完封を期待していると水を向けると、きっぱりと答えた。

和田毅投手:
そこは、やりたいと思いますし、その日が来るように自分も努力していきたいと思います

和田毅、42歳。まだまだこれからを思わせるように笑顔を見せた。

(テレビ西日本)

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