瀬戸内海では、これから本格的なイイダコ釣りのシーズンが始まる。しかし、香川県は県内で釣りができる期間を9月から1カ月半だけに制限することにしたのだ。背景には、イイダコに迫る深刻な危機があった。
食卓で愛されるイイダコに“激減の危機”
讃岐うどんと合わせても良し。ご飯やお酒との相性も抜群。香川の食卓で親しまれるイイダコは、瀬戸内ではこれから冬にかけて、釣りの対象として狙うことができる。

前川裕喜記者:
イイダコ釣りの仕掛けはこういったものです。イイダコがかかると竿が重くなり、引き上げると簡単に釣れます。家族連れなどに人気のレジャーですが、これからはレジャーのあり方が大きく変わろうとしています
8月8日、香川県水産課の湯谷主任が高松市のマリーナペラガスを訪れた。

香川県水産課・湯谷篤主任:
こんにちは。イイダコ釣りの期間を9月1日から10月15日までで、この期間中は午前中までとしていただく取り組みをすることになりましたので…

香川県は今シーズンから、県内でレジャーとしてイイダコを釣れる期間を9月1日から10月15日の1カ月半に制限。合わせて釣果も県のホームページから報告することを求める。8月8日には県の職員が、個人が所有する船などを維持管理する高松市のマリーナを訪れ、制限の周知を依頼した。

マリーナペラガス・松野勇次ハーバーマスター:
(今も)本当にイイダコは釣れないので、制限を設けても影響はない。(制限の効果で)釣れるようになるなら大歓迎

県内のイイダコの漁獲量は15年前に184トンあったが、その後、急激に減少。2022年はわずか1.6トンだった。

香川県水産課・湯谷篤主任:
イイダコが食べるエサが減ったり、イイダコを捕食するマダイやハモといった魚が増えたという意見がある。ほかにも獲りすぎてしまったというところがある
将来のため“官民一体となった資源保護”を展開
県は7月から、ふ化させたイイダコを放流する取り組みも本格的に始めた。

前川裕喜記者:
こちらは高松市にある県の水産試験場です。小さなイイダコが元気に動いています
県内の漁業者も一定期間、イイダコを獲らないなど、官民一体となって資源保護を進めている。

香川県水産課・湯谷篤主任:
イイダコは香川において重要な食文化。郷土料理の材料にもされている。今は我慢する場面もあるかもしれないが、将来たくさんイイダコが増えていくためにご協力をお願いしたい
伝統的な香川の味覚は岐路に立たされている。
(岡山放送)