日本人にとっては馴染み深い冷凍ソフト。日本で初めて開発・商品化に成功したともいわれる富山県のメーカーのソフトが、実は今香港で人気となっている。国内需要が落ちる中、他社に先駆けた「輸出」で新たな販路の開拓に取り組んだことが功を奏した。

冷凍ソフト香港にも輸出

黒部市でアイスクリームの製造販売を行う横山冷菓。

昭和23年創業、老舗のアイスクリームメーカーだ。

この記事の画像(10枚)

横山冷菓 横山栄一郎社長:
この工場ではカップアイスや最中アイス、さまざまなアイスをつくっている。きょうは香港向けのソフトクリームのアイスの充填を行っているところ。きょうはカフェオレ味を生産している

看板商品の「冷凍ソフトクリーム」。

今ではお馴染みの形だが、昭和40年ごろ、日本で初めて開発・商品化に成功したのが横山冷菓ともいわれている。当時は全国のメーカーがこぞってその技術を習いに来ていた。

ところが…。

大手にも押され国内売り上げ低迷…

横山冷菓 横山栄一郎社長:
ある程度ソフトを長年ずっとやってきて、大手にも押されて国内の売り上げがちょっと下がってきてる部分もあって。機械の老朽化もあり、ずっとやってきたソフトを本当にどうしようかと。このままではやめないといけないんじゃないかなというのもあったんですけれど

国内需要が伸び悩み、冷凍ソフトの販売について悩んでいた横山社長。

しかし、千葉県の商社から声をかけられたことがきっかけで、輸出に着手することを決め、去年から香港に輸出している。

香港輸出が絶好調!出荷数4倍以上に

横山冷菓 横山栄一郎社長:
当初の予測とはかなりいい意味で裏切られた。日本でいうと本当に一般的な形のアイスクリームだと私は思うが、やはり香港とか海外だとなかなかこういう形がないのかなと。そういったことで良く受け入れられているのではないかと

冷凍ソフトの、一昨年の国内での年間出荷数はおよそ3万ケース・48万個。
それが香港への輸出を始めたことで、去年は13万ケース・208万個と、出荷数が4倍以上に。
現地のコンビニなどで販売されていて、受注が増え続けているそうだ。

香港での販売の様子  提供:横山冷菓
香港での販売の様子  提供:横山冷菓

外国人観光客アイス食べファンに

実はいま、日本のアイスは輸出が好調。
輸出金額の推移をみてみると、去年は64.5億円と、ここ10年で7.5倍に。
来日した外国人観光客が日本のアイスを食べてファンになるケースが多いともいわれている。

金額別での輸出先のトップは香港。高品質で安全な日本のアイスが人気なのだという。

横山冷菓は、この流れにいち早く乗ったことで勝機をつかんだ。

中小企業の判断の早さ生かし

横山冷菓 横山栄一郎社長:
話をいただいたちょうど今から2年前くらいだと、まだまだ大手は海外市場にかなり慎重な姿勢だった。そういった意味では中小企業は判断が早いので先に行くことができたのかなと。ここにきてまた横山冷菓のソフトが日の目を見るというのは私としても本当にうれしい。まだまだ伸ばしていきたいなと

他社に先駆けて香港への輸出を決めたことで、勢いを取り戻した横山冷菓。今後の海外市場への展開にも期待したい。

(富山テレビ)

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。