国民的アニメ「サザエさん」のタラちゃん役で親しまれた、声優の貴家堂子(さすが・たかこ)さんが亡くなった。87歳だった。
この記事の画像(10枚)タラちゃん役「53年」ファンからも悲しみの声
アニメ「サザエさん」のフグ田タラオ役を、1969年の放送開始以来、50年以上つとめてきた貴家堂子さん(87)。
多くの人に親しまれているタラちゃんを、愛らしい声で演じ続けてきた。
貴家堂子さん(2004年4月):
タラちゃんをやっております、貴家堂子でございます。よろしくお願いいたします。
サザエさん役の加藤みどりさんとともに「同一のアニメ作品のキャラクターを最も長く演じてきた声優」として、ギネス世界記録にも認定されている。
原作者の長谷川町子美術館もあり、サザエさん一家の銅像が建つ、東京・世田谷区の桜新町。
サザエさん一家を身近に感じながら暮らしているこの街の人は…
サザエさんファンの女性A:
(好きなキャラは)タラちゃんかな。かわいいじゃないですか、声とか。癒しって感じで…ずっと変わらずみんなに愛されているのはすごいなって。
サザエさんファンの女性B:
タラちゃんの声というのが耳についていましたので、ちょっとやっぱり寂しい気はします。独特の声の方で、声優としても有名な方なので、最後の放送が(2月)26日ということで絶対見なくちゃと思いました。
“お利口キャラ”生まれる前は「やんちゃ」だった?
貴家さんは2008年に「サザエさん」放送40年目を迎えた際のインタビューで、こんな秘話を明かしていた。
貴家堂子さん(2008年10月):
こんなに長くやるって思いませんでしたもん。1年っていう約束でしたよ、はじめ。オーディションがあったんですよ、はじめ。私はワカメちゃんかなぁなんて思ってたら、タラちゃんがいる。タラちゃんって喋るの?っていう感じでしたね。
また、タラちゃんのキャラクターをめぐってはこんなエピソードも披露していた。
貴家堂子さん(2004年4月):
私がやらなければ、もっとやんちゃな子だったんじゃないですかね。私がやったから割とああいうソフトの子、お利口さん(になった)。
初めはね、タラちゃんも「やったぜ」とか「うん」とか「は?」とか言ってたんですけどね、「うんじゃないでしょ、お返事は」とか言われたでしょ。「ハイ」それに「です」がついちゃって「ハイです」になっちゃった。
加藤みどり氏「本当に寂しく悲しい」
サザエさん役の声優・加藤みどりさんは10日発表したコメントで貴家さんをこうしのんだ。
加藤みどりさん:
「貴家ちゃんがいるうちは私も頑張らなきゃ」と思っていたので、貴家ちゃんがいなくなって本当に寂しく悲しい気持ちです。心よりご冥福をお祈りいたします。
貴家堂子さん(2008年10月):
わたくしと言っていいか僕と言っていいか、フグ田タラオをやっております貴家堂子と申します。長い間ありがとうございました。
貴家さんの「サザエさん」最後の出演は2月26日の放送回となり、新たなタラちゃん役は現在検討中だという。
榎並大二郎キャスター:
1969年の放送開始からずっと3歳のタラちゃんの声をされていた、すごいことですよ。
明治大学・齋藤孝教授:
丸53年ということですから、私10歳ぐらいから馴染んでるわけなんですけども、丁寧語の言える3歳児っていいですよね。貴家さんがやられたから「ハイです」とか。「やったぜ」とか言うんじゃないって。やっぱり声優さんの力だと思うんです、「です~」が浸透したというのがね。
そういう意味では、日本語に対する貢献が大きかったと。真似されました?
宮司愛海キャスター:
私も小さい頃真似してましたね、そういう方多かったんじゃないですかね。馴染みやすいキャラクターですもんね、
榎並大二郎キャスター:
本当に世代を繋ぐ声ですよね。謹んでお悔やみを申し上げます。
(「イット!」2月10日放送分より)